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社内ガイドラインの作り方は?基本ステップと生成AI活用の指針策定

情報セキュリティやコンプライアンスなど、時代の変化に合わせて最適なルールが変わるテーマでは、社内ガイドラインの策定や改善が欠かせません。特に生成AIの業務利用が広がる現在、生成AIガイドラインの策定は重要性が高まっています。

本記事では、就業規則とは役割が異なるガイドラインの位置付けや基本的な作り方を踏まえつつ、生成AIを安全かつ効果的に活用するための策定方法と注意点を解説します。

社内ガイドラインとは?明文化の目的や主な種類

社内ガイドラインは、情報セキュリティやコンプライアンスなどに関する自社独自の推奨ルールを明文化した文書であり、法的拘束力を持つ就業規則とは役割が異なります。
近年は特に、生成AIを安全に利活用するためのガイドライン整備の必要性が高まっています。

法的拘束力のない推奨ルールをまとめた文書

社内ガイドラインは、社内の行動指針を示す推奨ルールをまとめた文書です。就業規則のように法的拘束力を持つものではなく、従業員が自発的に適切な判断を行うための方向性を示します。代表例としては、情報セキュリティガイドラインやコンプライアンスガイドラインがあります。

明文化する目的は、組織の価値観を共有し判断の曖昧さをなくすこと、トラブルや誤解を未然に防ぎ生産性を高めることにあります。法務文書の形式に縛られず、現場で使いやすく時代の変化に柔軟に対応できる内容とすることが重要です。

企業が整備したい社内ガイドラインの種類

社内ガイドラインは、情報セキュリティやコンプライアンスなどテーマごとに個別で策定・運用していく必要があります。企業が整備したいガイドラインには次のようなものがあります。

ガイドライン名主な目的・内容
情報セキュリティガイドライン組織が保有する情報資産を適切に管理し、漏えいや不正利用を防止する
SNS利用ガイドライン従業員の発信によるブランド毀損やトラブルを防止
ハラスメント防止ガイドライン職場環境の健全化と相談体制の整備
コンプライアンスガイドライン法令・社内倫理の順守、企業の社会的信頼の維持
生成AIガイドラインAIツール活用における情報管理と責任の明確化

これらはいずれも、時代の変化に合わせて見直しが求められるテーマです。特に近年は、ChatGPTやCopilotなどの生成AIを業務利用する機会が増えており、組織として安全に利活用するためのガイドライン整備が重要になっています。

社内ガイドラインの基本的な作り方を4ステップで解説

社内ガイドラインは、どのようなテーマで策定する場合でも、事前準備として現状の課題やリスクを整理し、目的や対象範囲を明確にすることが欠かせません。これらを踏まえて具体的な推奨ルールを明文化し、全従業員への周知・教育につなげます。さらに、時代の変化に合わせて定期的に見直すことも重要です。

ここでは、ガイドライン作成の基本的な流れを4ステップで解説します。

STEP1:現状の課題・リスクを整理する

まずは社内アンケートやヒアリングを通じて、現場で起きている問題や従業員が感じている不満を洗い出します。公平なルールを策定するため、できる限り幅広い部門や職位から意見を集めることが求められます。例えば次のような状況があれば、その領域に対応するガイドラインの整備が必要です。

  • 意図不明で必要性も分からない古いルールが残り、従業員のストレスや不信感を招いている
  • ICT活用環境の変化に対して利用ルールが明文化されておらず、現場の混乱や作業効率の低下、情報漏えいリスクの増大につながっている
  • ハラスメントやコンプライアンスなど、健全な職場環境の維持に欠かせないルールが存在しない

トラブルや誤解が生じている領域を把握することで、現場の実態に合った「何を防ぐためのルールが必要か」という指針が見えてきます。

STEP2:目的と対象範囲を明確にする

次に、ガイドラインが「誰に」「何のために」必要なのかを定義します。例えば、「従業員のSNS発信を適切に管理し、企業ブランドを守る」などです。

目的が曖昧なまま策定を進めると、現場で正しく運用されず形骸化する恐れがあります。社内ガイドラインは、自社において「この場面ではこの判断・行動が適切」と示すルールブックの役割を担います。経営理念などとの整合性を意識し、企業と従業員が共有すべき価値観を行動指針として明文化しましょう。

STEP3:内容をルール化・文書化する

明確にした目的に沿って、必要な背景説明や許可・禁止事項などを文書にまとめ、現場の行動指針として利用できるレベルに具体化します。望ましい行動例を挙げるなど、従業員が理解しやすい表現にする工夫も重要です。例えば、「生成AIを使って業務文書を作成する場合、情報の出典や真偽を本人が必ず確認した上で提出する」などです。

ただし禁止事項を過度に増やしたり、煩雑な承認フローを設けたりすると、従業員の負担が大きくなり運用の妨げとなります。迷いなく行動できる指針を示し、ルールを守ることでパフォーマンスや満足度の向上につながることが理想です。

STEP4:社内周知・教育・定期的な見直し

ガイドラインを策定した後は、全従業員への周知と教育が不可欠です。導入時には資料配布や説明会などを実施し、社内ポータルサイトでの全文掲載やFAQ整備などを通じて定着を図りましょう。

理解されにくい内容や誤解されやすい箇所は、必要に応じて修正する必要があります。また、策定時点では最新情報を反映していても、社会情勢や関連法規、技術動向が変われば内容が古くなります。少なくとも年1回程度を目安に見直しを行うことが望ましいといえます。

生成AIガイドラインの策定・運用が求められる理由

ChatGPTやCopilotなどの生成AIサービスは、文章作成、企画提案、プログラミング支援など業務効率化に役立つ一方で、入出力データの扱いには慎重さが求められます。生成AI特有のリスクを踏まえ、組織として安全に活用するためにはガイドラインの整備が欠かせません。明文化と共有には、次のような目的があります。

  • 法的リスクの回避:不用意な入力による企業秘密や個人情報の漏えい、出力結果(生成物)の著作権・商標権などへの抵触リスクを低減する
  • 安全かつ効率的な利用の促進:利用範囲を明確にしてリスクを最小化しつつ成果を最大化し、体系的な解説によって従業員のAIリテラシーを高める
  • 企業の信用とブランドの保持:誤情報や不適切なコンテンツの発信を防ぎ、対外的な信頼を確保する
  • 組織的な利用の促進:生成AIの活用方法に関する共通認識を全社で醸成し、リスク管理とガバナンスを強化する

生成AIガイドラインを策定・運用する際の注意点とポイント

生成AIは個人でも容易に利用できる一方で特有のリスクがあるため、組織として活用指針を定めることが重要です。特に初めてガイドラインを策定する場合は、ひな形を活用するのが有効です。生成AIの利用促進とリスク回避を両立させる内容に整え、策定後は実際の運用から利活用メソッドを構築していきましょう。

初めてのガイドライン策定はひな形を活用する

生成AIガイドラインの策定担当者には、生成AIの仕組みや法的リスク、価値創出の可能性などについて広く深い理解が求められます。全従業員向けに分かりやすく体系的にまとめるには、一定の工数が必要です。

そのため、初めて策定する際にはひな形を活用する方法が適しています。一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が公開する「生成AIの利用ガイドライン」などを参考にし、抜け漏れのない内容を目指しましょう。

また、経済産業省の「AI事業者ガイドライン」や富士通グループの「Fujitsu 生成AI利活用ガイドライン」など、一般事業者向けに公開されている高品質なガイドラインも参考資料として有用です。

(参考:『資料室|一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)』)
(参考:『「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を取りまとめました|経済産業省』)
(参考:『企業利用のリスクと対策例を解説「生成AI利活用ガイドライン」を一般公開』)

生成AIの利用促進とリスク回避を両立させる

生成AIガイドラインの策定では、「どのサービスをどのような業務で利用できるか」といった利用範囲や目的を明確にすることが不可欠です。一方で、禁止事項を増やし過ぎると、制限を避けるためにシャドーAIが発生しやすくなり、管理外でのAI利用によるリスクが高まる恐れがあります。

そのため、組織として承認済みの生成AIサービスについては、以下のように安全な利用方法を具体的に提示し、利用促進とリスク回避の両立を図ることが重要です。

  • 情報漏えい対策:入力内容がモデル学習に利用されるリスクがあるため、オプトアウト設定ができない環境では社外秘データや個人情報を入力しない
  • 知的財産権への配慮:生成物が他者の著作権・商標権などを侵害する可能性があるため、権利者の確認と必要な修正を行う
  • ハルシネーション対策:もっともらしい誤情報の公開・発信を防ぐため、人によるファクトチェックや最終確認を徹底する

生成AIの運用実績から利活用メソッドを構築する

生成AIガイドラインを策定し目的や内容を周知しても、全従業員が積極的に生成AIを活用できるとは限りません。生成AIは活用方法が多岐にわたり、「プロンプトによって出力内容が大きく変わる」という特性もあるため、戸惑いや活用イメージの不足が生じやすい傾向があります。

「どの業務にどう活用できるのか分からない」といった疑問を解消するためには、相談窓口の設置に加えて、社内の活用事例を蓄積・共有する取り組みが重要です。現場からのフィードバックを踏まえ、効果的な活用事例やプロンプトの工夫点を文書化し、自社の事業に適した生成AIの利活用メソッドを整備していきましょう。

生成AIガイドラインの策定・運用に役立つイッツコム記事3件を紹介

生成AIガイドラインを策定する担当者には、生成AIに関する広範な知識が求められます。ここでは、イッツコムのコラム記事の中から、ガイドラインの策定や運用に役立つ3記事を抜粋して紹介します。

ガイドラインの必要性の整理から社内浸透の考え方まで、有益な知識やアイデアを得られる内容です。

「なぜ生成AIガイドラインが必要なのか」を整理する

生成AIを活用する企業では、従業員が便利なツールを自由に使えるようになる一方で、情報漏えいや誤情報の発信、著作権侵害などのリスクが生じます。

下記の記事では、生成AIの仕組みと業務活用例を踏まえ、導入前に理解しておくべきリスクと対策を解説しています。社内で「なぜルール作りが必要なのか」を共有する際の参考資料としても有用です。

【関連記事:生成AIとは?簡単に理解できる基本概要と実務で役立つ活用方法】

ガイドラインをどう運用すべきかを整理する

ガイドラインは策定しただけでは不十分で、実際の業務に活用されてこそ意味があります。以下の記事では、業務効率化や営業支援などの活用事例を通じて、ガイドラインを実務レベルで運用するためのヒントを紹介しています。

「どの業務で活用すべきか」「どの程度の効果が見込めるか」など、策定段階で検討すべきポイントも具体的に示されており、効果的なルール設計を進めたい担当者に役立つ内容です。

【関連記事:生成AIの活用事例7選!生産性向上などビジネス課題解決のヒント】

どうやって社内に浸透させるかを考える

生成AIガイドラインが形骸化することを防ぐには、現場が自発的に活用できる環境整備が欠かせません。どの部門でどの業務にAIを導入できるかを明確にし、最適な活用方法を検討することが重要な課題です。

以下の記事は、製造・流通・小売・金融・教育など多様な業界の事例を紹介しており、「自社はどの領域からAI活用を始めるべきか」を検討する際の参考になります。

【関連記事:多様なビジネス領域のAI活用事例21選!自社の成長につなげるヒント】

まとめ

社内ガイドラインの策定・運用は、企業の価値観や判断基準を社内で共有し、時代に合ったルール運用を支える重要な仕組みです。特に生成AIは利便性が高い一方でリスクも大きく、明確な指針の策定が欠かせません。紹介した関連記事も参考にしながら、自社の業務や環境に適したガイドラインを整備し、継続的に見直し・改善できる体制を構築しましょう。
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