正しい情報を読み取り伝える「Spectee」
Twitter、Instagram、FacebookなどのいろいろなSNSの情報を解析して、企業や自治体の防災の現場などに情報を提供するのがわれわれの会社ですが、SNSの情報を的確に探し出して提供するのは非常に難しい部分があります。情報というのは、皆さんもSNSやTwitterを見ている中で感じることがあると思いますが、例えばデマであったり、デマではなくても間違った情報などが、SNSの中にはたくさん上がっています。特に災害が発生したときには、いろいろな投稿が上がってきますが、その中から災害対応をするための正しい情報をしっかり得るというのは、注意が必要です。われわれの会社のお客さまである自治体の防災担当の方もそうですが、一般の方々に対しても、間違った情報を伝えてしまうことで、混乱を招いてしまうこともありますので、きちんと注意をしていかなければなりません。
今、弊社では、SNSに上がってきた投稿の中から、画像、動画の情報と書かれているテキストの内容をAIで分析しています。SNSのよくあるデマで画像が使われるケースがありますが、例えば、熊本地震の時にあったもので「街中にライオンが逃げた」という投稿が上がってきました。実際はこのライオンの写真は、外国であったライオンの脱走事件の時の写真をあたかも熊本地震の時に起こったこととして貼り付けられていました。また、大阪北部地震の際には、シマウマの写真が付いていて、「シマウマが逃げた」という投稿になっていました。このようなものも頻繁に上がってくるのですが、写真そのものが、本人がそこで撮影をしたものではなく、ネット上にあるものを拾ってきたり、過去の災害の写真を拾ってきたりして貼り付けて送るケースがほとんどなので、弊社では、類似の写真を自動的に探していくというシステムで、それを照合させて見つけることができるようになっています。画像だけ見てインパクトのある画像だと、反射的にリツイートしてしまうケースもよくあるので、特にインパクトが大きい画像については、最初から疑った方がいいと思います。
書かれているテキスト情報にも、結構デマ情報が入っています。例えば、北海道の胆振東部地震の時に、「自衛隊の方の情報によると、6時間後に札幌市内の水道が断水します」と書かれたニュースが流れました。実際に札幌市はそのような発表はしていなかったのですが、この情報はチェーンメールのような形でどんどん広がっていき、これを見た人たちがスーパーやコンビニに水を買いに行って、お店から水が一斉になくなってしまったということがありました。実際に水道が止まることはなかったのですが、情報は広がってしまいました。災害時に自衛隊など権威のある機関からとか、有名人の誰々からという書き方をしているチェーンメールタイプのデマも結構多いのですが、これらについてもAIだと過去にあったSNSの文章の書き方を学習していて、似たような書き方をしているものはデマの可能性が高いと判別してくれます。一般の方がこのような情報を見る時にも、特にそういった「誰々が言いました」というような伝聞形式の始まりになっているメールは疑ってみた方がいいと思います。
このように、Specteeにおいては、AIを利用して情報を確認しながら配信していますが、AIだけで完結して情報を配信しているのではありません。AIが100％デマを見抜けるわけではなく、AIができるのはあくまで過去にあったいろいろなデマのパターンを学習して、「この情報はデマの可能性が高いですよ」というのを判断するわけです。われわれSpecteeの中では24時間体制で専門のチームを作って、その上がってきた情報を全部チェックするような体制をとっています。これは深夜であっても24時間回していて、最終的には人がチェックした上で確実な情報をお客さまに届けています。
このようにして流された情報は、自治体の防災に役立てられています。例えば、都道府県庁の防災課や危機管理課には、大きな災害が発生すると開設される危機管理センターというものがありまして、そこにSpecteeから来た情報が地図上に表示されたり、今被害が起きている場所や被害が集中している地域の実際の映像なども届くようになっています。
