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防災インタビューVol.193

イメージすることで備える 防災への取り組み

放送月:2021年10月
公開月:2022年1月

佐々木 奈央 氏

元東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

障害者のための防災

私の夫は、筋ジストロフィーという疾患を持った障害者です。「そういう家族がいる中で考える防災」ということにフォーカスしてお話ししたいと思います。

私はこれまで東急電鉄で働いていましたが、今年に入って、夫が海外留学することになったため会社を退職し、現在渡航に向けて準備を進めているところです。夫は、筋肉系の疾患の研究をしておりまして、本人も筋ジストロフィーという筋肉系の疾患があり、中でもFSHDという種類の身体障害を持っており、自らも研究者として、この病気の研究をしています。現在はこの筋ジストロフィーの持病により、走ったり、自力で階段を上り下りするのが難しい状況になっていまして、その上、職業柄数年ごとにポジションを探さなければいけないため、家の購入や定住が結構難しい状況です。定住が可能であれば、バリアフリーを考慮した家を買ったり、耐震補強がしっかりとしている家を買うこともできるのですが、なかなかそれも難しいということで、現在は方法を模索しながら、引っ越しを前提に持ち物をなるべく少なくして暮らしていこうとしています。一方で、防災を考えると備蓄もきちんとしていかなければならず、日常生活の中でどのように防災対策をしておくのか、その辺りのバランスの取り方を模索しているところです。

まもなくスペインに移住して、3年くらい向こうで過ごす予定なのですが、その国によっても災害に対する考え方も違いますし、今はコロナへの対策がメインになると思いますが、有事の際の対応の仕方においては、自分自身が外国人という立場になりますので、情報の取り方などもしっかり考えておかないといけないと感じています。持って行く荷物などについても悩みますが、日本での生活とは違うので、これだけは使い慣れたものをもっていかないといけないというものと、これはなくても仕方がないというものを選別するのが結構難しいです。

例えば夫の障害という意味では、災害時要援護者に当たると思いますが、自力での避難が難しいので、平坦な場所を探したり、耐震機能のある家を選びたいと思っています。また何かあったときのために、おんぶラックという大人用のおんぶひもを用意しておいて、何かあれば私がおんぶをしていけるように準備をしています。また現在はコロナ禍ということで、スペインは感染者も多くなっていますが、私たちが行くのは、サンタンデールという地方都市なので、マドリードやバルセロナなどの都市部に比べると感染者数も比較的落ち着いているので、そういう意味では、東京よりもむしろ状況としては落ち着いていると思います。すでに私たちは2回のワクチンも接種済みですし、ワクチンパスポートも自治体で手続きをすればもらえるので、現在用意しているところです。

スペインでの生活でも、日本と同じように密を避け、手洗いや消毒、マスクを着けるというような、ある意味当たり前の行動を引き続ききちんとやっていくということが大事だと思います。コロナ前から旅行の際には、危険なことをしないように気を付けていますし、日常生活でも信号が点滅しそうだというときは、歩くのが遅いため渡りきれずに赤になってしまうことがないように、青の状態でも渡らずに次の青を待つようにしています。また、キャンプの際にも川の近くに行かないように、安全な場所を選んで旅行をするようにしています。実際、防災という意味においては、災害の種類によって、目の見えない方、耳の聞こえない方が災害時に困ることはそれぞれ変わってくると思いますが、私たちの場合は障害があることで、健常者の人よりも、危険に対して日頃から敏感になれるということが、ある意味メリットであると思っています。そういったことを今後、このコロナ禍でも生かしていければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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