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防災インタビューVol.193

イメージすることで備える 防災への取り組み

放送月:2021年10月
公開月:2022年1月

佐々木 奈央 氏

元東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、土木分野専攻の修士課程で2年間、東京大学の目黒先生の研究室に所属し防災を専門として学んでおりました。人の生活に広く関わるようなことを学びたくて土木に進んだのですが、土木の専攻には、コンクリートや水などに関わるものもあり、いろいろな分野に触れる中で、防災系の研究室に進もうと思いました。防災であれば、日本以外の所でも重要なテーマになっていますし、私はもともと文系から理転しているのですが、そのような中でも専門として入りやすい、学びやすいのではないかと思い、防災を専攻に決めました。

ちょうど学部生だった時に東日本大震災が起こり、東京でこの地震を経験した世代ということもあり、同期の中では東日本大震災をきっかけに防災の研究を選んだ人も多くいます。私は、福祉施設、高齢者の介護施設、障害者の方々の施設などの施設の立地と地域の災害時要援護者の支援に与える影響について修士論文を書き、その後2015年に東急電鉄に就職し、鉄道事業本部工務部に配属されて勤務しました。就職してからは鉄道の土木工事の設計や施工管理に携わっており、防災に直接は関わっていなかったのですが、建設分野として安心安全の確保というのは非常に重要なテーマなので、危機管理という面において、防災との関連性もあったのかなと思っております。令和2年度に「技術士」という土木分野の資格を取得しました。この技術士の試験の中で、防災減災の分野というのが出題トレンドの1つになっておりまして、土木業界や建設業界においても、防災は非常に関心が高まっている分野だと感じています。

防災という分野の懐の深さ

修士課程の2年間、専門分野として防災を勉強していた時に、防災という分野の懐の深さを実感しました。防災というのは、ソフト面、ハード面、さまざまなアプローチから研究できる分野であり、研究室でも耐震補強や建物の構造が壊れるときにどういう動きで壊れるのかを解析する手法の開発というようなハード面の分野もありましたし、ソフト面では、災害が発生したときに誰にどういうふうな情報を伝えればいいのかという研究もありました。具体的には、日本語が分からない外国人に対して、いまどんな災害が起こっているのかというような情報を避難所でリアルタイムにスムーズに伝えるにはどうしたらよいかという研究もありましたし、保育園の子どもたちや小学生に対して、災害が発生したときにどういうふうに動けばいいのかを、事前にイメージをつかんでもらうための防災教育をテーマとして取り扱ったり、同じ防災の中でも非常に多岐にわたるアプローチがあることが分かりました。

このようにアプローチの方法が多い分、本当にいろいろなバックグラウンドを持った人たちが関われますので、学術横断が可能で、土木以外にも心理学や歴史学など、文系の方たちも含めて、いろいろな方々の分野とコラボレーションできる可能性があるのが、防災の魅力だと感じました。この防災という分野は、研究だけではなく、社会の中で実際に人が使えるようなシステムや製品などにも生かしていくことができるので、学生にとっても、イメージしやすい分野であると思います。

私が目黒研究室にいた当時は、PPバンドという引っ越しの梱包などに使うひもを耐震補強に使えないかという研究をしておりまして、対象としては主に発展途上国によくあるようなれんが造りの家の耐震補強をテーマにしていました。発展途上国では、日本と同じような耐震補強の手法では、現地の人が使えなかったり、材料を調達するのが難しかったりする事情がありますので、安価でローテクで現地でも実行しやすいような耐震補強のやり方を考えたり、より効率的なPPバンドの回し方などを研究していましたが、実際に防災のために使ってもらえそうな手法だということを実感することができました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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