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防災インタビューVol.5

阪神淡路大震災での体験

放送月:2004年5月
公開月:2006年12月

中川 和之 氏

時事通信社Web編集部 次長

長年の気象庁担当を通じて地震・火山を学び、(社)日本地震学会の委員会活動として「地震・火山子どもサマースクール」を毎年開催しています。記者としてだけではなく市民の立場から、災害援助のあるべき姿を模索し、神戸市の研究会委員や厚生労働省の専門分科会委員なども務めています。また、NPO法人CODE海外災害援助市民センター監事や東京いのちのポータルサイト理事を務め、ボランティアとしても活動しています。

関東大震災について

横浜の地震というと、一番最近で被害が大きかったのが関東大震災と言われる地震です。相模湾のところで大きな断層が地下で動いた地震で、地震の揺れというよりは火事でたくさんの方が亡くなっています。横浜で考えられている関東地震が次に来るのは、まだ100年以上先だと考えられていますので、まだ少しは忘れていてもいいようですが、首都圏の、特に直下というのは分からないことが結構多いのです。

1995年1月29日、神戸市長田区の鷹取商店街

例えば東海地震とか南海地震とか、最近言われていますが、ああいう地震は割合、分かっている地震です。阪神淡路大震災を起こした兵庫県南部地震という地震も、あの辺に断層があることは分かっていて、いつか地震があるかもしれないことは分かっていたのです。でも、横浜の地下というのは実は分からないことがたくさんあって、直下でどこに起きるか分からない地震が結構あります。それから、小田原の方で起きる地震というのも言われていますし、三浦半島の先の方には断層がたくさんあって、あそこでも起きるかもしれないと考えられています。どの地震も揺れたら大変なことになるのですが、幸いなことに田園都市線の沿線は割合と全般的には地盤がいい所が多いので、同じ横浜ということで考えますと、例えば関内とか伊勢佐木町とか、特にあの辺の平らな所というのが、昔々は海なり入り江でしたので地盤が悪いのですが、そういうところに比べると少しは良いと思います。

地震マップの活用

最近、横浜市が地震マップというのを作りました。これは全国に先駆けたもので、50メートルメッシュで、地震が起きたらどのくらいの揺れがあるかを示した地図です。これを見てよく分かるのは、よく揺れる所は特徴があります。何か線状になっていたりしますが、その線状が何かというと、だいたい川沿いです。川そのものよりも少し幅が広いのですが、昔、川がその辺まであふれたような所です。昔、川があった所、それから川があふれたりする所が、よく揺れたりします。それから、昔、沼だった所をどんどん埋め立ててマンションを建てたりしますが、そういう所も実はよく揺れたりします。それは地震マップでちゃんと出てきます。そういう所は、実は地名に残っていたりします。例えば、東京都心の赤坂の溜池というところがありますが、そこは昔、入り江になっていて、大きな池というか沼地だったのです。確かにあそこに行くと、赤坂見附のほうに坂があって、下りていった所が溜池の交差点になっていますが、あの辺は地盤が低くて、もともと沼地みたいな所だったので地盤が悪いです。池とか沼とか、そういう言葉がもし地名に入っていたら要注意です。

また、新しいところは基本的にはある程度工事がされているはずですが、例えば宅地造成をして段々にしますと、山を削った所と盛り土をした所があって、削った所よりも、盛った所のほうが弱いですし、削った所と盛り土の両方があると、その境目の所で揺れ方が違ってきますので、そこは気を付けたほうがいいところです。このように、昔の地形を見ることはすごく大事ですし、風景をよく見ると昔の地形の断片が残っていますので、そこから感じるところはあると思います。

阪神大震災の全壊マンション

今の地形からは、なかなか分からなくなっていますが、昔の地図は調べることができます。役所に行けばありますし、インターネットで調べることもできます。最近面白いのは、日本中の航空写真の古いものもインターネットで調べることができます。そうすると、自分が住んでいる場所の古いところが、どんなところだったのか分かったりします。そういうものを見ると、どういうところだったのかと分かります。あと、どうしても新しいところだと分かりにくいのですが、例えば古くからある鎮守の森というか、お寺さんみたいなのがあると、そういう所の周りは古くから人が使っていた所ですから、割と安全な所です。

横浜市はこの地震マップを印刷して皆さんに配るのではなく、そこに経費をかけるよりは他のことにかけようということで、インターネットのホームページにPDFファイルで載せてあって、そこから自分たちでダウンロードして印刷できるようになっています。イベントの時などに配布していますが、基本的には全戸配布というのはしていません。

でも実は、それがある区だけ全戸配布しているのです。それは私の住んでいる栄区なのです。どこの区でも、ある程度似たようなことはやっていますが、栄区の防災の担当がA4判パンフレットみたいなのを作って、その表紙に栄区の地震マップを使ったのです。この栄区役所の対応に、私は感心したのです。

阪神大震災の時に一番被害がひどかった神戸市は、区役所があって市役所があるという横浜市と同じ政令指定市です。実際に被害があったときに住民の窓口になるのは区役所ですが、普段、区役所というのは単に窓口です。何か決めたりするわけではなくて、窓口サービスをしているのですが、実際に阪神大震災のときは、区役所でいろいろなことを決めなければいけなくなりました。いちいち市役所にお伺いをたててやるということが、時間的な余裕もないし、膨大なことでもありましたので、区役所で対応しなければいけなかったわけです。しかし、区役所は普段からそういうことをやっていないので、混乱をしてしまったということがありました。横浜市も同じ政令市なので、私もそこに住んでいる人間として大変不安だったのですが、そのパンフレットを区役所が作っているということを聞いて、大変心強い思いをしました。聞いてみると横浜市は、かなり区に任せている部分が多いのです。神戸市もそれを気にかけていて、まねていろいろなことをやろうとしているところです。そういう意味では横浜市に住んでいる方は、区役所と一緒にどんどん面白いことができるのかなと思います。そういうところは横浜市の特徴かもしれません。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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