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防災インタビューVol.11

環境と防災を考える建築

放送月:2005年9月
公開月:2007年6月

柴田 いづみ 氏

滋賀県立大学環境学部教授

環境の中での建築

普通、建築学科、計画学科というのは、工学部とか、理工学部になりますが、滋賀県立大学は、今年で創立11年目ですが、建築学科は環境科学部の中にあります。環境科学部というのは、ごみの問題とか、水の汚染の問題とか、そういう現実的な、いわば血の動脈に対して静脈みたいなことを考えるところでもあります。また、滋賀県立大学は、琵琶湖のすぐ脇にありますので、水の循環のこと、大気の循環のこと、植物のこと、淡水魚がたくさんいますから魚のこと、それから鳥や、小動物とか、そういうことも含めた、全体を環境として捉えており、自然環境と、それに対してどういうふうに人が関わりあっていくかということがテーマになっています。一方で、先ほどの静脈に関することは、街とか人間に関わりあっていく、そういう環境なわけです。その中に、街づくりという概念が1つ入っているので、私たちの大学では、環境科学部の中に建築学科が入っているわけです。

「街づくり」というのは、街路をつくったり、街路樹をつくったり、歩道をつくったり、建物をつくったり、広場をつくったりもそうですが、ハード面でものを作っていくということもあります。それと同時に、ひらがなで書く「まちづくり」というものもあります。それは、人がどのように関わって街を活性化していくか、生き生きと自分たちで楽しく生きていく、そういう全体像を作っていくのが「まちづくり」で、それもその環境の一部です。ですから、自然環境と、街の環境を考えていくことに対して、ここ何年かで、行政的には、「自然再生法」やまたは様々な形で、都市再生のモデル事業が行われたり、いろいろな関心が高まってきていると思います。しかし、滋賀県立大学では、ちょうど発足した11年前から、もう既にそういう環境というものを、自然にしろ、人間にしろ、それから今まで開発みたいな形で20世紀に行われてきた、ある意味で人間だけが中心で、周りを破壊してきたものを、どうやってもう1回補完できるかということを考えてきました。要するに人間がやってきたものをもう1回人間の力で、元の自然に戻していけるか、あるいは、人々がコミュニケーションして、みんなで作っていった街というもののあり方を考えたりしていくわけです。

フランス政府公認の建築家として

私はフランス政府の給費留学生として、パリのボンサールという、日本の芸大にあたる学校の建築の部門を卒業しました。ヨーロッパの歴史の中で、アンドレ・パラーディオというイタリアの建築家の、フランスにおける影響というのを、論文で出しました。

歴史を考えるということとか、計画をつくっていくということは、日本で考える以上にヨーロッパの学校では重視しています。それは、自分がそこに存在する個ではなくて、歴史の継続の中での一人であるということとか、計画の中でものを作るときに、いわば周囲全体をながめて、そこに一番いいプログラムから、学生にどういうものをそこに建てたらいいかということまで考えさせて、課題を出します。私は、日本の大学を出てから、向こうでボンサールを出たわけですが、この考え方のシステムは、その後、滋賀県立大学の環境科学部において、応用できると思ったので、お受けしたわけです。

環境フィードバック

環境科学部には、非常に特徴的な授業があります。「環境フィードバック」というのですが、これは学部に入ってきた1、2年生に必須の授業です。これはまず教授たちが設定した現場に学生たちが行って、まず最初に、そこから何を得られるかを考えます。自分たちの足で歩いて、目で見ていきます。鳥の声や騒音も、音という環境ではあります。そういうものも全部含めて、五感を働かせて、そこで何を得られるかということをキャッチする授業です。

その中からちょうど私が指導しているところは、昔、琵琶湖にたくさんあったラグーンについてです。昔はたくさんありましたが、いろいろと開発されたりとか、戦時中戦後の食糧難の時代に干拓されてしまったりして、少なくなっています。このラグーンは、琵琶湖では内湖という特殊な名前がついているのですが、その内湖を、もう1回見直そうという動きがあります。魚が卵を産んでそこで育ったり、鳥がそこで卵を産んで、ひなが育っていくとか、いろいろな生態系にとっても大事であるし、景観という意味では、人間にとっても非常に大事な場所なわけです。それを今、毎年のように学生たちが地元の方たちと交換のヒアリング会とかワークショップをして、昔はどうであったか、昔の様子に近づけるために、今の私たちは何ができるのかということを、授業でやっていたりしています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。