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防災インタビューVol.28

防災・福祉を核として地域コミュニティの再構築を

放送月:2008年3月
公開月:2008年10月

金澤 淳 氏

防災まちづくりの会・東久留米代表

「防災まちづくり学校」について

防災まちづくり学校・世田谷区

「防災まちづくり学校」というのは、私どもの会では一番大切かつ大きなメニューです。この「防災まちづくり学校」は、今では市民大学の中期コースの常設コースとして認めてもらっており、今年度で5年目を終わったところです。卒業生がもう134人おりまして、その中には市会議員の方が5人ほどおります。受講生の市民の方では、自治会とか自主防災組織から受講料を払ってもらって参加する方もいらっしゃいます。

「防災まちづくり学校」というのは主催が生涯学習課、企画運営が「防災まちづくりの会・東久留米」で、全部任されてやっております。この学校のスタートの経緯としては、地域の防災のことを勉強していくと地域防災計画という憲法みたいなものを学びますが、それを実際に勉強してみると、いろいろな疑問が出てきます。「この点はどうなっていますか」ということを防災担当の方にお伺いすると、「実はそれは東京都が書けと言うから書いただけで、実際にそれはできていません」と素直におっしゃるのです。これはけしからんな、という思いがありました。

また、ちょうどメンバー2人が国分寺市主催の「防災まちづくり学校」に域外留学をさせてもらいました。国分寺の学校は今年で多分30回は超えているので、阪神淡路大震災の前からやっていると思います。そして卒業生は「市民防災委員」となって、防災の活動をしていらっしゃいます。それを知って「あんなことができたらいいな」と思ったのです。先ほど申し上げましたように、地域防災計画という市の計画はしっかりあるけれども、実は市民のは防災は全部市役所に任せっきりです。市役所が防災計画をしっかりとやっていないのは、市民の防災意識がないからだということが分かりました。そこから「防災まちづくり学校」が必要だと感じたわけです。それには国分寺に留学をした人が主になり、カリキュラムを作って学校を始め、今年度5年目が終わったところです。

この「防災まちづくり学校」は実は本来は行政の仕事だと思っています。行政に何もかも頼ったらお金がないですし、ニーズがあるから全部やるというわけにはいかないので、このへんに、われわれがお手伝いする意味があると思っていますが、逆に言うと、日本で行政がやるべき「防災まちづくり学校」というものを、われわれ市民がやっているところは、めったにないのではないかと思っています。

「防災まちづくり学校」のカリキュラム

「防災まちづくり学校」のカリキュラムは、昨年の例では1回から10回までありました。第1回はオリエンテーションです。オリエンテーションというのは、「地震はなぜ起こるか」「大地震の発生の確率」「耐震補強はなぜ大事か」「家具の固定が大事」「自分たちの避難所の問題は?」など自治会向け出前講座でやっているのとほぼ同じです。

防災まちづくり学校・耐震補強/防災まちづくり学校・あかりづくり/防災まちづくり学校・ガラス飛散防止

第2回は耐震補強、各種工法の紹介。耐震補強はなぜ必要かということを一級建築士の話で勉強します。

第3回が家庭内の防災対策。これは先ほど申し上げたあかりづくり、ガラス飛散防止フィルム貼りといったものを、実際にこの講座で体験します。

第4回のカリキュラムは、市内の防災関連部署の見学です。市内の浄水場、備蓄倉庫、万一大地震があった際に仮設住宅を建てるための農地を見学し、その後、非常用飲料水として民家と協定を結んでいる防災用の井戸へ案内してもらい、そこで実際にポンプを動かして水を飲みます。そして最後のコースは危険地域の見学です。川の近くに崖があり、そこは大地震がくると崩れる恐れがあります。そんな所を見て回るのが市内の防災関連部署の見学です。

第5回は「世田谷区の学校協議会と地域防災」という題で世田谷区役所の方に講演をお願いしました。練馬区や横浜市でもそうですが、世田谷区では各学校ごとに学校協議会というのがありまして、防災訓練は学校長が指揮を取り、行政関係者のほかに生徒・保護者だけでなく、地域の自治会やボランティアが協力する仕組みができています。私どもは世田谷区立三宿小学校の防災訓練を見学に行ったのですが、そこの防災訓練では卒業生、OBたちがちゃんと役割を持って、その時はおやじの会の人たちと炊き出しをやっていました。練馬や世田谷区では地域が学校を育て、支援するというシステムができていて、防災はその中の一つなのです。これは非常にうらやましいことです。

第6回が東久留米の地域防災計画ということで、東久留米の場合は総務部の防災担当課長からお話をしていただきました。世田谷区の事例を聞いた後なので、受講生から随分鋭い質問が出ましたが、非常に残念なことに財政破たん寸前の様子では、お金もないし人員も不足ということでかわされてしまいました。まあこれは市民の知恵の出しようで、まだまだ何とでもなるところがあるのではないかというふうに考えています。

第7回は立川の防災館に見学に参りました。ここでは消火器や心肺蘇生法であるCPR、AEDを使ったりもしますが、何よりもここが素晴らしいのは、震度7の体験ができることです。防災館は池袋や本所にもありますが、ビルの上にあるので、なかなか震度7の体験はできません。実際に体験すると、震度7になったら動くことすらまったくできないということが実感できるわけです。これでまた市民の皆さんには、大震災への印象を深くしていただけたと思っております。

第8回は「地震だ!あなたならどうする」ということを学ぶものです。これは、たとえばエレベーターで地震が起こったらどうしますか、地下街で地震が起こったらどうしますかとか、そういったことをわれわれが開発した独自な手法で皆さんに書き込んでもらいます。これは非常にユニークなカリキュラムだと思っています。

第9回は救急救護の講義と実習を消防署で行います。

第10回は災害時の要援護者対策というお話とグループ討論をして、終了式です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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