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防災インタビューVol.30

地震防災研究の実践を目指して

放送月:2008年5月
公開月:2008年12月

翠川 三郎 氏

東京工業大学大学院 教授

地震工学、地震防災との出合い

私は大学で建築学科に入学しましたが、入学した時は普通の人と同じように建築家になりたいと思っていました。しかし入学して勉強を始めると、厳しい現実に突き当たりました。有名な建築家になるには、やはり才能が必要ですが、すぐに自分にはそういう才能はないということが分かりました。建築には建築構造という分野があり、そこで、いかに地震に対して頑丈な建物を建てるかという勉強を始めました。そして、地震に強い建物を建てるには、地震の時にどういうふうに地面が揺れるのかということを知らないといけないので、そういうことを勉強し始めました。その後だんだん地下のほうに潜ってきて、地震工学とか地震防災とかを研究しているというのが現状です。

青葉区周辺で過去におきた大地震

横浜周辺で大きな被害があった地震というのは、さかのぼりますと1923年の関東地震というのがあります。今から85年ぐらい前になりますけれども、その時には全体で10万人以上の人が亡くなっています。横浜の街の中心部でも2万7千人ぐらいの方が亡くなっていて、非常に大きな被害が出ました。しかし、放送局があるこの地域、青葉区やイッツコムの聞けるエリア辺りでは被害はあまりありませんでした。

関東地震での横浜の被害

その理由はこの辺りが当時、農村部で、あまり人が住んでいなかったということにあります。昔は地盤の良い所に建物を建て、地盤の悪い所は田んぼや畑に使っていましたので、そういう意味でも被害は出にくかったのです。ただ、今はかなりの部分が宅地化されていて、いろいろな所に皆さんが住んでおられるので、関東地震のときに被害がなかったからといって、次にもう一度同じ地震が起こった時に、この地区で同じように被害が小さいという保証はありません。そのへんが問題です。

今、この青葉区エリアというのは、とても住宅地として人気が高いですし、家がたくさんあるので、地盤が良い悪いではなく、ほとんどすべて駅の周辺は建物が建ってしまっています。その中でも良い所、悪い所というのが、もちろんあるわけです。そういう情報というのは、いろいろ調べていただくと、どんな地盤になっているかということや、地震の時にどういうふうな揺れ方をするかというような情報がありますので、皆さんのお宅がどうなっているかというのを調べていただきたいと思います。特に横浜市では「地震マップ」というものを作っておりますので、こういったものをご覧いただくと、大きな地震があったときに、ご自分のところがどのくらい揺れるかということが分かります。そういう個々のことは、皆さんでお調べいただけるとよいと思います。

横浜市の地震マップ

今後起こる可能性の高い地震

関東地震というのはマグニチュード8クラスの大きな地震でしたが、今心配されているのは、それよりも一回り小さい、マグニチュード7クラスの地震が、東京や横浜の直下に起こる可能性が高いということです。

内閣府の中央防災会議でも、首都直下地震対策専門調査委員会をつくって、「そういう地震が起こったら、どんな被害があって、どんな対策を取るべきか」ということを考えています。直下型の地震が起こると、揺れやすい所では多分、震度6強ぐらいの揺れになると思います。ですから「そういう大きな強い揺れが来るんだ」ということを認識して、われわれはそれなりに、それぞれの立場で対策というのを考えていく必要があると思います。

このような地震が起きたときに、古くて耐震性の低い建物というのは、かなり被害を受けることになりますので、そのためには耐震補強することが重要ですし、建物が倒れなくても中のものはめちゃくちゃになりますから、家具を固定するというようなことも必要です。そういう身近なことを皆さんに考えていただきたいと思います。

揺れやすい所、揺れにくい所

地震というのは場所ごとに揺れ方が違い、地盤によって揺れやすい所と揺れにくい所があります。そこで、横浜市では「高密度強震観測ネットワーク」として、市内に150台の地震計を置いて、地震の時にどういうふうに揺れるかということを、非常に綿密に調べています。横浜市は430平方キロメートルありますが、設置したのは150台ということなので、3平方キロメートルに1台ずつ地震計が置かれていることになります。そういうもので地震の記録を調べていくと、例えば揺れやすい所と揺れにくい所では、10倍ぐらい揺れの震幅が違うということが分かります。震度に換算すると、2違うということになるのです。そうなると、揺れにくい所は震度3ぐらいだったのに、揺れやすい所は震度5だったということにもなります。こういうことは、きめの細かい観測をして初めて分かったということです。今、横浜市は150台の地震計を持っていますが、これは横浜市の大きな財産ということで、今後も観測を継続するということが重要です。

横浜市での岩盤までの深さの図

関東平野全体というのは盆地構造になっていますが、横浜市もその盆地の上にあります。横浜市は非常に深い盆地の構造の上にあって、非常に硬い岩盤までは3キロぐらいの深さの軟らかい地盤の上にのっています。横浜市の中でも、この岩盤までの深さというのは一律ではなく、2キロから4キロぐらいの深さで変化しています。

例えば、港北ニュータウンの辺りは比較的深くて、深さが3.5キロあります。これが西の方にずっと行って、例えば中央林間の方に行けば2キロぐらいの深さになって、西の方に向かってだんだん浅くなっています。今話題になっている、非常にゆっくりした波がやってくるという長周期地震動というものがあります。この長周期振動が来ると、高層ビルが非常に揺れるということが言われています。このような長周期地震動と岩盤までの深さには密接に関係あるということも、このような観測を通してだんだん分かってきました。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。