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防災インタビューVol.30

地震防災研究の実践を目指して

放送月:2008年5月
公開月:2008年12月

翠川 三郎 氏

東京工業大学大学院 教授

イベントで学ぶ防災対策

防災サバイバルキャンプでの講義

私は現在、イベントを通して防災対策を学んでもらうための活動もしています。一つは、3年前ぐらいから始めたもので、都筑区のNPO法人が行っている「サバイバルキャンプ」のお手伝いです。これは夏休みに小学生の方を集めてキャンプをするというもので、キャンプの初めに、まず地震の防災のお話を私のほうでさせていただいています。「地震とはどんなものか」「地震の時にどんなところが危ないのか」ということをお話しさせていただいて、その後お子さん方皆さんで街歩きをして、「どんな所が危ないのか」「どんな所に災害の時に役に立つ井戸や公衆電話などがあるか」というようなことを調べて、自分たちの町の安全点検をしてもらっています。街歩きから戻ったら、その結果を基にそれぞれの防災マップを作っていただくというようなことをやっていただいています。これは、サバイバルキャンプですので、日が暮れてからは、ある大学の体育館をお借りして、そこで避難所生活を体験するために泊まっていただきます。自分たちでご飯を炊いたりしながら、キャンプと避難者の体験とを合わせて、楽しみながら経験していただくというものです。翌日は消防署の方や東京ガスの方にご協力いただいて、ロープの使い方の講習や給水のしかた、炊き出しの訓練などを行います。東京ガスでは、各家庭にマイコンメーターというものが設置されていて、地震の時にガスが止まるようになっているのですが、自分たちで復帰することができますので、その復帰のしかたなどを楽しみながら学んでいただきながら1泊2日のキャンプをしています。キャンプの後にはコンテスト形式で、皆さんが作った防災マップを発表していただいて、みんなでどんな防災マップを作ったらいいのかということを考えていく機会となるような防災シンポジウムもやっています。非常に良くできた方は表彰する企画になっていますが、小学生の皆さんも一生懸命やっておられます。

もう一つは、鶴見区と一緒になってやっているものです。鶴見区は防災に対して非常に熱心で、「鶴見区防災会議」というのがあります。この会議で皆さんと一緒に防災について話し合いながら、地域としての防災を考えるというような取り組みがあるので、そういうこともお手伝いさせていただいています。

地震工学からサバイバルキャンプへ

前述したようなイベントなどに、なぜかかわるようになったかというと、通常、私たちは地震工学の研究をしていますが、研究ですから必ずしも日常すぐに役立つというわけではなく、将来的に役立つような研究をやっているわけです。研究を続ける一方、皆さんに役立つようなことを前々からやりたいとも思っていましたが、なかなか自分からそういう場に出るというのは難しいものがあります。都筑区の場合は、NPOの方がご相談に来て「先生、先生、協力していただけないでしょうか」というお話だったので、「じゃあ協力しましょう」ということで参加しました。われわれ研究者だけではなく、皆さんにも言えることですが、後ろから背中を押してくれる人がいないと、なかなか新しい事にはチャレンジできない傾向があるので、お互いにおだて合いというか、背中の押し合いというのが、きっかけとしては重要だと思っています。

実際そういう活動に参加して、地域の皆さんやお子さんたちと会って感じたのは、「子どもたちというのは非常に鋭い感性を持っている」ということです。あまり難しいことを話しても興味を持っていただけないのではないかと思って、ちょっと手を抜くと、質疑応答の時に、こちらもなかなか答えられないような鋭い、非常に良い質問がきます。例えば「地球はどうしてできたのか」とか「地球のでき方と地震の起こり方がどうなのか」とか、そういう非常に鋭くて難しい問題を投げ掛けられて、私もけっこう冷や汗が出ますが、とても勉強になります。

やはり小さい時からこういう問題に興味を持っていただくことは、とても大事で、そういう意味でも防災教育というのは非常に重要です。こういうことから、将来、地域の防災活動をリードするようなリーダーが生まれてくれないかという期待も込めて、こういう防災活動に少しずつ協力させていただいています。

本当は防災教育というのは学校教育の一環としてもやっていただきたいし、こういう課外活動のようなことをやっていただいて、いろいろな角度から防災に興味を持つことができる機会をつくることは非常に重要です。お子さんがいろいろな機会で、このようなことを学ぶと、家庭に帰って親御さんにお話しして、逆にお子さんが親御さんを教育するというようなこともできるのではないかと期待しています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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