地震の揺れと建物

青葉区辺りのこの地域は、一戸建て住宅が多い地域です。1981年に耐震設計基準が新しくなりましたが、この新しい耐震設計基準で建てられた建物というのは比較的安全で、あまり心配しなくてもよいだろうと言われています。問題は古い建物です。1980年以前に建てられた建物については、耐震性の低いものがあり、そういうものが大きな揺れを受けると大きな被害を受けて、最悪の場合には倒壊して、中にいる方がつぶれて亡くなってしまうということが心配されています。
また地面の揺れだけではなく、地面の揺れによって地盤が壊れ、それで建物に被害が起こるということもあります。例えば宅地の造成で、切り土、盛り土というのをやりますが、切り土のほうは自然の地盤を切るので問題はないのですが、盛り土というのは人工的に土を盛っていますから、その盛った所は地盤が弱くなります。ですから、そういった所は地震によって地盤が被害を受けて、その上にのっている建物に被害が起こるということがあり得ます。宅地の造成によって、ひな壇ができているような所は、ご自分のお宅が切り土なのか盛り土なのか、盛り土だったら、それに対して対策が取られているのかどうかを確認されたらよいのではないかと思います。
住宅の耐震化の進ちょく状況
1980年以前に建てられた古い住宅については、耐震性の低いものがあるということで、横浜市では無料の耐震診断制度を導入しています。横浜市でこの耐震診断の対象となる建物は、大体20万棟ぐらいあります。その中で無料の耐震診断制度に応募された方が、今のところ2万棟ぐらいありますので、全体で対象となる10%ぐらいの方が耐震診断を済ませています。まあ10%ですが、これは全国から見るとかなり多い数字です。
横浜市では耐震診断をして、その住宅が危険だということになれば、耐震補強に対して補助金を出す制度もあります。先ほど申し上げた耐震診断を受けた2万棟のうちの、大ざっぱに言って半分ぐらいは危険であるという判定が出ていますので、約1万棟ぐらいが危険だということです。それに対して耐震補強の補助制度を使っている方は、危険と診断されたうちの10%、1000棟弱ぐらいしかないということです。
結局、対象となる20万棟のうち、耐震診断をした人が10%。それで危険だと言われて補助制度を使った人が、そのうちの10%ですから、本来やるべきものの1%ぐらいしか対策がなされていないということです。これはやはり大きな問題で、いかに皆さんにきちんと耐震補強をやっていただくかということが、重要なことになってくると思います。
マンションと地震の揺れ
マンションにお住まいになっている方は、マンションの上の方は揺れやすいということは分かっていると思います。例えば、地面の震度が5だとしても、建物の上の方では震度6ぐらいになり、震度で1ぐらい違うことがあります。ですから、マンションでは地震の時は、かなり揺れるということを覚悟していただきたいのです。そのように考えると、マンションでは普通の戸建て以上に、家具の固定が重要になってきます。
最近、非常に高層階のマンションも多くなってきていますが、例えば東海地震が静岡の方で起こったとしたら、長周期地震動により横浜の高層マンションは最悪の場合、1メートルぐらい大きく揺れるというような予想もされています。この場合、建物自体は多少被害はあるかもしれませんが、建物がそれによってつぶれるというような恐れは、それほどではありません。しかし、1メートルぐらい揺さぶられるわけですので、家具の固定がとても重要です。
家具をしっかり固定する方法

家具の固定で一番いいのは、壁にしっかりと金具で家具を留めるということですが、壁のほうがしっかりしていないために金具がしっかり取り付けられず、家具を固定できないという場合も少なくないわけです。その場合は、別の方法も考えないといけません。例えば、突っ張り棒や家具の下にストッパーのようなものを挟むという方法もありますし、ねばねばしたものを家具の下に置くというような方法があります。しかし、それぞれ単独ではあまり効果がなく、これらを併用すると非常に効果が高くなります。突っ張り棒とストッパーを併用したり、突っ張り棒と下にねばねばした粘着するようなものを併用すると、かなり効果が高いということが言われています。
もっと簡単な方法としては、家具の上に、きちんとすき間がないように段ボールのようなものを入れると、ある程度の効果があり、何もやらないよりましです。取りあえず、そういうことをやっていただくということも重要かと思います。ただ、この際、段ボールがいいというのは、発泡スチロールなどを使うと、火災の時に燃えて有毒なガスが出るというような問題があります。段ボールも燃えますが有毒なガスは出ませんので、そういう意味では段ボールのほうがいいと思います。