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防災インタビューVol.33

地域防災の組織化と意識の啓発

放送月:2008年8月
公開月:2009年3月

中西 武夫 氏

元横浜市青葉区すすき野連合自治会長

防災は地域の課題

自治会などで地域に関わっておりますと、地域のさまざまな課題の中で、もっとも重要なのは防災だろうと実感します。地域には幾つもの課題がありますが、普段かなり意識的にやっていないと防災の体制はつくれません。地域の多くの人々と多くの団体が一緒になってやらないと、防災システムをつくり上げることはできません。連合自治会として、組織的に防災の問題に取り組もうということでこの数年検討を進めてきました。

防災に一番だいじなことは地域のコミュニティーの育成ですが、青葉区の多くの地域では、まだまだコミュニティ環境が育っていないのではないかと思います。私たちがいつも感じていることは、防災意識の啓発の困難さです。防犯ですと、鍵を2重にしたとか、呼び子を持っているということで、何となくそれなりの効果が実感できるのですが、大災害に対する備えというのは、どこかで大地震があったというような時には、はっとして水や食料を備蓄しなくてはと思うのですが、あまりにも巨大な天然・自然の猛威とぶつかるということで、如何ともしがたいアナーキーな心境に陥ってしまいます。思っていることと、それに追い付いてやっていくという行動がなかなか結び付かないところがあります。それを平時からの備えとして準備してもらうようにするには、地域の中での共同の問題意識を相当、意識的に高めていかないと対応ができないというのが実感です。そういう思いがきっかけになって、地域の多くの人々と課題意識を共有して防災問題に取り組んでいます。

青葉区のコミュニティーの実情は?

青葉区の場合、最近は相当二世代目、三世代目が住むようになりましたが、コミュニティーの歴史自体はまだ30年、40年しかありません。青葉都民と言われるように、住民の意識が横浜市民であることよりも外に向いています。青葉区は今、横浜市の中で2番目に若い人が多いと言われているのですが、年齢構成が平均的に各地域に分布しているわけではないのです。非常に年を取った人が多い高齢化した地域と、開発がまだ進んでいますから、非常に若い方が住み始めた地域とが、まだらに存在しています。高齢化が進んだところは、もう第一線を引いた方たちが多く、日中に災害が起こったときには、どうやって自助・共助していくかという意味では非常にパワーが不足している地域です。一方、若い人たちが住んでいるところは、共働き世帯が多く、ほとんど日中に人がいないというような、非常に共助のバランスが難しい地域が多くなっています。これをどう解決していくかということが課題だと思います。

地域の防災意識の啓発のために

災害時には、自助・共助・公助が必要になりますが、これは易しいことではないと思います。共助については、いろいろ協力関係を構築できるのですが、自助といって、自分でやらなければならないことがあります。大震災の場合、ほとんどの家が倒壊し、瞬時に命が絶たれているということですから、自助の最大なものは耐震補強だと思います。命あってこその、共助、公助ですから。公的な支援を公助と言っていますが、行政は3日間で支援体制に入ると言いますが、私たちは、少なくとも5日、1週間分の水、食料を各自が確保(自助)をしておかないといけないのではないかということを前提に、地域の防災システムを考えています。

自助の部分では、自分の家が倒壊してしまうというだけで済めばまだしも、もしそこが火災でも起こすということになりますと、周辺地域を巻き込んでしまうわけです。やはり自助の姿勢を確立するところから共助・公助と展開ができるのですから、その意識をどうやって醸成していくかというところが一番だいじなことです。そのために、日ごろのコミュニケーションを取るための活動に参加してもらう、そのきっかけをどうつくるかが日常的な地域の課題だと思っています。防災訓練だけではなく、あらゆるチャンス、いろいろな行事、餅つきや子ども祭りとか、そういうところに顔を出していただくことで、向こう三軒両隣の隣人意識・住民意識をどう培っていくかを考えています。さまざまな地域行事に参加していただくきっかけ、仕掛けを日常的につくる、これが平時の防災活動であり、地域の協力関係をつくる上で大切なことだと思います。

地域での防災訓練

地域の自治会などで行っている防災訓練への参加者は、まだまだ非常に少ないのが実情です。かなり意識的にリードをしていく中で、子どもたちを引っ張り込むことも考えています。お母さんたちは忙しくて来られないけれども、おじいちゃま、おばあちゃまと一緒に出てきてもらえるとか、いろいろな仕掛けを考えないといけないところがあります。まずは「あれ? こんなこと知らなかった」ということを知ってもらうために、場に出てきていただかなければ仕方がないので、知恵を出していろいろなことをやっています。実際には防災用品などは各自治会の倉庫に、それなりになんらかの備蓄がありますが、それに触ってもらうなど、いろいろな演出も必要です。このような地域参加のアイデア探しを、各地域各ブロックごとで知恵を出しあっています。

住民の方々に地域のお祭りなどにも出てきてもらって、お互いに顔を見知ってもらうことも大切です。「あれ?あの方この間顔を見たんだけど、今日はいないね」という風に思い出してもらえるかどうか、隣人意識を育てていくことから始まります。隣近所の顔を知って、まずは自助、自分で自分の命を助けるという意識を持ってほしいですね。

自助・共助・公助とは

自助というのは、自分で災害にいかに備えるかということになると思います。そして、自分だけではできないことを向こう三軒両隣、地域のお仲間がどうやって助け合うか。これが共助になると思います。災害の規模が大きくなって、地域の一般住民の備えではどうにも対応ができない、大きながれきができてしまった、道路が閉鎖された、食料が底をついたというときに、行政の、公の助けが必要になるわけです。その公助にたよる前に、いかにその周辺住民で助け合うかということを、私たちは日常の人間関係をどうつくるかということをベースにつくりあげていく、これが共助の基本姿勢です。いろいろ課題はあるのですが、自治会が一つの共助の中核になっていかなければいけないだろうと考え、地域の意識を高めているところです。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。