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防災インタビューVol.34

緊急地震速報を最大限に活かすには?

放送月:2008年9月
公開月:2009年4月

大原 美保 氏

東京大学大学院准教授

緊急地震速報が出たら

まず大事なことは「慌てない」ということだと思います。慌てずに周囲の状況を確認して、身の安全を確保してください。テレビや商業施設などで緊急地震速報を耳にするときは、まず独特な「チャラチャラーン」というようなチャイム音が鳴ります。これは、この音を聞いただけで緊急地震速報だと分かる音ですので、覚えていただくとよいと思います。その音を聞いたら、まずは慌てないで対応してください。

2008年6月の岩手・宮城内陸地震の際には、仙台や山形などでは余裕時間が15秒ぐらいありまして、いろいろな対応をされた方々がいらっしゃいました。新聞報道などでもインタビューが出ていまして、例えば子どもに「机の下に隠れなさい」と指示して、安全な場所に移動したという事例があります。また悪い例としては「たんすを押さえた」というのが意外に多いです。これは、揺れが大きい場合には人が手で押さえて、たんすがどうにかなるものではないので、全く良くないです。あとは「何がなんだか分からなくて固まってしまった」という意見もありました。やはりこのチャイム音を聞いたことがなくて、何がなんだか分からなくて、何も対応できなかったという人もいます。

普段からの心構え

地震が起きたときは、決して棚やタンスを支えようとせずに、丈夫な机の下や危険のない所に移動することを心がけよう

緊急地震速報が出る前に、普段からの心構えも大切になってきます。実際に家の状況や普段自分がよく出入りする場所の状況を見て、ここではこういうことが起こったらどうしようというのをイメージしておくということが、非常に重要だと思います。緊急地震速報は、地震の前に出るといっても数秒から数十秒しかないので、実際に事前に「どうしようか」と思っておくだけでも、体がすぐ動くかどうかは全然違うと思います。

では、どういう行動をしたらいいかということですが、まず家庭であれば、たんすなど大きな家具から離れて、丈夫な机の下や危険のない所に移動したりしてほしいと思います。数秒ぐらいで揺れが来てしまった場合に、慌てて外に飛び出していると、飛び出している最中に転んだり落下物で被害を受ける可能性がありますので、必要以上に慌てる必要はありません。商業施設などにいるときには、緊急地震速報を聞き取れた人と聞き取れていない人がいて、情報の入手に差が出る可能性があるので、知っている人がパニックになって、大声を出して騒いだりすると、余計なパニックを生む可能性がありますし、慌てて出口や階段などに殺到したりというような群衆行動を誘導しないように、落ち着いて皆さんで行動をしていただきたいと思っています。また自動車を運転している場合に、ラジオなどで聞いた場合は、いきなり止まったりすると本当に危ないので、いきなりスピードを落としたりせず、ハザードランプなどで点灯して周りに教えるとか、いきなり極端な行動に出ないように、まずは慌てないで行動するということが重要だと思います。

イメージトレーニングの必要性

地震が起きたらコンロの火を消そうとせずにまずは避難する

先ほど、緊急地震速報をうまく活用するには、日ごろから心構えをしていかなければいけないというお話をしましたが、私自身、大学で防災に関する研究をやっていることから、日ごろからのイメージトレーニングをするための学習ツールを最近、開発しています。これは「緊急地震速報時の対応行動レファレンスウェブ」という名前をつけています。実際に緊急地震速報が出たときに、どういう対応をしたらよいかというような、いろいろな典型的なシチュエーションを見せて、実際に判断してもらうというようなトレーニングツールになっています。その画面の中で、デモの音声を聞いてもらって、緊急地震速報のリアルなイメージを持ってもらったり、基礎知識についての学習をしてもらいます。

クイズ形式の分かりやすい形で勉強できるような学習ツールとして構築し、典型的なシチュエーションについて写真付きで見せながら、「どういった行動をするのがいいか」ということを考えてもらうようなツールです。

そこでまず質問ですが、家庭で火を使用しているときにテレビから緊急地震速報が出されました。その場合は①消火してから避難する②火元から離れて、できるだけ危険が少ない場所に避難する③火が燃え移らないように周辺の物を退ける。その三択だと、どれが最も適切な行動だと思いますか。

正解は②です。しかし①の「火を消しに行く」と答える人がけっこう多いです。特に天ぷら油でしたら、火を消しに行っている間に揺れで油をかぶってしまって二次災害になったりします。本当に典型的な場所でも、望ましい行動はいろいろあります。しかしながら、その人にとっての最適な行動というのは、場所、時間、一緒にいる人によってさまざまに変わります。例えば子どもさんが一緒にいるときは、子どもさんの身の安全を守るということが最優先になります。

従って緊急地震速報が出たときに「私は何をしたらよいのですか」と言われても、状況によって違うので、その時の最適な行動が何かというのは答えられません。日ごろからイメージトレーニングをしてもらって、その場その場で皆さんが正しい判断ができるようになってもらうということが重要だと思っています。

大地震が起こる前に

イメージトレーニングの重要性もお話ししましたが、一番大切なことは、皆さんが日ごろからいろいろな場所にいるときに「ここで地震が起こったらどうしようかな」ということを常に考えていただくことです。「ここにいたときに、たんすが倒れちゃったら困るな」と思われた場合には、まずそれに対する対策を事前にやっていただきたいと思います。その対策を行うことで、いざ緊急地震速報が出た際に、よりうまく活用できると思います。

緊急地震速報は2007年10月1日から一般提供が開始されて、まだ1年たっていません。(2008年9月インタビュー収録当時)世界に先駆けて日本で導入している技術ですので、まだまだ課題もありますが、今後、長い目で見て緊急地震速報を最大限活用できるように、市民の皆さんもイメージトレーニングをして、日ごろからいろいろ考えてほしいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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