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防災インタビューVol.34

緊急地震速報を最大限に活かすには?

放送月:2008年9月
公開月:2009年4月

大原 美保 氏

東京大学大学院准教授

緊急地震速報の活用法

緊急地震速報が流れると、一般家庭でも安全な所に避難したりなどの対応を取ることが可能ですが、その他いろいろなところで活用されています。列車を制御して、揺れが来る前に列車を止めて、脱線などの被害を減らしたり、クレーンや高所作業などの危険作業をしている人に、あらかじめ揺れが来ることを教えておくことで、その方々の被害を減らすなど、いろいろな方法が考えられます。

実際に、建設現場などでは「パトライト」と呼ばれる赤ランプを鳴らして、こういった方々に情報を伝えるということもされていますし、例えば病院の中では、手術室にそういった赤ランプを入れて、手術しているお医者さんたちに、揺れが来るのを知らせています。列車や新幹線にも既に導入されておりますので、揺れが来る前には列車が止まると思います。

緊急地震速報のもう一つの効果

2007年10月1日に一般提供が開始されてから、今までに7回緊急地震速報が出されていまして、実際に活用されています。緊急地震速報というのは、揺れが来ることを知って、何らかの行動をして被害を軽減することだけではなく、こういった情報を毎回聞くことによって、地震への意識を高めることができるという効果もあります。

緊急地震速報を体験することによって「じゃあ、実際に家具の固定をしよう」とか、家の中を点検して「うちの間取りは危ないんじゃないか」とか「ここのガラスの近くに寝ているのは危ないんじゃないか」というような、家の中の危険性に気付いたり、何かの対策を取ろうという防災対策の推進に結び付く可能性もあると思います。

最近では、商業施設や鉄道などで「緊急地震速報を導入している」というような貼り紙やサインなどを目にすることがあると思いますが、そういうものを通して緊急地震速報というものを、ちょっと思い出していただくのも、日常の生活の中で効果があると思っています。

緊急地震速報の一般利用と高度利用

今までお伝えしてきた、最大震度が5弱以上のときに発表され、具体的な推定震度や余裕時間を発表しないというのは、地震速報の一般利用の場合のお話でした。この一般利用とは別に、高度利用というのもあります。これは、一般利用よりも詳細な情報を入手して利用するというものです。

一般利用では最大震度が5弱以上の時しか情報が入りませんが、高度利用では最大予測震度が3以上のときに情報を入手することができます。また推定震度や余裕時間は一般利用では知ることができないのですが、高度利用では知ることができますので、あと何秒後に揺れが来る、その揺れはどれくらいの大きさの揺れかというのを理解して、対応することができます。

この高度利用を一般の方が利用するためには、家庭用の専用の端末の設置が必要になってきます。この端末機上に「あとどれくらいで、どの程度の地震の揺れが来る」というような情報が出ます。テレビやラジオなどで聞く情報は一般利用ですが、家庭用端末では、さらにそういった余裕時間や震度などの情報を見ることができます。

高度利用の利点

日本では体に感じる地震は、年間何回ぐらい起こっているかというと、ほぼ1500から2000回です。地震活動というのは年によって違うので、2000を超える年もあれば1000ちょっとの年もあり、まちまちですが、大体1500から2000前後です。その中で震度5弱以上、5弱、5強、6弱、6強、7というのは非常に限られた回数です。

従って一般利用で知ることができる震度5弱以上の地震が起こる可能性は、体に感じる地震の1%以下なので、一般利用で震度5弱以上の地震というのはほとんど起こらないというものですし、自分の住んでいる場所に震度5弱の地震が起こることは、非常にまれなことです。震度5弱や4なども含めますと、1年間に起こる全体の地震の約3%程度になります。高度利用では最大予測震度が3以上から情報を入手できるということですので、テレビやラジオで緊急地震速報を見聞きするよりは若干多い回数で、そういった情報を見聞きすることができますから、聞いている側の防災意識も高まるし、毎回見聞きすることによって訓練ができますから、いざ本当に大きな揺れが起こるときにうまく対応できるというような、聞き手側のスキルアップが図られると思っています。

実際に大きな地震が来たときは、やはり一般利用ではなくて、高度利用の家庭用端末を設置をしておいたほうが、テレビを消していた夜中などでも対応できるので、非常に有用であると思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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