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防災インタビューVol.40

災害と共存しながらも安心して暮らせる幸せな社会へ

放送月:2009年4月
公開月:2009年10月

佐藤 唯行 氏

NPO法人シュアティマネージメント協会代表

NPO法人SUMAのHP:http://www.suma-j.com/index.php
佐藤のブログ(いきつなぐ活動報告):http://blog.suma-j.com/

防災に対するポジティブな言葉「シュアティ」「シュアリング」

今までの防災、減災、安全・安心というものが、人々の積極的な行動になかなかつながらないという話をしましたが、それは「防災してる?」と言われても、なかなかピンとこないということです。

このことは過去にもありました。例えば水俣病やイタイイタイ病、四日市ぜんそく、環八大気汚染等の環境汚染問題、汚染対策と言われたときに、人々はその問題に対し、何か簡単に取り組むことがし難かったと思います。しかしそれが、エコロジーやエコという形になったときに、その問題に取り組み易くなりましたし、それに関わることが少しトレンドになってきました。「エコ(アクション)してる?」や「チームマイナス6%」がそうです。

災害に対してもそういった概念、言葉が必要です。そして、それに関わることが大人として正しい振る舞いなのだというような、ポジティブにしてくれるような言葉が必要だと思いました。丁度その時、「シュアティ」という言葉が、アメリカサンディアン国立研究所から提唱されているのを知りました。シュアティという英語を直訳すると、「信頼性」という言葉になるので、私は、この信頼性の概念を少し広げてみてはと考えたのです。信頼性というのは、通常における信頼性のことですので、これを異常時、非常時における安全性、あるいはテロなどの人間の悪意に対するセキュリティなどとし、このような概念を包括する言葉として「シュアティ」としました。また私は、そのシュアティという言葉を使い、もう少し動的な言葉、活動を表す言葉として「シュアリング」という言葉をつくり提唱しています。「シュアリング」は、「災害に対して前向きな活動をしている?」「シュアリングしている?」そういうふうに皆さんに使っていただければと思っています。

災害とは?

災害というのは、実は学術界の中でも定義されたものはないのです。古典を開いてみると、ローマ時代には、災害現象は社会を解剖し、社会の本質をあらわにする機会だと捉えられていました。それは、そこが社会の脆弱性だと思われてきたのです。何かそこで起こって、人々が多く死ぬと、そこは社会の弱いところなのだということを証明する機会だと捉えられてきたのです。

シュアティやシュアリングが解決しようとしている災害というのは、個人的な出来事を含めた社会的な不安、不穏な現象のことで、私はこの現象を『災害』と定義しています。

社会というのを大きく分けると、平穏な社会と不穏な社会とがあります。現在、平穏な社会は小さくなってしまってきていると感じますが、どちらかというと「自分は平穏だろうな」と思っている人ガ多いかもしれません。逆に、不穏な社会の中には、社会的な現象と個人的な出来事が入り、例えば自然災害とか、事件、事故の人為災害がそうです。最近の傾向を見てみると、個人的な出来事が社会的な現象になっていっているような気がします。それは、生徒が、同級生を殺してしまうような事件が起きると、社会に不安定な状態がしばらく続いてしまうからです。

今申しましたが、災害というのは、結論として、結果として、その社会に不安定な状態を継続させる現象なのではないかと思います。

だから災害は人ごとではないのです。サブプライムローンは、アメリカで起きたことですが、それが日本に飛び火して、失業してしまう人が多くなってきています。アメリカではクライシスと呼んでいますが、やはり、日本から見ると災害です。失業し、路頭に迷い、家族が一緒に生活していくことができない、または命を絶ってしまうような事も起きてしまう。それはやはり社会が不安定になっているということで、災害として捉えていかなければいけないと思います。それに対し、シュアリング、信頼性、異常時・非常時における安全性、そのような概念を普及していくことにより、人々がそういった人たちに対しても目を向けていき、また自然災害に対しても取り組んでいこうという形になれば良いなと思っています。

災害に対する心掛け

災害に対する心掛けとして、私たちとしては「いきつなぐ」というのが、1つのテーマになると思っています。失いたくないもの、大切なものへの愛を実現していけば良いということです。1人が最低1人の誰かを思う気持ち、その気持ちを大切にしていくことが、災害を解決していく本当の根本のきっかけになると思っています。いろいろな災害がありますが、自分の大切な人が災害に遭ったとき、「何があっても生きていてもいらいたい、そして生き延びた後は、しっかりと生活の質を確保してもらいたい」という自然な感情が沸いてきます。自分の大切な人の、災害遭遇時のQuality of Life(クオリティー・オブ・ライフ)、生活の質を考えることが大切です。それを考えるためには、災害に対する情報が必要だということに気付きます。そしてその情報を調べていくと、世の中にはいろいろな災害があり、その災害に対し被災している人、支援している人がいるということがわかってきます。その災害に被災している人のことや支援している人の活動を知ることにより、また、その人を支援してあげることにより、多くの情報が得られてきます。そしてこの多くの情報に基づいて、元に戻り、自分の大切な人のQuality of Lifeというものを考えていくことができます。この循環が、徐々に徐々に太くなって、大きくなっていくことが、この災害を解決していくための1つのアプローチではないかと考えています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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