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防災インタビューVol.45

考える防災

放送月:2009年9月
公開月:2010年3月

吉川 肇子 氏

慶応大学商学部准教授

幼児向けの教材、「ぼうさいダック」

「クロスロード」というのは、比較的大人から小学生のお子さんたちにやってもらえますが、私たちは幼児向けの教材も必要だと思っていました。今まで、保育園や幼稚園の避難訓練は、幼稚園や保育園の先生に園児たちが誘導されて、静かに黙って避難する、というのが中心でした。しかしこれでは、子どもが受け身です。災害が起こったときに、子どもたちが必ず先生や保母さん、あるいは親御さんと一緒にいるとは限らないわけです。そういうときでも子どもたちが自分で考えて行動をとることができるような教材が必要だと思って作りました。それがカードゲーム「ぼうさいダック」です。

ダックは、英語で「アヒル」という意味ですが、もう一つ意味があります。身をかがめている姿勢、これをダッキングと言いますが「地震が起きたときには頭を守って身をかがめましょう」ということを子どもたちに教えるために、アヒルのポーズを取らせるのがいいかと思いまして「ぼうさいダック」という名前を付けました。カードは裏表になっていますが、表には地震とか津波のハザードの絵が、裏にはアヒルとかカエルとか、それぞれの動作に対応した動物の絵が描いてあります。ですので、子どもたちは地震のカードを見せられたら素早くダックのポーズを取るとか、津波のカードが出たら走って逃げるチータのポーズを取るとか、そういうことをします。このようなゲームですと、子どもたちも夢中になってやっています。これは広島県呉市の保育園で大々的にやってくださっているのですが、訓練をした後で、呉市で震度4の地震がありました。その際には実際に、子どもたちはきちんとダックのポーズを取ることができたというふうに聞いています。

この他、全部で12ポーズあって、大人ですとなかなか12ポーズ覚えるのは難しいですが、子どもたちは覚えが早いです。また、ここがちょっとミソなのですが「知らない人に会ったら挨拶をする」とか「悪いことをしたらごめんなさいと言う」ポーズもあるのです。幼稚園の先生方にとってみると、日常生活のしつけも入っていますので使いやすいです。防災のためにやるけれど、しつけのためにも使うので、使う頻度が上がります。それで子どもたちもよく覚えます。また子どもが覚えて家に帰ることも、とても大事です。家に帰ると、子どもたちは「今日、幼稚園でこんなことを習った」「先生からこういうことをやらせてもらった」という話をします。そうすると親も地震のときはダックのポーズなんだとか、津波のときは走って逃げなければいけないんだというのをお子さんから学ぶわけです。ちょっとおこがましいのですが、これによって親の教育もできますし、子どもたちにとっても「両親に教えることができた」「別の大人に教えることができた」ということで、先生になれた達成感を感じ、彼らの自尊心も高まるわけです。

お年寄りの健康体操「歩一歩(ホイッポ)体操」

呉市では、全市的に「ぼうさいダック」をやっていますが、幼稚園の先生が教えるだけではなく、地域の自主防の方や民生委員の方がお子さんたちに教えるという活動も広がっています。子どもたちがやっている様子を見て、ご高齢の方たちに同じようなことを伝えられないかということを考えて、呉市社会福祉協議会が、今のぼうさいダックの12のポーズを歌にのせて、お年寄りの健康体操として開発しました。それが「歩一歩体操」です。歩一歩というのは一歩一歩という意味ですが、1番から12番まで歌うと、最初に軽い運動、そして、ちょっと大きく体を動かす運動、それから最後にまた軽い運動へ、というように流れ、一歩一歩防災の知識も身に付くし、健康も身に付くという意味で名前が付けられました。この体操は予防医学の専門家が参加されて、例えば地震の歌は認知症も予防によい体操とか、他にも腰痛に効く体操とか、お年寄りの中には立ってできない方もおられますので、座ったままでもできるようにとか、きちんと根拠のある健康体操ということでやっているところがミソですね。

歌は「ウサギとカメ」の替え歌ですので、皆さん知っているメロディーで、あとは歌詞を覚えるだけですので分かりやすいですし、しかも子どももよく知っているような曲ですので、子どもが歌って、高齢者の方が体操をするというようなこともあります。高齢者の方が体操をしているのを見ていると、今度は子どももやりたくなってきますので、本当に世代を超えて一緒に体操することもよくあります。また体を動かすことだけではなく、歌詞の中にどうしてそれが大事なのか、ということをきちんと大人向けに解説できるように、歌詞が工夫されて作られています。例えば「もしも地震が起きたなら、まずは頭を守りましょう。両手で頭を抱え込み、机の下にもぐりましょう。もしも火事が起きたなら、ハンカチぬらして口に当て、低くなって煙よけ、安全な所に逃げましょう」。これを歌っただけで地震のときにどうやって身を守るのか、ということを学ぶことができます。メロディーはなじみのあるものなので、歌詞だけ覚えればいいので簡単です。この体操を200人、300人でやられると非常に壮観です。呉市社会福祉協議会ではDVDやCDを作って、全国に配布するような状況を整えているので、問い合わせを頂ければ入手することができます。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。