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防災インタビューVol.49

災害看護の現状と今後の在り方について考える

放送月:2009年08月
公開月:2010年7月

小原 真理子 氏

日本赤十字看護大学小原教授

被災地でのコミュニティーの大切さ

阪神淡路大震災の際に、特に避難所や仮設住宅、復興住宅では被災者の孤独死などが問題にされました。その基盤にあるものは、今まで培ってきたコミュニティーが震災により解体されてしまい、新たなコミュニティーをつくっていく中で、なかなかなじめない人たちの孤独死や自殺が問題とされました。その経験が中越地震のときには生かされて、避難所に1カ月間ぐらい居て、その後、仮設住宅に移るときにも、なるべく同じコミュニティーの人たちが集まっている、というふうな方策がとられてきました。これは避難生活をする上でコミュニティーというのは人々の、これから自分たちの生活を復旧、復興、再建するときに大変重要なポイントにも入っていました。
このコミュニティーの大切さというのは日本だけではありません。スマトラ地震の津波の被災者で、コミュニティーを変わらざるを得なかった人々とお話をしたことがありますが、その時に重要だったのは、コミュニティー同士で避難生活をする、ということでした。その住民の方たちに、いろいろインタビューして聞かせていただいたのですが、その中でコミュニティーの力、その中のリーダーの力、避難生活する上で重要なのは衛生環境や、受け入れてくれた地域の人々の支援、それから行政の力であるということが出ていました。やはり被災者同士のコミュニティーを解体せずに、同じ所に移動して、そこで生活を再建する、ということの大事さは、山古志もスマトラも共通性があったと思います。

災害支援ナースの役割

災害支援ナースの仕組みは日本看護協会が作りまして、災害が発生して急性期を過ぎたころに、被災者、特に高齢者の人たちをお世話する役割として、避難所や病院でボランティア看護師として被災地に赴き、そしてその中で健康問題、暮らしの問題に取り組みながら、避難所の中で活動する人たちが出てきました。この起こりというのは、阪神淡路のときに避難所の中で置き去りにされてしまう人々へのケアの重要性や、中小の病院になかなか支援の手が行き渡らない、そういうブラックホールの所に個々のボランティアのレベルで入っていって、その人たちへのケアをしていくというところが発端になりまして、制度的に実際に起動したのは中越の時からです。その方たちが今もずっと続いていて、災害が起きるとその同じ被災地域内の看護協会に登録した支援ナースが、その被災地の中に出動していく、というふうになっています。

被災地に赴く学生たちの活動

1つには地域防災セミナーの活動の一環として、住民と学生、私どもが一緒にツアーを組んで行う、被災地訪問というのがあります。具体的にどんなことをするかというと、各県から送られてきた物資を持って、仮設住宅の被災者のおうちを1軒1軒訪問して、特に健康や暮らしで困ったことはないかを尋ねて回ります。「次の日にクリスマス会を開きますのでぜひいらしてください」というふうなことをお話ししながら巡回していきます。次の日に具体的にクリスマス会の飾り付けやプログラム、それからどうやって被災者の方をお迎えしようか、という企画運営までも、学生が中心となってやっています。その中でゲームやキャンドルサービス、クリスマスソングなどのプログラムを組んで、特に最後に「ふるさと」の歌を歌う時は被災者の方は大体涙を流されたりしています。そういう姿を見て、学生は被災者への理解や、こういう中で人々が復興を目指して生きていくのを目の当たりにすることで、いろいろなことを感ずることがたくさんあります。
このような場は学生たちがボランティア活動を通して、人間的にも看護職を学んでいる姿が、こちらにも手に取るように分かる場でもあります。被災者の方たちの生きる姿は、学生にとっても大きな影響があると感じています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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