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防災インタビューVol.52

減災のための気象観測

放送月:2010年4月
公開月:2010年10月

齋藤 誠 氏

気象庁地震火山部火山課火山対策官

火山の噴火と地震

火山というと字の通り、皆さん「山」を考えます。ほとんどは確かに山の形をしていますが、必ずしも山を火山と言うわけではありません。火山現象というのは、地下からマグマが上がってきて、それが地表に出ようとして、もしくは出たことによって起こる現象で、それによってできたものが火山です。ちょっと難しいかもしれませんが、一番有名な形の成層火山といわれているのが富士山です。成層火山というのは、火山が出てきて、溶岩流を流したり、もしくはボンと爆発して火山灰を降らして、それが何層にも積み重なってできるようなものを言います。また雲仙普賢岳の噴火があったときに「溶岩ドームができた」ということを聞いた覚えがある方もいると思いますが、あれはマグマが上がってきて、その硬いマグマがドロドロにとけずに非常に粘性の高い、ほとんど岩に近いような形で地上に出てきて、盛り上がったままになりました。そのようなものも火山現象、火山です。もしくは、これは非常に恐ろしい話ですが、もっと大規模な噴火もあります。阿蘇山などには非常に大きなカルデラがありますが、あれはどうしてできたかというと、一遍にドッとものすごくたくさんのマグマが噴火で出てしまって、地下のマグマがたまっていた所がなくなります。それが一度に落ちることによって、カルデラ、鍋のような地形ができます。この時には、ものすごくたくさんの火砕流を出したり、火山灰を降らしたりというようなことがあります。日本では一番最近は7300年前にそういう噴火があったと言われていますが、その時の火山灰は近畿、大阪どころか、東京とか北海道でも見つかっています。
日本には108の活火山があり、そのうちの幾つかは大体毎年噴火しているという感じです。でも火山というのは被害をもたらすだけではありません。火山というのは我々にいろいろな恵みも、もたらしてくれています。火山地域の周りには温泉が多いですし、それだけではなくて、火山地域は景色が良く、日本の国立公園の多くは火山の地域にあります。しかし一方、一度噴火をしたときには被害を与える恐れがありますので、我々は地震国、火山国、日本に住んでいる限り、そのような火山とうまく付き合って、被害をできるだけ少なくしなくてはなりません。そのための防災を考えていかなければならないと思います。

地震の起こる場所

地震というのは世界中どこでも起こるわけではなく、地震が起こる場所は決まっていいます。その地震国のうちの一つが日本だという話は、これまでもこの番組で出てきたのではないかと思います。火山も同じです。火山も地震と同じように、プレートテクトニクスという地球の表面を覆っているプレートの動きに関係していて、できる場所が決まっています。まずどこにあるかというと、プレートが出てくる所、地球の中から上がってきて、プレートが広がっていく所に火山ができます。それは実は海の底に多く、例えば、大西洋中央海嶺などのような海の中のプレートが出てくる所に、まず火山ができます。あと、できる所として、日本のようなプレートが沈み込んでいく所。プレートが沈み込んでいくときには、海の水を一緒に持っていって、ある程度深い所まで潜り込むと、その辺りでとけやすくなります。そのとけた岩石がマグマとなって、その地上のほうに上がってきて火山になりますので、日本のプレートの沈み込んでいる領域には火山が多い、ということになります。それ以外に、もう1カ所、ホットスポットが太平洋プレート上のハワイにあります。そこは地球の中から表面にマグマが上がっていくところです。この場所がプレート運動により、移動していきます。実はハワイ諸島というのは1つではなく、点々点々と直線状につながっています。一番東側にある島が一番若い、今活発な活動をしている地域で、だんだん西に移動していきます。要するに日本に近づいてきているわけです。日本に近づいてくるほど古い山になって、古い島になっています。これは昔、火山の噴火をしたけれど、今は活動していない、そのようなことが分かってきています。

地震と火山

地震が多い所に火山が多いというのは、結局プレートテクトニクスというプレートの動きに起因するもので、地球が生きているということです。我々は地震や火山などの被害はあるけれど、だからこそ景色がよく、生活できる場所を得られているということになります。
地震と火山は、いろいろな関係があると思います。例えば火山において、マグマが上がってくるときには、当然地面の中を上がってくるわけですから、岩石を突き破ってこなければいけない。岩石を突き破る、破壊するときには地震が起きたりしますし、マグマが上がってくることによって、地殻の応力場が変動します。また活断層の地震が起こるというのは、プレートが乗った地面が押し合っていて、それが急に破壊されて起こるのが原因です。マグマが上がってくることによって、そのへんの力関係、釣り合いが変わって地震が起こりやすくなることもないとは言えないでしょう。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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