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防災インタビューVol.54

地球温暖化から想定される被害 ~災害・水不足の問題について考える~

放送月:2010年6月
公開月:2010年12月

布村 明彦 氏

(財)河川情報センター研究顧問、関西大学社会安全学部客員教授

地球温暖化によって発生する災害

地球温暖化によって予想される災害については、まず2つ特徴的なことがあります。1つは、世界中で気候が変わって、雨が非常に多くなる地域と減る地域が出てきます。ありがたくないことに、今まで雨が多い所に雨が多く降ったり、逆に雨が少なくて足りない地域がもっと少なくなったり、ということが起きます。それから2つ目は、同じ雨が降るのでも、とても急激に降るようになると言われています。集中豪雨、ゲリラ豪雨のようなものが、今後ますます増えてくるのではないかと思われています。
必ずしも地球温暖化の影響かどうか分からないとは言われていますが、非常に強い台風やハリケーンが押し寄せてきています。例えば2005年8月には、アメリカ南部のニューオーリンズにハリケーン・カトリーナという非常に大きなハリケーンが来て、堤防もあちこち壊されました。ニューオーリンズは人口が約48万人ですが、その約8割の方の家が水没してしまう被害が出ており、その被害額も少なく見積もっても3兆円になっています。昨年は、台湾にモーラコットという台風が来ましたが、降り始めからの総雨量が3000ミリという、今まで地元の人たちも全然経験したことないくらいの雨が降って、台湾の南の小林村が、大雨で崩れた土石流によって10メートルも下に埋まってしまったという話があります。このように非常に強くて大きな台風、ハリケーンが来たというのは、必ずしも地球温暖化の影響かどうかは、はっきりとは分かっていませんが、地元の方に聞いてみると「自分たちの祖先の時から、こんなことは1回も経験したことがなかった」というくらい、未経験な大きな出来事なので、確実に大きな台風やハリケーンが増えているのではないかと見られています。

日本における気候の変動

日本でも雨が増える時と減る時、それから増える所と減る所が出てきますが、21世紀の終わりぐらいには、今より10%ぐらい全体的には雨が増えるのではないかと言われています。また世界と同じで、局所的に強い雨が降るゲリラ豪雨などの現象が増えるのではないかと思われています。その一つの原因として、地球全体の気温が上がると海水面の温度も上がりますので、強い雨を降らせる雲が非常に発達しやすくなるのではないかというふうにも思われています。
2007年に、東京の神田川で1時間に100ミリを超える雨が降りました。大体50ミリを超えると、もう車を運転できるような状況ではありませんが、一気に100ミリを超える雨が降ってきて、東京の杉並区などでは、いろいろな水害が起きました。また2008年には、神戸の六甲山の南斜面の非常に限られた所に、10分間に非常に多くの雨、1時間に換算すると144ミリというものすごい雨が降って、都賀川にどっと流れ込みました。これによって、急に約1メートル34センチに水かさが上がり、たまたまそこで遊んでいた方のうち10名以上が流され、5名が尊い命を亡くされたという事件が起きました。
また最近では、日本に上陸する台風の数なども変わってきており、年平均5個から6個ぐらいですが、2004年には、日本全国で合計10個の台風が上陸しました。それも普通ですと大体9月ぐらいには台風は終わるのですが、この時は10月にも大きな台風が来て、被害を出しました。
地球温暖化の影響で、100年間に平均60センチ近く海面が上昇するのではないかと言われていますが、日本の場合には東京湾、伊勢湾、大阪湾という3つの大きな湾に面して大きな町や大きな工業地帯があり、地下水のくみ上げによって地盤が沈下をして、ゼロメーター地帯という海面よりも低い地域ができています。ここには現在400万人ぐらいの方が住んでいますが、海面が60センチ上昇するだけで、600万人の方がゼロメーター地帯に住むことになってしまいます。これらの方たちは、ちょっと大きな高潮や洪水があると、とても危険な状況になってしまいます。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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