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防災インタビューVol.56

被災地に生協あり ~生協ネットワークを生かした災害支援への取り組み~

放送月:2010年8月
公開月:2011年2月

亀山 薫 氏

日本生協役員

生協のネットワークを利用した支援

生協では北海道から九州まで、物流のネットワークを持っており、たくさんの取引業者とのネットワークもつくっています。新潟中越沖地震の際、被災者は茶わんなどの瀬戸物類の大半を割って失ってしまいました。生協は取引先である陶器問屋の協力を得て、茶わんや皿などを提供いただき、被災者に格安で販売し喜ばれました。そしてまたその売り上げ金を新潟県の義援金口座に寄付をしました。このような取り組みも取引先の協力を得ながら進めているということが1つの特徴になっています。
このほか、生協の事業そのものでの支援もあります。新潟中越沖地震では、柏崎市役所が建てた仮設住宅の地域は、非常に買い物に不便な土地でした。新潟にある2つの地域生協は、柏崎市からの要請もあり、通常は1回200円ぐらいの配達手数料・宅配手数料を2年間無料にするという協力をしました。仮設住宅の入居者は高齢者の世帯が非常に多かったので、この宅配手数料の無料化は大変喜ばれました。
また何といっても生協は組合員の組織であり、全国で2300万人の組合員がいます。組合員が地域のネットワークを形成して、何かあったときは組合員同士が助け合うという土壌もあります。阪神淡路大震災では、組合員の自発的な草の根ボランティア活動が広がり、生協は阪神間の8カ所にボランティア本部を設置して取り組みました。この生協が設置したボランティア本部に対して、自治体からも「仮設住宅入居者への救援米の配布をしてほしい」「生活基礎物資の配布をしてほしい」などという要請が次々と舞い込んできて、それに応えたということもあります。
組合員の団結力は、被災者支援の義援金でも大きな力を発揮しています。例えば2004年の新潟中越地震では4億8千万円、2007年の能登半島地震では8500万円、新潟中越沖地震では1億9千万円の義援金が集まっています。また海外の大規模災害の義援金としては、2008年に発生したミャンマーのサイクロン被害に対して1億9千万円、中国四川省大地震では1億5千万円を集めています。今日、大変な被害が出ている宮崎県の口蹄疫に対して今、全国で義援金を募っており、中間集約段階で約8千万集まっております。まだ大口の生協が集約されていませんので、1億円は突破する見通しではないかと思っています。このように組合員の力というのは大変大きなものがあり、それが災害の支援活動にも生かされるということが言えます。

地域の助け合い:防災ボランティアの取り組み

生協は、地域世帯の加入率が全国平均で34.2%あります。高い地域では世帯の7割とか8割が組合員であるという所もあります。その意味では地域は生協そのものとも言えますので、地域が大災害で被害を被った場合、生協は全力を挙げて被災地の復旧・復興支援に取り組みます。組合員や地域社会がつぶれて生協組織だけが守られる、という構造は成り立ちません。
生協の取り組む支援は2つの形態があります。1つは生協が業務派遣で支援に取り組む形態で、被災地の行政や災害ボランティアセンターから生協の宅配用小型トラックなどを要請された場合に、職員とトラックを業務として派遣します。2つ目の形態は、組合員職員がまさに自発的にボランティアとして被災地に入るものです。この場合、生協は情報を提供したり、人数が集まった場合はボランティアバスを手配するなどの協力をするなどという取り組みをしています。また日頃から生協では地域の災害ボランティア団体の方々と交流を行い、顔の見える関係づくりをしています。いざ災害というときには一緒になってボランティアセンターの立ち上げや運営を担っているということです。
例えば能登半島地震では、災害ボランティアセンターに職員を派遣し、センター運営のお手伝いをしました。こうした職員の派遣の事例は、水害があった京都や岐阜などでも見られました。現在、生協では県の社協やボランティア組織と一緒になって、県のボランティア協議会をつくっています。このようなボランティア協議会に県の生協連が加入している地域は、全国で24の都府県になっています。
また阪神淡路大震災後、コープこうべでは、全国から寄せられた生協復興支援金と、生協が長年積み立ててきた福祉活動を支援する基金を加えて、約7億円の基本財源とする「コープともしびボランティア振興財団」というボランティア基金を設立し、各種ボランティア団体への支援、災害時の特別支援の体制を整えています。日本生協連でも災害ボランティア基金を10億円積み立てて、大規模災害に備えています。
大規模災害時には、ボランティアが各地から集まってきますが、被災者とボランティアに来た人たちをつなぐコーディネーターの役割が非常に重要になっています。全国的には、まだまだコーディネーターは足りないのが現状です。東京都生協連は2001年から毎年50人程度の組合員・職員を集めて、災害ボランティアリーダー養成講座というものを開いています。1年間に8回の講座を受けて、卒業した受講生は現在300人を超えています。この卒業生で「コープ災害ボランティアネットワーク」というネットワーク組織をつくり、地域で活動を進めている取り組みの事例もあります。

東京都三宅島の災害ボランティアとして

東京都生協連では、三宅島の災害ボランティアとして、東京ボランティアネットワークに加入して、他のボランティア団体と一緒になって、三宅島の全島避難の島民の支援を行ってきました。
避難した島民の皆さんを励まし支援し、平成17年、2005年に三宅島への帰島が始まったときには、高齢者の多い島民への支援活動を行いました。5年間、全く庭の手入れがなかったために生えてしまったカヤを刈ったり、降ってきた灰を除去する作業、引っ越しの手伝い、清掃を行ってきました。この帰島支援活動は、およそ200日続きました。派遣したボランティアは生協だけでも112名、延べ派遣日は680日に上りました。
帰島が落ち着いた後は、東京ボランティアネットワークが古民家を借り受け、「三宅島風の家」という高齢者や障害のある島民の皆さんが集う施設をつくりましたので、生協では財政支援や運営のサポートをして、大きな役割を果たしました。また三宅島の特産物、アシタバを生協の店舗で販売して、産業復興をお手伝いする取り組みも行っていますし、植樹を通じて環境保全活動の支援も行っています。これは、かんきつ類のダイダイの植樹で、毎年50本ずつの植樹を3年間続けていまして、今年もやる予定です。
もう一つの三宅島の産業復興支援として、観光産業の育成のために生協の新入職員研修会などを三宅島で行って、島にお金を落とすというようなお手伝いもしています。このように被災地の自立・産業復興についても力を入れており、生協のボランティア活動は地域の方々と一緒になって行ったり、あるいは生協の事業の特徴を生かして行ったりしているということが言えます。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。