1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 被災地に生協あり ~生協ネットワークを生かした災害支援への取り組み~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.56

被災地に生協あり ~生協ネットワークを生かした災害支援への取り組み~

放送月:2010年8月
公開月:2011年2月

亀山 薫 氏

日本生協役員

「コープ防災塾 わがまち減災MAPシミュレーション」の取り組み

今、生協の防災活動で一番力を入れて取り組んでいる活動が「コープ防災塾 わがまち減災MAPシミュレーション」です。生協はこれまで、生協自身の防災に対する取り組みはしてきましたが、生協の組合員さんや地域の皆さんにも、防災活動に取り組んでもらおうということで、この取り組みを始めました。
活動の内容は、自分自身の手で住んでいる町の防災マップを作るというものです。これは、地域に住む人たちが集まって、大型の居住地図に行政が発行したハザードマップからの各種の防災情報、例えば避難所、防災倉庫、病院、薬局、井戸のある家や公衆電話の設置場所などを書き込んだり、危険場所はないかを確認して、地域の災害情報を書き込みます。このようにして行政のハザードマップにはない情報を盛り込んだ独自の防災マップを作り上げることによって、自分の住んでいる町の防災の状況を見つめ直そうというものです。この地図には、併せて高齢者や障害のある方、妊婦さんや乳幼児を抱えた家なども、いわゆる災害弱者になる可能性のある方の情報も書き込んでいきます。
その後、出来上がった地図を基に地震発生のシミュレーションを行い、地図上で参加者に行動してもらいます。シナリオを読み上げ、地図上に火災が発生している地域、自動車が追突し炎上している場所、液状化現象が起こっている地域、津波で家が押し流された地域などの被害情報を加え、そのような地域の被害状況の中から、参加者は自宅からどのようなルートを通って避難所に避難するか、という足跡を描いていきます。
ただ足跡を描くだけではあまり意味がありませんので、シミュレーションの最初に次のようなことを行います。この地域に震度6強の地震があり、地震が収まった後、参加者が3分後、10分後、30分後にどういう行動をとったかをメモ書きして、それを読み上げてもらいます。大半の人は地震が収まったらすぐに火を消すとか、家の被害状況を確認する、家族と連絡を取る、等々の行動を発表します。ここで司会者は「私はけがをしている、家具の下敷きになっているということを記入した人はいませんか」と問い掛けます。そして「住んでいる住宅の耐震診断をしている人はいますか」「家具を固定している人は何人いますか」と聞くわけです。そもそも多くの人は、地震は人ごととしか思っていないし、自分は絶対に助かるという前提の上で行動を考えているわけですが、実際にはその前提が成り立つとは限りません。阪神淡路大震災では、圧倒的多数の人は住宅の倒壊や転倒した家具の下敷きで死亡しました。そのことを参加者に説明して、住宅耐震や家具の固定の重要性を認識していただきます。また避難所に避難する、足跡を残すということを書いてもらっていますが、ここでも「高齢者や障害のある方、妊婦さんとか乳幼児を抱えた人に声を掛けて一緒に避難しましたか」という問い掛けも行います。多くの人は自分が必死に逃げることに精いっぱいになっていて、そういった弱い立場にある人のことを忘れてしまいがちです。この時にも阪神淡路大震災で生き埋めになった方で、消防、警察、自衛隊に救出されたのは2割もいない、隣近所の方々に救出されたのが8割を占めるといような事例も説明して、日頃からの近所付き合いやコミュニケーションの大切さを理解していただきます。このようなプチシミュレーションを通じて自助・共助の大切さを認識していただくというのがこのプログラムです。

災害をイメージすることの大切さ

このコープ防災塾の参加者に最初に「家具を固定しているか」「耐震診断をしているか」などのアンケートをとりますが、関東地域では、家具の固定などをしている人は3割ぐらいしかいません。7割の方はそういった対策を何もとっていないという状況です。静岡などの東海地震の被害が心配される地域でも5割弱というような状況です。また先日、神戸の大学生協の職員の講習会に呼ばれて行ったときのアンケートでは、参加した職員17人のうちに、家具固定をしていると手を挙げた人は何と1名でした。「もう神戸では地震が来ない」と、非常に自信を持ってしまっている人が意外と多いということが言えます。
私たちがやっている「コープ防災塾 わがまち減災MAPシミュレーション」では、阪神淡路大震災の映像などで地震の被害の実際を見ていただく、ということを重視して取り組んでいます。このことによって災害をよりリアルにイメージすることにつながり、家に帰って家具固定や耐震診断などの実践を促すということにつながると思うからです。実際にコープ防災塾に参加した組合員さんからは「家具固定や住宅耐震の重要性が非常に認識された。早速、家族と相談してみたい」という感想が多く寄せられています。
日本生協連では、このコープ防災塾を2008年から本格的に取り組んできました。2008年、2009年の2年間で、150回以上、全国で3500人の方々が体験しました。また参加者からは、自分が運営者になって近所の方々を誘って、このMAPシミュレーションをやってみたいというお便りも頂いています。町内会やPTAの役員からも要望が来ていますし、学校の課外授業でも行いたいので、生協に協力してほしいという要望も出され、お手伝いをしている地域もあります。
「災害に強い町をつくる」と言う意味でも、このMAPシミュレーションを全国に広げていきたいと思っていますし、災害をもっともっと身近なものとして、「怖いんだ」という認識を持ってもらうために取り組んでいきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。