1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害情報とボランティア
  6. 防災ボランティアとは?
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.57

防災ボランティアとは?

放送月:2010年9月
公開月:2011年3月

津賀 高幸 氏

(株)ダイナックス都市環境研究所、研究員

災害から町を守るための「受援力」を高めるために

「地域の防災力を高めるために、受援力を付けることが大切である」というメッセージを込めて、昨年パンフレットをまとめました。これは非常に長い名前ですが「防災ボランティア活動の多様な支援活動を受け入れる地域の受援力を高めるために」というもので、内閣府防災担当が発行しています。
このパンフレットは、災害ボランティアセンターの情報など、非常に基礎的な情報が入っていますが、多分これを読んでいただくだけでは、ちょっと分かりづらいところもあるかもしれません。このパンフレットは完全なものではなく、これを使って地域の中で災害時のボランティアの受け入れをどうしていくのか、今からできることは何なのか、ということについて地域で情報を共有したり、もしくはボランティア受け入れ経験のある地域の方に話を聞いたり、ボランティアの活動経験のある方と一緒に話をしていただく、そういう呼び水にしていただくために、あえて不完全な形でまとめています。パンフレットを読むだけでは分かりづらい部分があると思いますので、行政の職員や災害時のボランティア活動に関わる社会福祉協議会の方や、地域で要援護者のことをよくご存じの民生委員の方など、その地域でボランティアに関わる人たちが一緒になって、このパンフレットを読んでいただき、話し合うための参考情報になればと思っています。
このパンフレットは内閣府のホームページでも見ることができます。カラー版とモノクロ版と公開しており、「内閣府防災」と検索していただければ、内閣府防災情報のページが出てきます。地域の受援力を高めるために、これまでの災害時のボランティア活動の概略や、実際に高めるためのヒントなども掲載していますので、ぜひ一度ホームページなどで見ていただければと思います。

「春野町DIGワークショップ」

平成17年に、高知県の高知市に隣接する春野町で「春野町DIGワークショップ」を行いました。春野町は平成19年に高知市と合併しましたが、合併する前は防災に対しての取り組みに熱心で、自主防災組織化率が県内でもトップ、9割以上の地域の方々が自主防災、地域の防災に取り組んでいる、という所です。
この春野町で、災害について想像力を働かせるゲーム“DIG”と中学生、この二つをうまく絡めた、住民が自ら災害に取り組むためのワークショップ形式のプログラムを行いました。“DIG”というのはDisaster Imagination Gameの略で「災害図上訓練」といいますが、各地で行われている地図を使ったゲームです。
このワークショップでは春野町の中学1年生が、それぞれ自分たちが住んでいる15地区に分かれて、防災のための町歩きをします。その際、地域に住んでいる方々が彼らを案内して、最終的に一緒に大判の地図を作りました。中学1年生105名と地域の方々を合わせて、15地区で300人から350人ぐらいが参加しました。実際にこの地域で考えられる災害として南海地震がありますので、南海地震が起きたときにどういった被害が出てくるのか、災害の被害からまちを守るために地域の中で、どのような取り組みがあるのか、隠れた地域の資源についての話を含めて、いろいろな話を地域の方から聞いて、中学生が地図にまとめました。
このワークショップを通して「自分の孫や子供たちに防災のことや地域のことを紹介することができて、非常に住民の方がやる気になった」「積極的になった」という声も聴かれましたし、これまでは行政に依存していたことを、自分たちで何とかしないといけないと気付くきっかけにもなりました。
本来だとこのプログラムをやって終わりになるのですが、僕たちが協力して、春野町の場合は関わっている町の職員、県の職員と一緒になって、DIGのプログラムを実際に企画したり、自分たちで研修を行うことができるような追加プログラムも組み、実際に地域の方がワークショップができるように、町歩きと地図作りのお手伝いをしました。最初は、中学生と一緒に地域の住民の方が町歩きをして地図を作るという、一連のDIGというプログラムを行いましたが、それを実際に町民の方もできるように2日間の研修を、その後行いました。これには50名の方が参加し、2日間びっちり、実際にDIGのやり方を勉強しました。地図に道路や水路など防災に関わるものに色を塗っていきますが、その色の塗り方を学んだり、災害情報を地図に落としていくために、地域の方から情報を聞き出す方法や書き方を練習しました。実際にどういう切り口でDIGをやればいいのか、2日目には企画も考えて、アイデアを発表してもらいました。災害時に優先的に支援を必要とする要援護者のことや、建物の倒壊による被害の危険がある所では、建てられた年代を一つ一つ調べていくような企画をしようという話が出たり、過去の昭和南海地震でどんな被害があったのか、皆で話し合ってみよう、調べ出してみようというような企画が出てきました。地域のことをよくご存じの方だからこそ出せるアイデアをたくさん出してもらって、研修を終えることができました。この研修が終わった後、春野町の中でも意識の高い、熱心な方が、積極的に取り組んでいくために防災のネットワーク会づくり、組織の中で実際に地区同士が手伝い合って、DIGなどの活動をやっているという話も聞いています。
この中学生とのワークショップの成果と研修の内容は、パンフレットにまとめて、春野町に全戸配布しました。このワークショップの企画から調整、パンフレットの作成までをダイナックスがお手伝いさせていただきましたが、このパンフレットは毎年、総合学習の時間に防災について学び、その副読本として活用していただいています。特にこのパンフレットを作る際に意識したのは、春野町の方々に身近に感じてもらえるものにするということで、その特徴としては町の方からの注文もあり、参加した人の顔が出ていたり、書いたものが分かりやすく載っているなど、15地区でそれぞれに作った地図も精度の高いものとして載せてあります。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針