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防災インタビューVol.57

防災ボランティアとは?

放送月:2010年9月
公開月:2011年3月

津賀 高幸 氏

(株)ダイナックス都市環境研究所、研究員

障害者の避難所体験を通して

去年、横浜市のある区の社会福祉協議会から、障害者の方が家族の方と一緒になって避難所体験をしたいという相談がありました。避難所体験をする前に障害者の方同士が防災のことを勉強する会を開き、体験後に意見交換の会議をするということで、最初は会議とイベントの記録を取る係として関わることになりましたが、実際にはプログラムの企画や会議のお手伝いまで、もう少し踏み込んで関わることになりました。
具体的にどんな体験をするかを、障害者の団体の方、社協の方、区役所の方と一緒になってプログラムを考えました。去年の9月・10月にその区内に住んでいる障害者の方が参加して、災害時にどういうことが困るのだろうか、どういった支援が必要になってくるのか、ということをテーマに勉強会をしたり、実際にどんなことが考えられるのか話し合いをし、2回の勉強会を踏まえて、11月に区内の体育館を借りて避難所の体験をしようということになりました。
避難所体験でまずやったのは、避難所の受け付けです。障害がある方が家族と一緒に避難所に来て受け付けをする際に必要な支援は何か、どんな配慮がいるのか、ということをカードに書き出していきました。目が見えない方、耳が聞こえない方もいるので、そういう方たちに個別にどういう情報の伝達の仕方が必要なのかを実践したり、避難所である体育館で、一人ずつに割り当てられるスペースがどれくらい必要なのか、実際にトイレはどうしたらいいかというような体験をしました。避難所全体の体験というのではなく、特に配慮が必要になってくるパーツパーツを抜き出して体験できるプログラムにしました。
このイベントで一番大変だったのは、準備するための話し合いにおいて、当事者の団体の方、社協の職員、区役所の職員、住民のそれぞれの関心や意識が違うので、そこの擦り合わせをするということでした。社協の方には「障害者の方に、もう少し積極的に地域に関わるようにしてもらいたい」という思いがあり、行政の方は、防災、災害時の対応、要援護者対応などのセクションが違うので、役割分担が別々になっているということ、障害者の方は実際どうしていいのか分からないという、それぞれの思いがあり、なかなか意見がかみ合いません。当日何をするのかということについても、地域の方もどういうふうに受け入れたら、きちんと自分たちはできるのだろうかという思いもありますし、非常に熱心であることは感じますが、ハードルが高いので不安もあるわけです。その中で、それぞれの意識の擦り合わせというのが一番難しいと感じました。
この体験も、結果的には非常に有意義な機会として終わることができ、昨年11月にやったものを、もう少し拡充してやろうということで、今年の6月には第2弾ということで続けて行ってきています。この訓練を成果としてまとめることができたのは、打ち合わせの際にダイナックスが意見交換の交通整理をさせていただいたこともありますが、やはり社協の職員の方が粘り強く全体の調整をされたことによるものではないかと思います。やはり地域の意見の取りまとめ役の存在は重要であるということを強く感じました。

体験を通した「気付き」

この避難所体験を通して、僕自身もいろいろなことを学ばせていただきました。実際どうなるか分からない部分もたくさんある中で、体験をやってみた中で気付いたことがたくさん出てきます。今回は、このようなたくさんの「気付き」をまとめていく、記録に残すということを意識してやりました。体験して、それぞれ個別に感じられることがあると思うので、最初から答えを準備するのではなく、気付いたことを積み上げていくことが大切です。今回は避難所体験を行いましたが、やはり試しにやってみる、実験としてやってみるということが大事であると思います。体験したり、実験したりした中での「気付き」をたくさん重ねていけば、1つまた動く仕組みを考えたり、また新しい取り組みのヒントになるのではないかと思います。
防災を考えていく上で重要なことは、関係している人たちが集まる場をつくって、小さいことでもいいので、プラスアルファのところで考えてみる、その中で気付いたことをさらに残して皆で共有することだと思います。全部はできないけれど1個だけ試してみるとか、小さいことを一つずつ積み上げていくというのが、やはり防災をやっていく中で大事なことなのかなと思います。実際に体験するのが一番いいですが、話を聞くだけでも違います。話を聞いた後で「どう感じたのか」を皆さんで話し合っていただくだけでも随分意識が違います。このような活動をして、少しでも減災をしていっていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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