1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 行政の危機管理
  6. 生活再建のために ~震災からの復旧・復興~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.64

生活再建のために ~震災からの復旧・復興~

放送月:2011年6月
公開月:2011年10月

桜井 誠一 氏

神戸市監査委員

プロフィール

私は今、神戸市役所の代表監査委員という職務に就いておりますが、16年前の阪神淡路大震災の時には広報課長をしていまして、その翌年から被災者の生活再建を担当することになりました。このように、震災の時の情報発信から生活再建ということで仕事をさせていただいていました。その後、神戸市の生活再建復興プロジェクトなどの中でさまざまな検証を行ったり、多くの研究者の方と災害についての勉強をさせていただいて、今回の東日本大震災の際には、神戸市からの行政支援部隊として、名取市にずっと入っていました。

「安全神話」

阪神淡路大震災の前年にロスで地震がありまして、高速道路が倒壊しました。その時に日本で、その映像を見た我々は「アメリカの技術はどうなっているんだろう」「あれくらいの地震で高速道路が倒壊するんだろうか」と思いました。それと同時に「日本はまず大丈夫だね」と思って、安心していました。しかし阪神淡路大震災では、もろくもその高速道路が倒壊をしてしまいました。その時に、やはり安全だと言っていたけれども、実際はそうではなかったということで「安全神話」という言葉が生まれました。

今回も東日本の状況を見ていると、防潮堤や防波堤など、津波に対するさまざまな対策はしていましたが、それを超える津波が来てしまったということで「それは想定外だ」と言っています。我々も津波に関しては、2004年のスマトラ沖地震の時に、テレビで映像が流れていたので見ていて知っていましたが、あのような津波は、日本のように非常に高度ないろいろな科学技術が発達した国では起こらないだろう、発展途上国だから多くの方が亡くなったのだ、というようなイメージを持ってしまいました。

しかし実際に津波が起こってみると、私たちが今まで考えていたことや安心していたものが、もろくも崩れ去ってしまいました。そういう意味では、やはりさまざまなハード面で「大丈夫だ」という想定をしていますが、今回の地震でも、津波や原発で「想定外」という言葉がよく聞かれましたように、実際にはそれを超えるものがあるのだということを自覚しておかなければいけないと思います。

地域に合った防災計画

私たちは「地域防災計画」というものを作りまして、その中にさまざまな防災対策を記述しています。それは、ある意味では被害の想定をして対策を練っているということですが、被害想定ひとつ取ってみても、非常に発達した科学に基づいたものを前提にして作っています。しかし、これは今回分かったことですが、実は古文書や言い伝え、そして地質を見ていくと、私たちが科学的に「こうだ」と思っていたことが、実際には、過去に同じような想定外の津波や災害があったということが分かってきています。そういう意味では、地域防災計画の中に科学的な根拠に加え、そのような災害の歴史、さまざまな言い伝え、古文書、地質学などの要素を加味していくということが、非常に求められていると思います。

特に今回の津波では、地域に「津波てんでんこ」という言葉が言い伝えられていて、津波が来たら皆で一緒に逃げるのではなく、バラバラに早く逃げなさいということを実践して助かった事例がありました。また学校ごとに防災教育をして、避難路も防災計画に載っていたものに対して避難経路が長すぎるということで、自分たちで短い経路に変更したことで助かった例もありました。私は今回、名取に入り、名取市の防災について少し勉強させていただいたのですが、そこに古文書や石碑が残っていることを知りました。これは昭和の三陸の地震の時のものですが、その石碑には「地震があったら、津波の用心」と書いてありました。このような教訓は地域防災計画の中に、もっと具体的に書き込んだり、そういうものがページの最初に出てくるような、地域の状況に即した防災計画の作り方が必要なのではないかと思います。今は、どちらかというと中央で決めた防災計画が県に下りて、それが市町村に下りてということですから、ある意味、金太郎あめ的なところがありまして、そこの地域で言い伝えられてきたことが、逆に消えていることが多いという印象を受けました。そういう意味では、地域にはいろいろな言い伝えが残っていますので、それを大事にして、もう一度それを科学的に検証し直してやっていくことが、非常に大事だろうと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。