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防災インタビューVol.68

自分の命は自分で守る ~自助のための対策~

放送月:2011年10月
公開月:2011年12月

齋藤 實 氏

元東京都総務局総合防災部情報統括担当課長

帰宅しなくてもいいシステムづくり

それともう一つ。帰宅困難者が無理に帰宅しなくてもいいシステムをつくるということが重要です。今回で言えば、保育所に子どもを預けてあるので迎えに行くために、どうしても帰らないといけない、低学年の子がいるので帰らないといけないという方が多かったと思われます。大地震が発生して通信手段もなく、交通機関もどうしても動かないという場合には、保育所側が保護者が来るまでは預かるという制度をつくっていかないといけないわけです。学校でもそうです。今回は授業中でしたが、地震があって交通機関も通信手段もないという場合には、少なくとも低学年の方は保護者から連絡があるまでは、きちんと学校側で預かって対応しますという関係を日ごろからつくり上げておくことが重要です。

帰宅困難となった通勤客、通学の方も、絶対に早く帰ろうとしないことが重要です。建物が安全で、しかも交通機関がどうなるか分からないときは、ぜひむやみに行動しない、動かないということを肝に銘じていただきたいと思っています。

会社における備蓄

帰宅困難になって、いざというときには3日間ぐらいは会社の中で自立せざるを得ないので、まずは食べ物、飲み物を会社の中で備蓄していただくということが一つ。その次に、どういう状況にあるのかという情報の収集の手段として、ラジオが重要です。地震があったときには絶対にテレビよりはラジオのほうが情報の収集が早いので、ラジオは必需品です。それと、どうしても帰らざるを得ないという場合のために、歩きやすい服装と運動靴などが必要です。帰宅が夜中になるという場合も考えられますので、懐中電灯は最低限必要です。また今の携帯電話はいろいろな機能がありますが、携帯電話の一番のポイントは充電です。充電器をどうするのか事前に考えておく必要があります。

このように、自分の命を守るという観点で、外出先でも間違いなく3日間は生き延びるために、最低限必要なものは自ら準備しておいたほうがいいと思います。少なくとも会社の机の引き出しの中に水と簡単な食料、懐中電灯付きラジオを用意しておくと、そんなに大きな荷物にならなくていいので、ぜひ身近な所に、常時持っていたほうがいいと思います。

そして、最後のとりでが実は通信手段です。携帯電話の充電機能をどうするか。これが実は問題ですね。電気の回復と通信手段の回復というのは比較的早いと言われています。恐らく1日あれば、ある程度、通信も電気も通じるだろうと言われていますので、そういう場合に備えて充電器を家庭に1台、会社に1台、日ごろから備えておくというのも重要なポイントではないかと思います。

自分自身を守るために

行く先々でどんな地震が起こるか分からないですし、どんな災害があるか分かりません。例えば、歩いている場合であれば、一番危ないのは上からの落下物です。看板とかが頭上にあるかどうか、あるいはどこかで宿泊する場合は非常口はどこか、会社の場合は一番安全なのはどこか、そういうことも日ごろからイメージトレーニングしておいて、いざとなったら自分の身は自分で守るのだということを常に考えておくことが重要ではないかと思います。

昔は「地震だ。すぐ逃げろ」というのがあったのですが、今は「地震だ」と言ったら「周辺の状況を確認しよう」ということです。とりわけ、自分の命は自分で守るということですから、守るポイントは頭です。頭上、頭の上から何か落ちてこないかということだけをまずは考えて、どんな地震があっても、ぜひ生き延びていただきたいと思っています。

地震への備え

首都直下地震は、今後30年間の間に70%の確率で起こると言われていますが、そういう確率論よりも、地震がいつ来てもいいということを肝に銘じて対策を講じることが大事ではないかと思っています。私は、いわゆる災害を防ぐ「防災」という言葉から、災害はいつ来ても仕方がない、だからこそ災害を減らすことを考える「減災」をキーワードに、いろいろな対策を講じていったらいいのではないかと思っています。

そのための減災のポイントは「自分の命は自分で守る」ということです。それが自助です。そして、自分たちの町は自分たちで守るという共助。その上に自治体や政府が行う公助があります。いわゆる自助、共助、公助というのが基本的な対策、対策中の対策なのですが、この割合は自助が7、共助が2、公助1と言われています。

自助で一番重要なのは何かというと、自分の命は自分で守るということ。これは当たり前なのですが、実際にはどうやって自分の命を守ったらいいかというのは、なかなか分かっていないのです。地震の場合はいつ来るか分かりませんから、重要なのは、どんな地震がいつ来ても、自分の命を守るためには、まず頭を守ることです。頭を守ったら、次に歩けるように足を守る。この二つができていれば何とかなるということです。

ところで、自分が生きているというのはどういうことか分かっていますか? 自分が生きているかどうか分からない場合は、ちょっと立って、目まいがするかどうか、手足が動くかどうか、話すことができるかどうか。誰かが隣にいたら声を掛けて、その方の声が聞こえるかどうか。それを確認していただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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