1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 行政の危機管理
  6. 自分の命は自分で守る ~自助のための対策~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.68

自分の命は自分で守る ~自助のための対策~

放送月:2011年10月
公開月:2011年12月

齋藤 實 氏

元東京都総務局総合防災部情報統括担当課長

「閉じ込められない」ことが重要

自分の命を守るために、もう一つ重要なのは「閉じ込められないこと」です。建物の下敷きにならない、家具の下敷きにならない、あるいはエレベーターの中に閉じ込められないということが非常に重要です。どこにいてもいいですから、まず自分の命を守るために何をやるかということを、常にイメージトレーニングをしてもらいたいと思います。

減災を考えた場合、災害が来て、少なくとも自分の命が守れれば、次にやることは家族の命、あるいは外出先にいるときは同僚の命やお隣の人の命を守ることを考えてください。一番重要な命を守るために、地震の後にすぐ行動をしていただきたいと思っています。

最大の自助、それは避難所に行かないこと

地震が起こったときには、まず自分の体を守るということが重要です。自分の体を守って生きていた、家族も安心だという状況になったときに、次に重要なのは「避難所に行かない」ということです。

避難所に行くということは、地震が起こって、火事が発生して避難しなければならなくなったということですし、地震で自分の建物が壊れて、住む家がなくなったということです。ですから、避難所に行かないことが第一の自助で、そのために事前にやることは建物が壊れないように耐震などをして、建物の中で自分が死なないように、少なくとも家具の転倒防止だけはしましょうということです。それと同時に、自分の家から火を出さないということです。実際は、火災で延焼して避難所に行く人が圧倒的に多いのです。建物の壊れる比率よりも、実は火災の延焼のほうが多いのです。まず自助、そのためには耐震化と火を出さない。そして、結果的に避難所に行かなくていい。そういうことを心掛けていただきたいと思います。

住宅の耐震化と火災

マンションに住んでいる方にやっていただきたいのは、建物が1981年の新耐震基準で造られいるかどうかを確かめることです。新耐震基準のマンションは、今回の地震でも直接建物が倒壊することはないと言われています。木造家屋の場合も耐震調査をして、安全かどうかを自分で一度は調査したほうがいいと思っています。

それより重要なのは、地震が起きると家具、テレビなどが飛んできますので、家具の転倒防止をしておくことだと思っています。これはそんなに大きな金額が掛からず、今すぐでもできることですから、ぜひやっていただきたいと思っています。まずは安心して寝られるように、ぜひこの部分はそれぞれの家庭で一度チェックしてみていただきたいと思います。

次に火災ですが、火を使っている所で起こることがほとんどです。例えば、石油ストーブやガスなどですが、ガスは一定の振動になると自動的に止まります。ストーブなども一定の揺れがあると自動的に止まるということになっています。かつては、よく消防から「地震だ。火を消せ」と言われていたのですが、今はまず地震だと言ったら、自分の身の安全を確認して、家族の安全も確認してから、落ち着いたところで火の元の確認をやっていただきたいということです。

大きな地震の際には、その後も余震があったりしますので、まずは自分の身の安全を優先していただくことが大事ですが、自分、家族、そして自分の家が安全だったら、ぜひ隣近所をちょっと見ていただきたいと思います。例えば、周辺で火災が出ていないかどうか、マンションであればエレベーターの中に人が閉じ込められていないかどうか、こういうことも次のステップとしては、やっていただきたいと思います。マンションの方に申し上げておきますと、地震があったら、ぜひ入り口のドア、非常口を確認してください。ドアが揺れによって動かなくなるという場合がありますので、地震が起きたら、まず自分の身の回り、家族の身の安全を確保して、次に火の元を確認して、その後に、ぜひ玄関のドアを開けておいてください。

この一連の事がいつでも習慣的にできるように、家庭の中で訓練をするというほどではありませんが、お互いに話し合っていただいたらいいのではないかと思っています。大きな地震が起きると慌ててしまいがちですが、慌てないためのポイントは、常に地震に備えて心掛けておくということです。例えば、自分が寝ている場合は、まず布団を頭からかぶって身の安全を確保し、次に家族の安全、火の元、そして玄関のドアを開くなどの順番を頭の中で繰り返し確認しておいていただくことだと思います。

地震に対する日ごろの備え

地震に対する日ごろからの備えということで、齋藤家で実践していることについて、お話しさせていただきます。まず備蓄ですが、よく「3日分の食料その他を備蓄しておけ」と言われていますが、今の家庭の中では備蓄を置く場所がありませんし、なおかつ地震の時にすぐ使えるかということについても、いろいろ疑問がありますので、私は「必要なものプラス1の備蓄」が大事だと思っています。これは例えば、食べ物でもいいですし日用品でもいいのですが、日ごろ使っているもののほかに、もう一つ備蓄をするということです。例えば、5キロの米があったとしたら、もう一つ5キロの米を備蓄するということです。そして最初の米を使い切ったら、また新たに一つ買い足しておくということです。このように必ず常時、一つ使わないものがそこにあるというのが、そんなに場所も取らず、無駄もなく、とてもいいと思います。日ごろから食べないものは、災害時にも食べないので、そのあたりを考えて備蓄していただければと思います。災害時に一番いいのは、お湯や水だけで食べられるものだと思います。

プラスワンの備蓄は、サランラップや乾電池、トイレットペーパーなど日用品も必ず、一つ新しい物を用意しておくことをお勧めします。たとえ東京で災害が起こらなくても、他の所で起これば、そちらに優先的に物資が流れますので、店頭から品物がなくなるということも出てきますので、このプラスワンの備蓄を常日頃からやってもらうのが一番いいシステムではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針