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防災インタビューVol.74

ぼうさい・人・街づくり ~災害に対応できる暮らし方をするために「今を生きる」~

放送月:2012年3月
公開月:2012年6月

千田 節子 氏

東京湾岸集合住宅ぼうさいネットワーク

災害の際の声掛け

先日の地震の時、私たちがどうしていたかをお話ししたいと思います。私たちのマンションは本当に高齢者が増えてきています。震度5強の地震が起こった際には、私は10階にある自宅から廊下に飛び出しましたが、皆も飛び出してきて、お互いに無事でよかったと話しました。その時は自分のことで無我夢中だったので、出てきていない方がいたにもかかわらず、声掛けもしませんでした。後で分かったのですが、そこのお宅では奥さまが両足を切断して寝たきりで、病院と家を出たり入ったりしているということでした。その時は「何かあったら私にも声を掛けてくださいね」と言って別れたのですが、声を掛けられたことをとても喜んでくれました。

このように気にはなっていても、なかなか普段の生活の中で高齢者や一人暮らしの方に状況を聞き出すということは、とても難しいことです。何かぶしつけに聞いて、余計なお世話だと言われやしないかと思いますし、聞かれた人も言いたくないことがあったりしますから、聞き出すというのがとっても難しいです。しかし、ちょっとチャンスを捉えて、私はなるべく情報収集に努めています。私たちの団地には、要援護者の安否確認のマニュアルがあるのですが、名簿もない超高層のところは安否確認も大変かと思います。日頃から、できるだけ交流をして、隣近所と声を掛け合っていくことが大切だと思います。

他人を拒絶する人々

今お話ししたように「声掛け」を喜ばれる方もいますが、逆にそれを拒絶する人たちもいます。昔は不自由な生活の中で必要だった「暮らし合う」という生き方が、現代ではコンビニなどもありますので、一人でも生きられる時代になって、しかも困ったことが起きても声を上げない、無音社会になってきています。

新聞などでよく孤独死の記事が出ると「ご近所の方は何していたんだろう」と思われると思いますが、それは私の経験からして非常に悩ましいことです。なぜかというと、その人たちは誰かに助けを求めるということを、まずしません。誰とも関わりたくないと思っているのです。皆さんはそのお隣の方のことを「孤独死」とおっしゃいますが、私は「拒絶死」だと思っています。元気いっぱいに暮らしていて、他人を拒絶して勝手な暮らし方をしている方、そういう方には私は本当に悩ましい気持ちを持っています。もう少し自分の生き方に責任を持ってほしいというのが本音です。

災害に対応できる暮らし方

災害に対応できる暮らし方をするために「今を生きる」ということを大切にして、人とつながり合うことを意識して暮らすということが、とても重要だと思います。ただ、それだけでは十分ではありません。やはり、多少の備えは必要です。

私は以前から、高層団地の各棟にウインチを付けてほしいと要望しているのですが、なかなか実現できないので、しびれを切らして30メートルのロープを買ってきました。そのロープは10階からちょうど下まで30メートルでたっぷり余るぐらいの長さでした。友達を5、6人呼んで、手すりの所から下までロープをポンと投げて、そして下から2リットルのペットボトルに水をたっぷり入れたものを2本袋に入れて、上から引き上げる訓練をしました。実際に2リットルのペットボトルを両手に持って階段を上がるということは並大抵ではないというのは、阪神大震災の時に聞いていました。手で持って上がって、それで後々、体を悪くして亡くなった方もいるという話を聞きました。しかし、このようにロープでつるして持ち上げると、結構楽々できるということが分かりました。上げるときには食料や水、下げるときには排泄物を固めたものを袋に入れて下げる。そういうことを楽しく普段から、防災会の訓練ではなく日常的に皆で遊びながらやっています。

また備蓄としては、トイレ用のサニタクリーンという袋を50袋ぐらい、水も1、2年保存ができる飲料水2リットルを12本用意しています。その他に水道水を雑用水に使うためにペットボトルにためています。ガスコンロとガスボンベも絶対必要ですし、食料も必要です。懐中電灯、ラジオなど、その他気が付くものは全部用意してあります。私には品川に勤めている子どもがいますが、懐中電灯を常にかばんの底に入れていますし、スニーカーを用意していますので、東日本大震災のときもこれを使って歩いて帰ってきました。

このように、自分の身を守るためには、必要最小限のことは自分でやっておくべきだと思います。物は無いよりは有ったほうがいいに決まっていますが、人が助かるために大切なのは、結局人の声と手だろうと思っています。このことは漠然としていて頼りなさそうなことではありますが、以前から私は必要なことだと思っていますので、皆さんにお伝えしてきました。どこの被災地に行っても「人の声や手が私を助けてくれた」という話を聞きますので、私はこのことを大切にしていきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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