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防災インタビューVol.77

東急電鉄による耐震サポートサービス ~100年のまちづくりを地域と共に~

放送月:2012年7月
公開月:2012年9月

三渕 卓 氏

東京急行電鉄㈱建築技術部

東急電鉄の耐震サポートチーム

東急電鉄の耐震サポートチームには、私以下、営業部隊が5、6名いますが全員若手で、若いスタッフが一生懸命汗をかきながらやっています。営業の大半が建築士ですので、専門的な知識に関しても安心だと思います。

今われわれは、先ほどお話ししたような特定緊急輸送道路沿いの方を中心に優先的にやらせていただいております。特定緊急輸送道路沿線以外でも、ご相談があった場合には、東急電鉄やグループ会社にも、われわれ以外にもサポートできるスタッフがおりますので、いろいろなお客さまに対応できるようにしております。横浜市などでも耐震補助金制度があるので、そういうお客さまからのご依頼も受けることができます。

この条例ができてから、いろいろな設計事務所、いろいろなゼネコンさん、いろいろな不動産会社さんもお客さまのところに行っているようですが、われわれが行くと非常に安心して聞いていただけるというか、「東急電鉄さんは悪い人はいないよね」ということで、非常にじっくり、ゆっくりお話を聞いていただいており、われわれも安心できるサービスを展開できていると思っています。

耐震診断から耐震補強へ

東京都が昨年施行した条例の中で、特定緊急輸送道路という主要幹線道路沿いの旧耐震の建物、および一定条件を満たしたものにつきましては、耐震診断が義務化されました。この耐震診断ついては、おおむね100%の補助金が出るという制度になっています。実際にその耐震診断をした後に、建物の耐震性が悪い場合には詳細の設計をしたり、耐震補強をしたりということになるのですが、例えば耐震補強でいいますと、補助金が3分の1以上出ることになっています。このように、診断する場合と補強する場合と補助金の率が変わるのも、この制度の特徴になっています。

われわれとしても、沿線の中で耐震性が悪い建物が残っているのは、防災面を考えると結果的にはよくないと思っています。そのため、東急電鉄が診断をお手伝いするということで、結果的にはまちの価値が上がっていくと思っています。このように、耐震診断までは指定のやり方でできるのですが、実際に問題になってくるのは、診断した後に耐震補強をどうやるかという部分です。これは、実際にはお住まいの方もいらっしゃったり、ビルでいいますとテナントも入っていますので、補強の方法によっては生活に影響があったりとか、テナントが入っている場合は、ビルの価値を損ねてしまうということもあります。しかし、われわれは住宅もオフィスビルも店舗も当社の事業としてやっているので、オーナーさんの目線で、しっかり考えることができます。そのあたりが一般的な設計事務所とは違う、売りのポイントになっております。

具体的に耐震補強となると、壁にブレースというばってんの筋交いみたいなものを入れたり、柱や梁を太らせたりというような大掛かりな工事が、どうしても必要になってきます。そのような場合、行政ごとに補助金の額などが違ってきますので、お住まいの行政のホームページを見ていただければと思います。

耐震補強の選択肢

今回、条例の対象になっているのが1981年以前のビルということで、かなり老朽化が進んでいると思います。その耐震診断をやらせていただいていますが、実際には老朽化して問題が起こっていたりもしますので、建物全体のことを考えないと、将来的にもどうするかという不安が拭えないと思います。耐震診断ももちろんやらせていただきますが、その後、将来的にオーナーさまが、そのビルをどういうふうにお考えになるかということを、いろいろな選択肢をご提供しながら、ご相談させていただこうと思っています。

私は41歳ですが、いろいろ体にもガタがき始めている年齢です。ビルも人間と一緒で、やはり何十年とたつといろいろなところに不具合がきます。それらを直すと非常にお金も掛かったりしますので、オーナーさんによっては建て替えを考えたりされます。今回の東京都の補助金の特徴でもありますが、耐震診断の結果が悪く、建て替えることになった場合に、その解体費についても一部補助金が出ることになっています。もし何年か後に建て替えを考えている場合には、この制度を活用して、うまく資金面の補助を受けるほうが、結果的にはお得になるのではないかと思います。ただ、この補助金が出る期間がポイントになっておりまして、実際に耐震の診断につきましては平成25年度末まで。平成25年度の末に補助金が打ち切りになります。その後、設計して、最終的には耐震の補強をされるというお客さまについては、そのさらに2年後の平成27年度末までが実際の補助金の期間になっておりますので、そのスケジュール間隔が非常に大事になってきます。こういう建て替えとか補強というのは検討するのに時間がかかるものですから、できるだけ早めに耐震診断をやられて、その後どうするかを考える時間をいかにつくるか、というのがポイントになってきます。またこれは着工すればいいわけではなく、それまでに完了しないといけません。これには住まわれている方やテナントと調整が必要になってきますし、そのあたりが非常に時間がかかるものですから、なるべく早くスタートして、補助金をうまく使われるのが最善かと思います。

今回、東京都の条例ができまして、特定緊急輸送道路沿いの方は耐震診断が義務化されるということで、どうしても「義務」というと、言葉としては非常にネガティブな印象を受ける方もいます。しかし、われわれがお話ししているのは逆のことで、義務化されたということは補助金をうまくご活用できるビルに指定されたということになりますので、マンションについてもオフィスビルについても補助金をうまく活用していくという観点で、計画を上手にされていくのが一番いいのではないかと思っています。

まちづくりの会社、東急電鉄

東急電鉄は鉄道会社でありますが、同時にまちづくりの会社でもあります。過去にも田園都市のまちづくりと鉄道の発展というのを併せてやってきた会社ですので、これから先もまちづくりをやっていきたいと思っております。

今一番当社が課題として捉えているのは、これから先、日本全体の人口が減っていき、同時に高齢化が進んでいくということで、そのまま放っておくと、まちの活力がだんだんなくなってきてしまいます。それは、われわれ鉄道会社としても何とかしたいという強い思いがありまして、全社、あるいは全グループを挙げて、いろいろな取り組みをしております。

例えば、お住まいに関する「コンシェルジュ」というサービスを始めたり、最近では東急ベルという宅配サービスを沿線で始めたりしています。沿線のお客さまが、どういうことが必要かというのを一生懸命考えて、できるだけサポートしていくというのが、東急電鉄のまちづくりの基本的な考え方になっています。今回の耐震サポートも、その一環であって、われわれは建築に関するプロフェッショナルというか専門家ですので、その技術を使って沿線のお客さまのサポートをして、それが結果として良いまちにつながればいいということで一生懸命営業をしていますので、ご理解をしていただけると非常に助かります。

これから先、沿線の課題というのもいろいろ変化してきますので、例えば、なかなか建て替えができないマンションがあったり、老人だけで住まわれていて非常に生活に困っているとか、そういったことをわれわれはいろいろな角度から、いろいろなサービスを提供できるのが強みだと思っています。東急電鉄というのは鉄道がメーンでありますが、その他にいろいろな事業を展開しています。不動産事業もありますし、横浜市の中では、たまプラーザのようなショッピングセンターもあります。いろいろなサービスを提供できますので、これからもそういったことに力を入れて、一つ一つ丁寧に取り組んでいきたいと思っております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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