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防災インタビューVol.78

耐震防災、減災の町づくり

放送月:2012年8月
公開月:2012年10月

大野 承 氏

元美しが丘自治会長

自宅の備え

うちの自治会は1年ごとに会長をはじめ役員全員が無条件で交代してしまいます。普通の自治会ですと会長さんを5年、10年やられたり、理事の方で、何年も残られている方がいるのですが、うちは1年ごとに交代してしまいます。長期の継続的な懸案、例えば防災だとか防犯という事業が、なかなか継続性がつかなくて困るということがあります。そういう意味で、会長さんを長期的視点で補佐をする委員会というのを有志が手を挙げてつくって、今15人ぐらいが月1回、自治会長さんの諮問を受けて、いろいろ答申をして補佐をしています。その機関が美しが丘中部自治会サポート委員会です。

活動の一つとして防災についての啓蒙記事を書いているのですが、その記事に「地震で自宅が倒れて死ぬのは恥だ」などと書いてしまいました。そこで、やはり自分自身の家も耐震補強をしなければと思いました。

3.11の後、東急さんからお声が掛かって、会員さん対象に「耐震診断をやらないか」という機会をつくっていただき、実際うちも築42年たっていますので耐震診断を受けました。するとその結果がやはり思った通り、数値にして1.0が健全だとしたら、0.2とか0.3とかという数値が出てしまいました。本当はすぐにと思ったのですが、いろいろな事情で1年間延ばしてしまい、このたびいよいよ耐震工事をすることになりました。

耐震補強のために壁の量や筋交いを増やして、今一番標準的な方法でやっていただくようになりましたが、その際に階段下の1坪ぐらいのスペースを完全に密閉して、専用の食料庫を特別に発注して、食料中心に貯蔵しようということにしました。

現在もうちには通常は1カ月ぐらいは、家族3人が補給しないでも食べられるものを置いているのですが、その食料庫には、できれば自分の家だけではなくて、近所にも配れるぐらいの食料を貯蔵してみようかと思っています。これは東京の方の自治会長さんにすごい人がいて、自分の班、自分の地域の人に配れるものを、自分で倉庫を建てて入れたという人がいたので、それに啓発されています。ただ、食料といっても防災専用の食料品では駄目なので、米を通常よりもう10キロ余計に買っておいたり、僕はスパゲティが好きなので、スパゲティを大体10キロとか20キロ、常に置いておきます。あとは熱源のガスボンベと調味料だけあれば食べられます。

また、うちにはおやじが掘った井戸があり、今は電気で上げているのですが、この耐震の工事の際に、合わせて井戸屋さんを呼んでリニューアルして、電気と人力の両方で出るように工事をしてみようと思っています。何かあったときには少なくとも自分の班の10軒だけは「どうぞ」と声を掛けられるようにしたいな、というふうに思っています。

耐震補強を決断した理由

今回耐震補強をしようと決断した理由ですが、築42年なので新築の話もあったのですが、資金的な面もありましたし、自分の健康、家族の状況などに未確定な部分があったので、ここで建て替えたとしてもロスになる確率もあるということで、いっそ補強して、少なくとも何十年か、十分住めるような家にしようということで決断しました。

耐震診断を受けて補強が必要だということが分かっても、なかなか補強に踏み切れないものですが、先にも申し上げた通り、自治会のほうに啓蒙記事を書いた時に「耐震補強は必要です」と表明したのに、地震が来てうちが先につぶれてしまったら目も当てられないので、そうした意味もあります。

会社選びですが、この土地は東急さんが戦後すぐの開発の当初からの構想に始まって、何十年にもわたって地域をフォローしてきており、地域の文化自体を住民とともにつくってきた企業でもあり、調べてみると横浜市の指定の団体でもあったので安心感もあり、最初から東急さんにお願いしようとは思っていました。現在、工事は始まっていて、8月末には補強が完成するので、これで自分の公言した分は何とか責任が取れ、おかげさまで安心して住めると思います。

安心安全なまちづくりを目指して

安心安全なまちづくりに関しては、つい最近、横浜市と東急さんとが提携して「次世代郊外のまちづくり」というテーマで関わってもらっているのですが、実を言うと、困り事というのはこの地区にはあまりないのです。いわゆる高度成長期の第一線の戦士の方が昭和40年代に移り住んだ地域ですので、住民は非常に強い方ばかりで、全部自己完結型でやってしまうし、何か困り事があれば自分自身、あるいは家族で解決できるという方ばかりなので、意外と困り事というのは見つけられません。その時に、これだったら皆が一つの方向に向く、ということで思い付いたことの一つが防災です。

防災の本質というのは人と人とのつながりです。そこで、ちょっと古い言葉ではありますが、隣組を復活させて「いっとき避難場所のつながり」をつくっていこうと思っています。

ここに越してきた時に、お隣にお住まいの方が非常に強いリーダーシップを持っていて、「後から来る人にはこういう配慮をしなさい」「こういう付き合い方をしなさい」というように、いろいろ細かく進言していただきました。その方はお亡くなりになってしまいましたが、私自身はその方を目指して、できれば地域のために貢献して、人と人とのつながりのある安全安心で美しいまちづくりをしていきたいと思っています。

今年の最後を締める活動として、地域、広域連合自治会、単位自治会が共同で、美しが丘東小学校で防災のつどいを10月20日に開催します。同時に中部自治会のいっとき避難訓練を開催する予定になっています。地域の全家庭が参加して、皆さんと知り合いになるチャンスにしていきたいと思っていますので、ぜひ参加していただければと思います。これで3年目になりますので、今後、4年、5年と続けていきたいと思っております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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