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防災インタビューVol.86

自分の健康は自分で守る~インフルエンザの傾向と医療機関受診のポイント~

放送月:2010年3月
公開月:2013年6月

大地 まさ代 氏

江戸川区健康部保健予防課長

プロフィール

私は、平成5年6月から公衆衛生の仕事をしています。それまでは主に呼吸器内科で臨床医師をしておりました。公衆衛生に入ってからは板橋区、葛飾区、中央区、そして今の江戸川区に勤めておりまして、江戸川区健康部で保健予防課長として、主に感染症を担当する部署で働いております。

今年は主に新型インフルエンザの対策についての仕事をしていますが、日頃は新型インフルエンザだけではなく結核や、冬場になるとノロウイルスの感染症など、主に感染症対策の仕事が中心になっています。

現在の新型インフルエンザの状況

新型インフルエンザが去年一斉に流行してから、10月の後半から11月ごろにピークを迎え、今は徐々に終息に向かっているとは言われております。けれども、まだまだ予断が許せないような状況になっています。

当初は鳥型のインフルエンザということで、強毒型を予想しておりましたが、今回のインフルエンザは豚インフルエンザということで、予想よりも流行の規模は小さく、治まっているような状況になっています。

新型インフルエンザの発生から今まで

今回の新型インフルエンザは、豚インフルエンザが由来の新型インフルエンザで、去年4月にまずアメリカのテキサスとカリフォルニアで最初の感染が見つかって、その後アメリカ、メキシコで急速な勢いで広がりました。日本でも関西を皮切りに感染が広まりました。4月27日にWHO世界保健機関が、継続的に人から人への感染がみられる状態として、警戒レベルをフェーズ4の宣言をして、間もなく4月30日にはフェーズ5、最終的には6月12日に世界的な大流行、いわゆるパンデミック期であるフェーズ6に引き上げ、一時、世の中は騒然としました。

しかし日本で感染が広まった5月の時点では、これまで想定していた強い毒性を持った新型インフルエンザとは様子が違って、弱毒性という言い方をされ、病原性が低いということが明らかになってきました。この病原性がどの程度あるのかということは、感染した人のうち、どのくらいの人が重症化して死亡するかということが重要なのですが、病原性は高くはありませんでした。しかし感染性、つまりどのくらいの人が感染するのかということで考えると、かなりのスピードで感染が広がっていましたので、感染はかなり広がるだろうと誰もが予想していました。

国は強い毒性を持った鳥インフルエンザを基にした新型インフルエンザを想定した「新型インフルエンザの対策行動計画」とガイドラインを作成し、平成21年2月に改定を行って準備を進めていました。これを基に各自治体でも行動計画やマニュアルを策定し、準備を行っていました。それらの計画やガイドラインをベースにしながらも、実際には各国での発生状況や、重症化や死亡の状況、日本での感染の広がり方を見ながら、基本的対処方針や運用指針をそのたびに作成し、それらに基づいて対応してきました。具体的には医療体制については発生動向、つまりどのくらいの患者さんが発生しているかを監視し、入国者に対する検疫体制を整え、学校や保育施設などの臨時休業の要請などについてが指針に盛り込まれました。

時間を追って説明しますと、まず海外で発生し、まだ国内での感染拡大がない段階では検疫体制を強化し、まん延国からの航空機が到着直後に検疫機関が機内に乗り込んで、症状がある人には迅速診断と、さらに詳しいPCRという遺伝子検査を行いました。診断が確定されれば、患者は指定医療機関に入院、濃厚に接触があった方たちは一定期間、健康監視を行うため、接触者のリストが検疫所から住居地の自治体に送られてきました。ところが今回の新型インフルエンザは、通常のウイルスよりも若干潜伏期間が長く、具体的には1日から7日間、平均4日間ということであり、また軽症で終わる例が多く、熱も出ない例がかなり報告されていて、こういった方たちがどうしても検疫を擦り抜けてしまうということがありました。そのような状況で、国内でも感染の広がりはどうしても抑え切れず、5月16日のWHOの発生宣言から22日たって、神戸市で国内初の患者が報告されました。検疫強化では完全には国内への侵入を阻止できませんでしたが、かなり広がる時期を遅らせることはできたわけです。結果的に感染が広がった段階では、検疫体制も機内検疫から検疫ブースでの呼び掛けへと移行し、同一の旅程の集団から複数の有症者が出た場合のみの検査体制へと変わりました。医療体制についても、6月に入って入院措置はやめ、原則在宅療養としました。診療できる医療機関も特定の医療機関ではなく、一般の医療機関で診療できる体制へとシフトしていきました。患者の発生動向も全数把握から、全国の5千カ所の定点での医療機関での把握のみとなり、通常のいわゆる季節性のインフルエンザと同様の体制へと移行しました。そして新型インフルエンザを確認してから約6カ月経過した10月19日から、ワクチンの摂取が開始されました。

以上が国全体で取り組んできた経緯ですが、次に私のいる江戸川区での対応をご紹介します。江戸川区ではWHOの発生宣言の翌日、NHKのニュースが報じられた4月25日の土曜日に、保健所の属する健康部に初動本部を設置しました。週明けの4月27日には、江戸川区の全庁的な対策会議を招集し、保健所では発熱相談センターを設置しました。検疫所から送られてくるリストを基に、まん延国からの入国者の健康観察のための電話連絡や、区内の指定した発熱外来への誘導や、医療機関との調整などを行ってきました。また患者の受け入れ態勢など医療体制整備が非常に重要となるため、区の医師会や医療機関、消防などとの連絡会議を開催し、関係機関との連携対策を構築しました。このように関係機関と連携を持ちながら対応してきましたが、区役所全体としては全庁的な対策会議を開いて、各部の役割を確認しながら連携を取り、かなりうまく役割を分担してきていると思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。