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防災インタビューVol.86

自分の健康は自分で守る~インフルエンザの傾向と医療機関受診のポイント~

放送月:2010年3月
公開月:2013年6月

大地 まさ代 氏

江戸川区健康部保健予防課長

新型インフルエンザと季節性インフルエンザ

今回の新型のインフルエンザについては、発生した当初、疑わしい人は、まず新型インフルエンザかどうか全員検査をするということで、喉に綿棒を当てて咽頭の拭い液を採って、遺伝子の詳しい検査をしてきました。これは特定の検査機関でしかできませんので、検体を地方にある検査センターに保健所が運び込んで、一人一人確定診断を行ってきました。ただ、ある程度感染が国内でも広がって、しかも弱毒性ということが分かってきましたので、全ての方の検査は現在行っていません。経過的には、最初は全ての方の検査を行っていましたが、その後は感染が広がると非常にたくさんの方が感染してしまう恐れのある学校、保育園、そういった集団生活を営む施設で患者が発生した場合に、その集団の1人、2人に対して詳しい検査を行ってきました。しかし現在はあらゆる所で学級閉鎖も広がっていますので、そういった体制もなくなっています。ただ現在は、脳炎を起こして入院をしている人や、肺炎を起こして入院をして人工呼吸器を装着している人など、重症化している人たちについて、その重症化しやすい病原性を調べたり、あるいはこれから病原性が強毒化に変わる可能性があると言われていますので、そういった病原性の変化を監視しています。またタミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬が効かなくってしまう、いわゆる耐性化を持ったウイルスが出てこないかどうか、そういったことを調べていくために、重症化している人たちについて詳しい遺伝子の検査を行っています。一般の人たちについては、そういった詳しい検査は現在行っていません。

今のところまだ季節性のインフルエンザは出てきていませんので、インフルエンザと診断された人は、特にA型と診断されたほとんどの人は、新型インフルエンザだと言っていいと思います。

医療機関受診のポイント

新型インフルエンザの可能性がある人、全てが必ず医療機関を受診しなければならないということではありません。健康な人は自宅で十分に水分を取って、ゆっくり療養すればいいと思います。一部の持病を持っている人については、なるべく早く医療機関に相談していただいたほうがいいと思います。医療機関を受診した場合には、詳しい遺伝子の検査は行いませんが、A型かB型かということで、迅速診断という検査を行い、インフルエンザかどうかを診断することになる場合があります。この迅速検査も、熱が出てから12時間以上たたないと陽性が出ない場合が多いので、あまり早く行っても陽性が出ないという場合があります。例えば急に発熱した、関節痛がある、喉が痛いなど、そういったインフルエンザ特有の症状がある場合には、現時点ではほとんどの方が新型インフルエンザだと診断されると思います。

抗インフルエンザウイルス薬というのは早めに飲んだ場合は、発熱の期間を非常に短縮する、重症化を防ぐという効果が明らかになっています。また発症から48時間以内に飲んでいただくと効果があるというふうに言われています。しか、発熱してから12時間ぐらいたたないと詳しい正確な検査結果が出ない、けれども48時間以内に薬を飲むと効果が高いということですので、臨床的に新型インフルエンザが疑わしいと先生が判断しましたら、早めにタミフルを処方していただくことができると思います。

インフルエンザのワクチンについて

インフルエンザの予防方法は、何といっても手洗いとマスクの着用などの咳エチケットです。これによってインフルエンザウイルスの進入を防ぐことはできますが、ワクチンを接種することで、発病や重症化の防止には効果があると言われています。インフルエンザにかかる発端は、インフルエンザウイルスが体の中に入ってくることですが、これをワクチンで防ぐことはできません。これに対しては手洗いとうがいが大切になります。次に体の中に入ったウイルスは、細胞に侵入して増殖します。この状態を感染と言いますが、ワクチンがこの感染を抑える働きは保証されていません。ウイルスが増殖すると、数日の潜伏期間を経て発熱や咳などの症状が出てきます。この状態を発病といいますが、ワクチンはこの発病を抑える効果があると言われています。

今回の新型インフルエンザのワクチンについては、季節性と同じように重症化を防止する、あるいは死亡の数を減らすという効果があるのではないか、というふうに言われていました。そのため新しいウイルスが発生してから半年間かかって、今回ワクチンが出来上がったわけですが、当初はまだワクチンの数が非常に少なかったので、国でまず優先接種の対象者を決めました。その対象者には、重症化しやすい持病のある人、妊婦、幼児、国内では特に10歳未満の若い人が入院するケースが非常に多かったので、そういった若い人、それから65歳以上の高齢者ということで、優先的に接種をする対象者というものを国で定めて、そのような方から接種を開始しました。

今回、国内産の新型インフルエンザのワクチンが十分量供給されたということと、1月20日付で輸入のワクチンが特例承認されて流通が開始されたことなどを踏まえて、全国的にも1月29日以降に、一般の方々に対しても接種が始まっていますので、現在希望する人は全て接種が可能となっています。

ワクチンは大体接種してから1週間から2週間で効果が表れます。予防効果が実際に期待できるのは大体2週間から5カ月程度と考えられています。ただ今回の新型インフルエンザは全く新しいタイプの、豚由来のインフルエンザだったわけですが、第2波も当然考えなければいけません。また来シーズン、今はやっている新型インフルエンザと全く別のインフルエンザが新たに発生することも十分考えなければいけないわけです。その際に今回の免疫をいったん付けておくということも、多少の免疫を付ける効果が期待できると思いますので、まだ感染していないという方については、接種をしていただいてもいいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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