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防災インタビューVol.89

知的障害教育と災害支援 ~支援が必要な子どもたちを守るために~

放送月:2013年4月
公開月:2013年9月

石塚 由江 氏

全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会事務局次長

災害時に考えられる子どもたちの状態

特別支援学校に通う子どもたちは、スクールバスでの通学や自主的な1人通学、保護者や支援者と一緒に通学するなど、その子その子の発達の状態によりさまざまです。1人通学の子どもは徒歩だけのお子さんもいれば、バスや電車などを利用するお子さんもいて、こちらもまたさまざまです。定期的に子どもたちの通学の様子を先生や保護者が連携して見守っていたり、必要な指導をその都度、本人に分かるように伝えていますが、車内やホーム、あるいはバス停で待っている時などに、本人には全く悪気はないのですが、誤解されるような行動をしてトラブルも発生しています。社会で生きていくためには、障害があるからということで言い訳は成り立ちません。学校と保護者がさらに意思疎通を図って、少しでも本人の自立を促し、自分自身で考えて解決し、適切な行動をとるように個別に指導し、支援をしています。

知的障害、発達障害のある子どもたちは、1人で通学、外出しているとき、あるいは自宅で留守番をしているときなどに、予期せぬ大きな地震や災害に直面すれば混乱することが考えられます。とっさの判断がとれない子どもが多いことが想像できますので、周りにいる大人に気付いてもらい、助けてほしい、支えてほしいというところがあります。災害時に障害のある子どもたちをどう守り、どう支援できるのか、そのような思いや不安を私たちは先延ばしにせず、今だからこそ家庭で、学校あるいはPTAで備えをして、それでも解決できないことを地域や行政の皆さんにお願いしていくことが大事だと思っています。

しかしながら一般に接した方は、このような子どもについて理解できないところもたくさんあると思いますし、「どのように声を掛けたらよいか分からない」「パニックになったときが怖い」などと言う方もまだまだ多いのが実情です。そのためにPTAや地域の親の会、自主的なグループなどが、知的障害のある子どもたちの特徴について、地域や関係するところにお話に行ったり、知的障害のある子どもたちの物の見え方とか聞こえ方、手先の不自由さを模擬体験できるワークショップを実施したりして、理解啓発活動をしています。地域の親の会では「安心ネット」として活動されているところもありますし、居住する市区町村の知的障害者の「手をつなごう親の会」などに尋ねていただければ、そのようなワークショップをしているグループを紹介してもらえると思います。

「全知P連から発信した防災対策」について

私は現在、全国知的障害教育校PTA連合会(全知P連)が、東日本大震災の直後から立ち上げた防災部会の中で、コーディネーターとして活動しています。防災部会では、今までに6回ほど部会を行い、子どもたち、あるいは学校にとって有効な防災対応はどのようなものかを発信しています。

防災への対応については、東日本大震災の前と東日本大震災の後で、少し異なっています。東日本大震災前の平成20年に、知的障害教育校PTA連合会では、47都道府県の代表、47人の方を対象として、災害についてのアンケートを行いました。それにより6地域の地震による災害体験や、11地域の水害体験から見えてきた課題や心配される問題点を明らかにし、居住する地域での防災に役立てていけるよう、当事の代表者と情報交換を図りました。そこで「障害のある子どもたちの安全を守るためのシステムづくりが必要である」という共通認識を持ちました。このことは全知P連のホームページ上や会報の中で掲載しているので、見ていただけたらと思います。また平成20年以前には、石川県のPTA連合会や神奈川県の複数の特別支援学校のPTAが、私どもの調査研究事業を活用して、災害時に障害のある子の支援について研究して報告書を出しています。こちらもホームページに掲載していますのでご覧ください。その他にも地域関係機関とPTAが連携した防災への取り組みを、全国研究協議大会において発表したPTAもあります。

平成23年3月11日に東日本大震災が発生した時には、私は全知P連の会長職にありました。津波による甚大な被害を受けた地域の学校や子どもたちの様子、家族の安否が本当に心配で眠れませんでした。翌日、また翌日と県代表のPTA会長と連絡が取れるようになり、学校の状態や分かる範囲の情報を頂き、私も少しずつ落ち着きました。学校下校後、あるいは欠席して自宅にいた児童生徒が犠牲になったり、家族、教職員の犠牲も多数ありました。また、原発事故により避難生活を余儀なくされ、土地勘のない所で生活を一変させた家族とか、今なお不自由な仮設住宅での生活を強いられている家族もいます。「全知P連として、何をしたらいいのか指示が欲しい」という要望が、他の地域のPTA会長から次々と上がってきました。被災した特別支援学校の復興を願い、義援金を募りました。全国の特別支援学校の児童、生徒が募金活動をし、PTA関係者、あるいは一般の方からも多くの支援が寄せられました。これを被害の大きかった東北3県のPTA連合会に数回にわたって届けて、子どもたちの教育活動や復興のためにご活用いただいています。また震災から5カ月後の8月の後半の土日に、全国研究協議大会群馬大会が、群馬の前橋市で行われ、「被災地に向けた私たちの取り組み」をテーマに加えて、パネルディスカッションをしました。東北3県の代表者からは、支援の必要な子どもと家族の当時の状況、学校、避難所の様子や、浮上した課題を伝えていただき、被災地の特別支援学校を訪問調査した理事からは大切な気付きが伝えられました。この大切な気付きというのは「普通に学校があるということを真っ先に伝えて、生徒や保護者に安心してもらいたかった」という校長先生の言葉です。「知的障害教育校というのが、学校として持つ役割の本質ではないか」ということも含めて私たちに伝えてくれました。この大会で特別に危機管理アドバイザーにご提言いただいた「特別支援学校のBCP案のガイドライン」を形にして、各地域のPTAに発信していきたいと考えて、当時の会長、事務局長、顧問の協議により、防災部会を発足し、危機管理アドバイザーの指導の下で活動することを決定しました。平成23年9月30日から現在に至るまで、合計6回の部会を開催し、部会で取り組んできたことはホームページや指導誌、会報などで紹介してきました。これらの防災部会の活動をさまざまな面でサポートしてくれている私の上司の事務局長が、本会の上部団体の全国特別支援教育推進連盟の理事長に活動内容を話してくれたことがきっかけで、「安全、安心な場を創ろう」という冊子を刊行することができました。障害のあるお子さまを持つご家族や関係者の方に読んでいただければ幸いです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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