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防災インタビューVol.92

企業の災害対策 ~被災前後の対応とBCPの取り組み~

放送月:2013年7月
公開月:2013年12月

掘 格 氏

NEC

早期復旧を可能にしたNECの災害対策

NECでは事業をやる上で、社会インフラ系、電気、ガス、水道などの会社を担当していますので、もし通信機器がやられてしまうと、それを直しに行かないと復旧が遅れてしまうことになります。それで、なるべくNEC関係者は自分たちが被災しない状況をつくりだすことが大事ですし、あるいは非被災地から人手を持って行って皆さんの社会インフラをいち早く復旧させることを考えて、今までやってきています。

NECの防災というのは、手順において、まず危機を想定することです。その場所でどんな災害が起こるかをまずは考え、電気、ガスなどのインフラがどのくらいの時間、被災するのかを考えます。そして、そのインフラが止まっている間に直せるように、災害時ごとの活動方針を決めたり、対策組織をつくったり、あるいは事前に減災対策をしたりしています。また、発災直後にどのようなオペレーションをやるかなどを決めておくことで初めて行動要領が決まってきますので、その行動要領に合わせて各種の訓練をやっていきます。そして初めてBCP事業継続計画が作れるという考え方です。

実際に東日本大震災の時は、ライフラインが復旧するのにはだいぶ時間がかかりました。長い所では1週間以上かかったところがありましたが、常に最悪な状態を想定しておけば、それよりも小さい被害であれば対応できます。日頃から「これ以上のことは起こらない」というマックスなものを決めておいて、実際に災害があったら、自分たちはどう対応していくのかを考えておき、それよりも軽かったら「この手順とこの手順はいらないね」という形で作っていくということをやっていました。

工場に関しても、主立った工作機械、測定機械については減災対策をしていましたので、特に問題なく使えるという状況でした。当然、棚から物が落ちたり、部品が散らばるということは起こりましたが、それは拾えば済みますし、簡単に片付けられます。あるいは津波が来た所は、その泥を取り除けば動けるような体制をとっていましたので、工場の一つには2階まで津波が来ましたが、事前に多分津波が来るだろうと予想して、ステンレスで全部覆って準備していたので拭くだけで大丈夫でした。すぐ近くの他の工場は6月ぐらいまで復旧しなかったのですが、NECは3月の終わりに復旧するという状況でした。

NECの災害対策本部

NECの対策本部は大きく三つに分かれます。一つは経営機能を行う中央事業継続対策本部があります。そして、各拠点ごとに生活、インフラの復旧、地域の連携などをやる拠点ごとの対策本部があります。さらに個々の事業を復旧していく、各部門の事業継続対策本部があります。中央というのは一つしかありませんが、拠点ごとに地区対策本部が幾つもあって、事業ごとに幾つも事業継続対策本部があり、それが縦横うまく組み合わされて動いているという状況です。

災害時に二つ我々は目標を持っていて、一つは減災対策をやること、もう一つは情報の共有をすること、特に災害時でも使えるようなもので共有することで、この二つを持っていたことが今回の強みだったと思います。災害時には電話はつながらない、メールを送ってもなかなか届かないので、それを見越した上で対策をとっていました。中越の時にも既に携帯はつながらなかったのですが、メールだったら関東から送るのは無理でしたが、中越から送ったのはつながりました。現地のアンテナが壊れた場合でも、移動無線局が来ればすぐにつながることが分かっていたので、どこまでいけば何とかなるという形で、実際にやっていました。

建物自体の減災対策に加えて、例えば天井が落ちてこないような対策や、パソコンが倒れないような対策をとっていました。生産関係でいうと、生産物が壊れない、あるいは倉庫が壊れないような対策も講じていました。事前に倒れるようなものは分かっていましたし、倒れたら拾えばいいのですが、拾っている手間を考えると倒れないようにしておくのがベストだということで対策をとってきました。これは多くの場所では実践されていましたが、一部の倉庫では乱積みになっていて全部倒れてしまったところもありました。また、社員には減災対策はかなり徹底されていましたが、賃貸ビルなどの場合はオーナーさんがいるので、そのオーナーさんが火災の時のマニュアルと地震の時のマニュアルを間違えて、ビル自体は安全であったにもかかわらず全員外に出されてしまって誰も入れず、約1日ロスしたところが何カ所かありました。

減災対策として「情報をどう周知していくか」という問題がありますが、これは事前から、皆が情報を取れるような形に持っていくように準備していました。携帯で取れる場合、PCで取れる場合、口伝えで取れる場合という形で、いろいろな方法で本人たちに伝えていくということをやっていました。情報の発信については、実際に自分たちが発信することはするのですが、直接は発信せずにサーバーにためておいて、皆がそのサーバーを見にいくという方法をとりました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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