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防災インタビューVol.94

福祉の現場におけるBCP ~要援護者の災害支援~

放送月:2013年9月
公開月:2014年2月

池田 真紀 氏

札幌市地域活性化伝道師

独自の判断の大切さ

突然の台風や地震の際に、独自でどのような判断をするかが大事ですので、そのことについてお話しします。北海道では、あまり台風も来ませんし、雷が鳴ることもあまりないのですが、8月下旬に大雨が降りました。北海道全体で一晩中、雷が鳴り、JRもストップしたというくらいの大雨でした。ちょうどこの時期はあちこちで防災訓練が行われるのですが、大雨になってきて、どこの役所でも「注意報を出すか、警報を出すか」という話が飛び交っていました。しかし、どのような場面においてもそうなのですが、やはり行政待ちではなく、独自の判断が非常に重要です。北海道においては、水害はあまり例がないということもあって非常に意識は低いのですが、川はたくさんありますので、水害に対する計画を立てようという区も出てきています。ただ計画ありきではなくて、その状況によって独自の判断が重要になってきます。

あの雷のときに私が感じたのは、東京などでは、あの雷の中では外に出ないですし、少年野球などで外で活動している場合は、行政の勧告、警報がなくても独自の判断で避難することが身に付いています。しかし北海道では、住民の皆さんは何も感じていないようで、「すごい雨だね」「すごい雷だね」で終わっていました。幸い大きな被害がなかったからよかったというような状況ですが、もし人に影響を与えるような落雷であれば本当に大変だったと思います。まさにそのような状況でしたので、そういう自然災害についての感覚を身に付けている地域の人が札幌にはいるはずですので、行政の声だけを聞くのではなく、ぜひ地域の中にいる人たちの声を聞いて、自ら判断して避難をすることが重要です。特に自然災害については本当にとっさの判断が必要ですので、「自分の安全は自分で守る」というところから、まずスタートしていただきたいです。雷が関東地方で鳴ったら、絶対に木の下には行かないとか、大きな安全な建物に入るというのは皆さん分かっていることですが、あまり頻繁に起こらないと、意外とのんきに構えてしまうものですので、ぜひ気を付けていただきたいと思います。

判断のための情報収集の必要性

防災のためには自助が重要ですが、その自助のためには日頃の活動が大事です。そして日頃の活動のためには、事前の情報が重要かと思います。地域の中での自然災害における独自の判断も、情報がなければ当然知識がないわけで、判断できないわけです。そのための情報提供をいかにするかが行政ももちろんですし、あるいは防災の活動をしている人たちの中で、どんどん進めることが必要です。

福祉施設や介護に携わっている人たちは、目の前の毎日のケアに必死ですので、その中で災害のことまで考えるのは非常に難しいと思いますが、災害に対してこそ事前に考えなければいけないのです。守らないといけない対象者、福祉の対象者についてのBCPや支援について、災害時に自分の事業所をどのように運営をするか、そして自分の家族、家庭もどうするかということについて、その自助のための判断をするために、どのように情報を得て事前に準備するかということは、本当に極めて重要なことです。福祉や介護の現場においては、時間を割いたりお金を掛けたりというのは、あまり余裕がない労働条件の方が多いと思いますので、そのための普及活動は、本当に地域の連携を図りながら行政がバックアップして進めていく必要があります。

特に北海道では福祉避難所などでも「行政待ち」が多く、「行政は何と言っているの?」「役所は何て言っているの?」ということをよく聞きますが、災害時においては、行政の判断ではなく独自の判断が必要になるわけです。行政が何と言おうと、まず自分たち独自の事業所なり施設なりの判断基準で、その場の瞬間の判断をするのが重要になってきますので、そのためには事前の準備が非常に重要です。災害時においては、計画通りにいくようなパターンは当然ないと思いますが、その計画を策定する中で、柔軟性と判断力が付いてきます。一般の生活でもそうですし、事業所や会社、学校もそうですが、いつも災害に対するイメージを持ってトレーニングをしておくのは大事です。

今、個人の皆さんが、それぞれ家庭での防災に対して意識が高まっている中で、情報が逆にありすぎています。業者任せの防災マップなども本当にたくさん出ていますし、情報がありすぎていますが、最終的にはわずかの時間で判断していくのは自分しかいないわけですので、その時に優先順位をいかに情報共有していくかが重要になろうかと思います。常備薬だとか、いろいろ必要なグッズはたくさんありますし、いろいろな必要な物が挙げられていますが、実際には「本当に究極の一つは何か」を自分自身で考えて、日頃から本当に一つだけでもいいので選んでおくことが必要です。命を守るために、ぜひその訓練を日々からしておく必要があると思います。またケアする側にとっても対象者のことを考える際に、対象者が10人、20人いる中で誰をどうするかというのは、非常に厳しい判断になるわけですから、事前に計画を策定してイメージしておく必要があります。行政が何と言おうと、まずは独自の基準を作っておくことが重要です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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