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防災インタビューVol.94

福祉の現場におけるBCP ~要援護者の災害支援~

放送月:2013年9月
公開月:2014年2月

池田 真紀 氏

札幌市地域活性化伝道師

プロフィール

現在、札幌でフリーソーシャルワーカーをしている池田です。今まで14年間、東京都板橋区の職員として福祉事務所で介護福祉など、さまざまな福祉に関する部分について、ソーシャルワーカーや介護、ケアマネジャー、あらゆる専門性の部分に主に携わってきました。2009年に特別養護老人ホームにおけるBCPのガイドラインの策定に関わったのをきっかけに、福祉施設、介護事業所に関する防災活動の普及活動をしています。

現在は北海道で、同じようにソーシャルワーカーの中でのBCPの普及や、まだまだ遅れている要援護者支援や、地域の中の包括ケアの部分で「いかに防災の意識を高めていくか」ということも併せて活動しています。また、北海道大学公共政策大学院で公共政策、防災も含めて社会保障全般における公の担う部分の政策について、主に勉強しています。

地域の防災、減災活動の高まり

地域差もあるかと思いますが、私が札幌に行った2011年当時は、まだ地域包括支援センターでも「要援護者」という言葉は、まだまだ浸透しておらず、知らないという状況が多かったのですが、この1、2年で、町内会、自治会の皆さんの要援護者支援のプラン作りなどの活動が、非常に高まってきていると感じています。これによって、現在の課題になっているような孤立死や少子高齢化の問題、町づくりにつながっていくような活動にも大きく関わっていると思います。

現在は北海道でのBCPの普及の活動を行っていますが、BCPというのはビジネスコンティニュープランと言って、事業所、企業が災害時にどのように事業を継続していくかを考えるためのプランです。どの事業をストップし、何を優先して、どういう時間に応じてやっていくかということなのですが、一般事業所と違って福祉に関しては、即、住民の生活、あるいは命に関わってくる問題ですので、福祉のニーズが高い方についてはBCPは非常に重要だと思っています。2009年の内閣府の調査では、BCPの認知度がとても低いというデータがありましたが、現在はだんだん普及はされていると思います。私が2009年にBCPのガイドライン策定に関わったのは特別養護老人ホームでしたが、やはり福祉全般に関わってくるものだと思い、特別養護老人ホームをベースに障害者や児童、低所得者の母子世帯が入るような施設、ホームレスの方々がいったん入るような施設などのBCPに携わるようになりました。医療ではなく、薬やケアの必要な人たちが災害に遭ってライフラインがストップしたときに、どのように生命や心を保ちながら生活をするかということが非常に重要だと思っています。

福祉の現場におけるBCP

福祉の現場を担当している人は、在宅であれ施設にいる方であれ、どのような職業、どのような対象者であろうと、その時の目の前にいる方にベストのケアをしようという習性がプロとしてあります。災害時においては、その思いや通常のケアを低下させなければいけないということを、どのように事前に協議をしておくか、あるいは計画をしておくかが非常に重要だと思います。

現在、いろいろなシミュレーションをしながらBCPを作っています。BCPを作ることが目的になっては困るのですが、その作る過程において、日常の意識はもちろん連携の意識、変化に対する対応力が付いてきます。北海道においても2013年2月に道東ソーシャルワーク研究会という任意の自主団体が立ち上がりましたが、ちょうどその前日8日に十勝沖地震がありました。この研究会では、保健福祉士協会、社会福祉士会、医療ソーシャルワーカー協議会などの団体がばらばらに活動するのではなく、一緒に研究と災害時における対応をするための勉強会をやっていこうということで立ち上がりました。そこでは、災害時におけるBCPを一緒に策定するというような取り組みが行われました。奥尻での災害などはありましたが、日常大きな記憶に残るような被害があまりない北海道でありながら、現場のソーシャルワーカーたちの防災意識が高まってきたと思っています。基本は、このように領域を超えて手を組むことが重要だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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