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防災インタビューVol.95

災害知識の再考 ~災害対応時の人の動きを理解するために~

放送月:2013年10月
公開月:2014年3月

関谷 直也 氏

東洋大学 准教授

安否確認

震災の時は通信が使えなくなるというか、電話が通じなくなることが多いです。阪神淡路大震災など過去の大災害の時には、家族と連絡が取れないで困ったということが多くありました。東日本大震災の時でも1カ月、2カ月連絡が取れなかったという方が被災地にいたので、こういった災害時の安否確認というのは、やはりとても大きな問題になります。本当に大きな災害の時には、安否確認というのが、ある時期からは亡くなっているかどうかを確認するつらい作業になってしまいますが、できるだけ早い段階で、もしも2人とも無事で連絡が取れていれば、それだけで不安が解消されるので、初期の段階できちんと安全を確認し合うことが大事です。3月11日の東日本大震災の時も、電話が駄目でもメールやLINEやfacebookなどパケット通信は通じやすかったので、まずそれを使うのがひとつのポイントだと思います。その他に災害用伝言ダイヤル、災害用伝言版という仕組みもありますし、東日本大震災の時はパーソンファインダーというのをグーグルが用意して、ネットでも登録検索できるような状態になっていました。災害用伝言ダイヤルはNTTが用意しているものですが、遠隔地に巨大な留守番電話サービスを用意しているというふうに考えればいいわけです。東京で災害があった場合、東京の中は皆が電話をかけまくるので通じないのですが、他の地域に電話をかけようとすると意外と通じるものです。その仕組みを利用しているのが災害用伝言ダイヤルです。例えば北海道の方に親戚がいる方、実家がある方は、災害があったときに必ず北海道の家に電話をかけるようにするのを家族同士で事前に合意しておけば、安否確認がとれるわけです。必ずしも災害用伝言ダイヤルとかグーグルパーソンファインダーを使うだけではなく、きちんと仕組みを理解して、事前に決めてあった遠くの誰かに安全だというのを伝えればいいということを、きちんと覚えておくことが大事です。

関東大震災の時にもそうだったのですが、災害があったときにどこに行くのかというルールを事前に作っておいたおかげで、何日かたってそこに行って、貼り紙を見て、そこにいたことが確認できたという例もありました。このように事前に、通信が使えないときにどうするかというのをしっかりと考えておくのが、災害対策の重要なポイントです。

災害を忘れず、災害から学ぶ

地震、水害、大規模火災、原子力事故など、いろいろな災害が日本では起きています。だからこそ私たちは災害のことを忘れないで、学んでいくことが大事です。

地震の時には、なぜ机の下に隠れるか、安全な所にしゃがむかというのは理由があるわけで、そうした理由までもきちんと分かっていれば、自分の身を守ることにつながります。台風や大雨、川が氾濫するような災害の時は多分、電話も通じるし、いろいろな情報を確認して、その上で判断できるので、どこに逃げるかを考えて行動することができますが、地震の時は情報がありません。地震の時は通信は使えないし電話も通じなかったり、連絡を取るのはとても難しいので、事前に連絡の取り方を決めておき、情報がないときにどういうふうに動けばいいのかを常日頃考えておく必要があるわけです。それを事前にきちんと考えて、さまざまな機会に学んでいけば、それだけで自分の身を守ることにつながっていくわけです。そのためにも災害のことを忘れないで学んでいくことが、やはり大事だと思います。私たちは忘れやすいものですから、災害のことをいつの間にか「嫌なものは見たくない」というような感じで忘れていきます。それを何とか忘れないように、日本に住んでいる限りは、ある意味、自分の生活習慣病みたいな病気と一緒ですから、それをきちんと学んで理解していくことが大事なのだと思います。

それともう一つ注意したいのは、水害とか洪水の時に車を運転しないことです。昔の車だったら手回しで窓を開けましたが、今はパワーウインドーで開けるので、1回車が浸水してしまうと、水圧でドアを押しても出られませんし、ウインドーを下げられないから外に出ることができなくなってしまいます。自動車のガラスを壊すための道具も売られていますが、水害時には、とにかく車を運転しないということも大事です。東京など都心部にいると、道路の高低差をあまり意識しないで運転していますが、意外と高架の高速道路の下辺りで、ちょっと下がっている所に水がたまりやすくなっています。特に都心部の場合は水はけが悪く冠水しやすいので、前の車が行っているから大丈夫だろうと思って走っていて、水の奥に沈んでしまって動けなくなってしまうようなことが結構起こります。水害の時、洪水の時には車は使わないようにすることが、身を守る手段としては大事です。このように普段から、いろいろな災害について備えておくことが自分自身の身を守ることになるので、とても重要なことです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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