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防災インタビューVol.97

自分たちの町は自分たちで守る ~被災者とボランティアのつながり~

放送月:2014年1月
公開月:2014年6月

加納 佑一 氏

京都社会福祉協議会総務部企画担当

プロフィール

東京ボランティア市民活動センターで働いている加納佑一です。今は災害の仕事を主にやっていて、市町村に出向いて災害ボランティア講座を行ったり、大島で起こったような土砂災害の被災地に支援活動に行ったりしています。

大学で何かボランティア活動をしたいと思っていた時に、たまたまボランティア活動を通して知り合った方に「明日暇か?」と誘われたのがきっかけでした。朝5時半に迎えに来た車に乗って、連れて行かれたのが長岡で、それが2004年の7.13の水害でした。初めてやったボランティア活動が泥出しで、そこから災害ボランティア活動に関わるようになっていきました。初めて泥出しのボランティアに行った当時、私は大学で社会福祉を専攻しており、福祉というのは「人を見る」のが一番大事な視点であるにもかかわらず、ボランティアに行った先のお宅の方とは全く会話もせず、その方の顔も全然覚えていないような形で帰ってきてしまいました。その後ずっと「何をしにボランティアに行くのか」ということを、もんもんと考え、悩みながらも災害ボランティア活動を続け、それを通して、このような活動を仕事としてもやっていきたいと思うようになりました。活動していく中で、社会福祉協議会が災害ボランティア活動に深く関わっていることを知り、現在は東京都の社会福祉協議会のボランティアセンターで、仕事としてボランティア活動に関わるようになりました。

「災害ボランティアセンター」の仕組み

社会福祉協議会は全国にある組織なので、大きな災害が起こった際には、被災地の真ん中で災害ボランティアセンターを立ち上げます。そこにボランティアが派遣されていくという形に現在はなっています。

しかしながら阪神淡路大震災の時は、まだそのような仕組みがなく、災害ボランティアセンターも最初はなかったために、全国からボランティアが神戸に殺到しているものの、何をしたらいいかを指示する仕組みが出来上がっておらず、それぞれが個人で動いていました。阪神淡路大震災の時の教訓を生かして、もう少し効率的にボランティア活動ができないかということで、その後、全国の各市町村に1カ所はある社会福祉協議会が中心になって、災害ボランティアセンターを立ち上げ、被災者を訪問したり電話で確認しながら、被災地のニーズ、被災者が困っていることを調査しました。そこに全国から来たボランティアを振り分けて、活動してもらう仕組みがだんだんとできるようになってきました。その意味でも、阪神淡路大震災が、このようなボランティアセンター立ち上げのきっかけになったわけです。

阪神淡路大震災以降、このような仕組みがだんだん整えられてきて、東日本大震災の時には、100を超える災害ボランティアセンターができました。初めて災害ボランティアに行く人にとっては、何か目印があると活動しやすいということもあり、多くの方が災害ボランティアセンターに行くという形になりました。それにより、がれきの撤去や泥出しのボランティア活動は本当に効率的に作業が進むようになってきました。ただ仕組みはできたものの、私自身が最初のお宅にボランティアに行った際に、そのお宅の方の顔を全く覚えていなかったというお話をしたように、本当の意味での被災者支援ということで考えると、ボランティアはセンターに行き、どこに行くかもセンターで決めてくれることにより、被災者とのコミュニケーションが少なくなってしまったということもあります。仕組みができたことにより、人と人がきちんと出会う場が少なくなり、話をする機会が減ってしまったということが起こっています。それが一つの課題にはなっているのかと思います。実際に現地に行って、ボランティアは一生懸命泥出しの作業をすることに精力を尽くしている一方、そこのお宅の方は、せっかく遠くからボランティアが来てくれたので、被災したときのことや、自分たちがどのような気持ちで逃げたのかなど、いろいろ話をしたいと思っているというような、かみ合わない場面も多々あり、もう少しそこのつなぎがうまくできるといいと思っています。どうしても若い男性ボランティアはガテン系で、少しでも泥を取り去ってあげたいという気持ちが先にたって、作業に没頭してしまって、なかなか被災者と話をする機会がなくなってしまいがちですが、被災者と話をすることで、また違った関わりが生まれ、ボランティア活動の可能性も広がってくるので、ボランティアを送りだす際には「作業だけに没頭するのではなく、被災者とのコミュニケーションにもちょっと気を付けて活動をしましょう」という声掛けもしています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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