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防災インタビューVol.97

自分たちの町は自分たちで守る ~被災者とボランティアのつながり~

放送月:2014年1月
公開月:2014年6月

加納 佑一 氏

京都社会福祉協議会総務部企画担当

首都直下地震に向けた取り組み

首都直下地震は今後30年間に70%の可能性で起こるといわれていますが、現在、東京で進めている取り組みについてお話ししたいと思います。まずは東日本大震災の検証をきちんとした上で今後のことも考えていかないといけないということで、今進めています。東日本大震災の時には、多くのNPOや海外支援をしているNGO団体の方たちが、被災地に素早く入ってくれました。いろいろな場所でいろいろな活動をしていたのですが、その人たちがどこで何をしているのかというのを、全体として把握しているところがどこもなかったのです。それは何が問題なのかというと、このようにそれぞれがそれぞれの活動を進めていくと、人が行きやすい所には支援がたくさん行くのですが、行きにくい所は支援が行っていない可能性が出てきてしまいます。東京で大地震が起こった際にも、そのようなことが起こり得る可能性が高いのではないかということで、できるだけ、どういう団体がどこで何をしているのかを知るための取り組みを現在進めているところです。

東日本大震災でも5月の初めの段階で、ほとんどボランティアが来ていなかった地域もありました。震災から1カ月以上たっているのにボランティアがほとんど来ていなかった所もあり、支援の格差が生まれてしまっているわけです。全体としてボランティア活動が把握できていないために、どこにどういうニーズがあって、どこに行くべきかを伝えられない状況が起こってしまっています。そこでスムーズに活動ができるように、東京都災害ボランティアセンターを災害時には立ち上げていくことが決まっています。2013年の2月からは、支援の格差を生まないために、東京都災害ボランティアセンターで必要な機能は何かを話し合っているところです。

今までは、首都直下地震が起こった際に情報を取ってくる人、その情報を出す人が誰なのかは決めていませんでした。東京では市町村が5個ぐらい集まって一つのブロックをつくっているのですが、そのブロックごとに情報を収集して発信する担当をつくろうとしているところです。その仕組みができれば、もしもの災害のときにも非常に役に立つと思います。今までは災害が起こってから担当者を行かせていたのですが、それでは遅いですし、顔がつながっていないので、なかなか活動できません。それを打開するために平時からつながりをつくっておいて、訓練の際にはその担当者が行ったり、講師になって講座をやったりというような仕組みをつくっていかないといけないと思っています。

ボランティア同士のネットワークの構築

災害時、東京都内にボランティアの情報網、ネットワークができるというのは素晴らしいことですが、まだまだNPOやNGOの人たちの力が社会に認識されていないという課題があります。東日本大震災でも、いろいろな支援がNPO、NGOの人たちのところに集まっていましたが、なかなか知られていません。災害が起こるとNPO、NGOの人たちのところにはいろいろな支援が集まってくるので、例えばランドセルを大量に用意できるとか、何人分の炊き出しができるとかという力を持っていたりするのですが、なかなかその部分をうまくつなげていくことができていません。特に女性支援ができるとかアレルギーに関する支援ができる、障害者の支援ができるというような専門性がある団体もあるのですが、そのような団体は広域で活動していることが多いために、地域の小さな困り事をなかなかつかむことができていません。そのためにも地域で活動している人たちが現地の情報を集めてきて団体につないでいく、そのような活動が深まってくるといいと思っています。また、平時にアレルギーに関する活動や、女性や子どもの支援などを行っている専門性を持った団体は、災害時には被災地の子どもの支援、女性の支援活動を行うのですが、なかなか平時に横のつながりを持っていくことが難しい部分があります。そこをうまくネットワークをつくっていって、災害が起きたときに支援ができるようなつながりを普段からつくれるといいと思います。

しかしながら実際に災害が起こると、平時に考えているような理想的な支援がなかなかできにくいこともあります。混乱もしますし、マンパワーもどれだけ集まるかという問題も出てきます。情報がうまく伝われば、何とかそれぞれのネットワークをつなげて生かしていくこともできるのですが、災害時には情報が錯綜するといわれていて、本当に必要な情報が出てこなかったり、行き届かなかったりということも起こります。特に災害を受けて一番困っている状態にある人たちが、一番情報を出しにくいというのも事実なので、そういう人たちの声をどう取りにいくかということも大きな課題だと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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