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防災インタビューVol.99

防災スマートグリッド ~イカ釣り船の電気を陸へ送る~

放送月:2014年2月
公開月:2014年7月

刑部 真弘 氏

東京海洋大学教授

プロフィール

1980年に大学院を出まして、その後8年間、原子力研究所で研究員をしておりました。その後、東京海洋大学大学院の教授として、ターボ動力工学という研究室で研究をしています。2005年に船舶を利用した「防災スマートグリッド」という概念を世の中に出しました。それは陸上の電源がなくなった際に、船のエネルギーを利用しようということで始めた概念です。

東日本大震災と停電

東日本大震災では大規模な停電が起こりました。停電が復旧するまでに、ほとんどの所で1週間ぐらいかかりました。その間に、岩手県久慈市の懇意にしている循環器クリニックの院長から連絡があり「病院で導入している電子カルテが、停電で見ることができず、処方箋を出したいけれどカルテがないので出せない」ということでした。その病院では2日間停電のため、カルテが見えなくなってしまったということでした。しかし病院の前の海には、イカ釣り船が電気をつけていました。この船は津波を避けて沖に待機していたもので、陸上は停電で真っ暗でしたが、海に浮かんだ船は発電をして電気を持っていました。陸には電気がないのに船にはあるという状況が起こりました。通常ならば、カルテを電子化すると、盛岡の病院と直接つなぐこともできて、医療的には非常に便利なのですが、電気が来ないと非常に困ったことになります。我々はそれを何とかしたいと思い、防災という意味でも、震災時などの緊急時にも電気を確保できる体制が必要だということで、船から陸に、例えばイカ釣り船から陸に電気を送ろうというようなことを久慈市でやっています。

「防災スマートグリッド構想」について

2004年に我々は、船舶をうまく利用した「防災スマートグリッド」という概念の本を出版しました。その概念の一つは、再生可能エネルギー、例えば風力や太陽光などの使いやすい環境を整えるということ。それからもう一つは、これからのエネルギーとしては市民の協力がないとやっていけないだろうということで、「市民力」をうまく使って再生可能エネルギーを利用したり、震災の時にうまく電気を使う仕組みをつくりたいというのが2番目の柱です。3番目は久慈市の話でも出ましたが、緊急時には船から電力を送ろうというもので、この三つの柱の「スマート構想」を今から10年前に出しております。

この「スマート」というのは、英語では「賢い」という意味があるのですが、我々が「SMART(スマート)」という名前を付けたのは、スモールの「SM」、それから進んだという意味の「アドバンス」の「A」、リージョナルエナジー、地域エネルギーの「R」、最後に「T」はテクノロジーです。要するに「地域でうまくエネルギーを使う仕組み」ということで「スマート」という意味を持った言葉として、2004年に本を出しました。今では、いろいろな所で「スマートエネルギー」「スマートタウン」などと「賢い」という意味で使われていますが、もともとはそういうことでした。今、世の中に違う意味でのスマートという概念ができているのは、非常にうれしいことです。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。