1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. まちづくりと建築土木
  6. 防災スマートグリッド ~イカ釣り船の電気を陸へ送る~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.99

防災スマートグリッド ~イカ釣り船の電気を陸へ送る~

放送月:2014年2月
公開月:2014年7月

刑部 真弘 氏

東京海洋大学教授

「再生可能エネルギー」について

我々の「防災スマートグリッドの構想」には三つの柱があり、そのうちの二つは今お話ししました「市民力を生かすということ」と「船から電気を供給すること」です。そして、もう一つが「再生可能エネルギーをうまく使うこと」であり、その再生可能エネルギーを使う環境を整える必要があるということです。

再生可能エネルギーは、実はものすごく使いにくいエネルギーです。風力発電所においては、例えば風の強さが半分に減ると、電気の出力は10分の1以下になってしまいます。風が吹いているときはいいのですが、風がなくなると急速に発電をしなくなってしまいます。太陽光も曇るとエネルギーはゼロになってしまいます。そのように変動しているエネルギーを、いかにうまく使っていくかということを研究しています。

私は昔から言っているのですが、その解決策の一つが電気自動車EVです。日本では最初はかなり大きなことを言って、EVを500万台に増やしたいと言ってきました。簡単に500万台と言っても、金額にすると購入費で約10兆円になります。もし500万台のEVがあれば、変動している再生可能エネルギーをEV電池の中に蓄えておくことができます。それで再生可能エネルギーがないときに、EVの電気を世の中に供給すればいいわけです。そのような体制ができてくれればと期待しています。そして、そのEVの電気は災害のときに電源がなくなったら、電気を運んで使えるわけです。ガソリンを使うよりはEVを使ったほうが維持費も安いですし、二酸化炭素も出さないので環境にもいいですし、もう一つは、再生可能エネルギーの救世主にもなります。EVが本当に500万台あれば、うまく再生可能エネルギーを使う世の中ができてくるのではないかと思うのですが、実際にはまだその500分の1にもいっていません。今はまだ、せっかく作った不安定な再生可能エネルギーをためておく所がないのですが、もしそういう体制が早くできれば、生可能エネルギーでやっていけると、自信を持って言えると思います。横浜に本社がある自動車会社でも、もっとそのへんを強調して宣伝してほしいなと、いつも思っています。震災後に家に蓄電池を買う方が結構いましたが、その意味でも、EVというのは蓄電池の付いた車です。値段もほとんど変わらないので、蓄電池にタイヤを付けたEVのほうが、かえって安くなったりするわけです。EVが世の中にたくさん出てくると、どんどん値段も安くなってくるので、そうすれば再生可能エネルギーをうまく使う世の中に変わっていくのではないかと思います。

東京海洋大学と震災被災地とのつながり

久慈市の病院の話をしましたが、この久慈市と東京海洋大学のつながりのきっかけをつくったのが、さかな君でした。以前、久慈市を舞台にした「あまちゃん」という非常にヒットした朝ドラがあり、彼も出ていました。彼が久慈市で子どもたちに魚の講演をしたり、いろいろなことをしていたので、そのつながりで我々も震災後も、いろいろな仕事をしています。

実は2006年に私が東京海洋大学の副学長だった時に、当時の助教授、現在の準教授にさかな君を任命しました。当時、大学の中では「副学長ご乱心」というふうに言われました。その後、彼は秋田県の田沢湖で、絶滅した魚、クニマスが山梨県の西湖にいるのを見つけて、陛下からお褒めの言葉を頂いたり、非常に活躍していますが、当時は東京海洋大学の教員にタレントを持ってきてどうするんだ、というような雰囲気が強かったわけです。さかな君はいろいろな魚についての興味があって、独自に勉強していますので、彼みたいな人が大学に来たら、皆、少しは変わるかなと期待していましたが、実際かなりその効果があったと私は思っています。今、年に何回か、私と彼と2人で「海とエネルギー」という講義をしているのですが、その講義だけは学生は立ち見で、すごい人数が来ています。我々一般の教員は、なかなか彼みたいにサービス精神でうまくしゃべれないので、彼のしゃべる、人を引き付ける力はすごいものだと思います。

私も昔、原子力研究所に8年間いたので、やはり原発事故を我々はきちんと記憶していかなければいけないし、その反省をしなければいけないということで、NHKスペシャルの「メルトダウン」という番組で、いろいろな指摘をしております。3月11日には4作目の「メルトダウン」NHKスペシャルで、少し話をしようと考えています。

それ以前にも「あの事故はなんだったのか」ということについて話をしております。例えば、事故が起こったときに消防車から注水していますが、あの水が漏れていたのではないかというような指摘も、その番組の中で実は一番最初にしました。実際、原子力についての話は難しいのですが、一般の方に分かりやすいように「あの事故はなんだったのか」ということを話していますので、ぜひ見ていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針