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防災インタビューVol.103

防災の次世代を担う人材育成

放送月:2007年2月
公開月:2014年11月

池上 美喜子 氏

(財)市民防災研究所理事、東京YWCA副会長、地震対策、防災

私たちが今できること

2006年に内閣府の中央防災会議、災害被害を軽減する国民運動を推進する専門調査会の委員をしていた時に、「広報防災」という冊子を作りました。その中から紹介します。ボランティア元年と言われた1995年から早くも12年が経過し、防災ボランティア、企業の社会貢献、広域ボランティア、ボランティアの環境整備など、いろいろな角度からボランティアが議論されるようになりました。最近、「減災対策」という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、これは「災害に備えて命を守るために早急にしなければならないこと」と私は理解しています。

ここでは二つのボランティア活動の実践例を紹介します。一つは家具転倒防止ボランティア、恵那市の家具転倒防止対策をする800人ボランティア作戦です。これは地震時の家具転倒による被害を防ごうと、恵那市消防本部、社会福祉協議会、自治会、消防団、介護支援従事者、建設関連業者などが恵那市家具転倒防止実行委員会をつくり、2004年8月に実施したものです。対象は自治会などを通じて希望のあった一人暮らしの高齢者や障害者宅、約175世帯でした。地域の民生委員やヘルパー、建設業者など5人一組で、各家庭の寝室や台所などを中心にたんすや本棚、食器棚などに転倒防止器具を取り付け、身の回りの危険な家具の配置換えをしました。ボランティアのための講習会は6月に実施され「今なぜ家具類の転倒落下防止対策が必要なのか」という防災講話と、専門的見地から建築業者による器具の取り付け方などの指導を受けるという実践的なものでした。これには予想を上回る多くの中学生以上の人が学校の体育館に集まりました。この活動のポイントは、次代を担う中学生や高校生も参加していることです。自宅に他人が入ることに抵抗のある高齢者も、地域の子どもが大人と一緒にいることで、とても安心するそうです。このようなボランティア活動が、顔と顔の見える関係づくり、高齢者と子どもを見守る地域づくりに貢献しています。

もう一つは地域の防災教育で、宮城県松島町立松島中学校の「防災学習グループきんとうん」の例です。これは生徒たちが学校の勉強を生かして作った防災マップで、耐震診断してほしい住宅マップ、被災住宅早見回りマップなど、今までにない視点を盛り込んでいる点で注目されています。この活動を通して、生徒たちは学校で学んだことが地域に役立つことを実感できますし、地域との交流も自然な形で広まっているようです。中学生から大人への住宅マッププレゼント、耐震診断してほしい住宅マップには「黄色に塗った住宅は、1981年以前の建築基準法が改正する前の建物です。私たちは学校で、1995年、阪神淡路大震災で、1981年以前の木造住宅が大きな被害を受けたことを学びました。1981年以前の住宅にお住みの方は一度耐震診断を実施して、住宅の安全性を確認していただければと思い、このマップを作りました」と書かれています。「私たちはあなたの命を守りたいのです」という、このマップを作った中学生の思いが、しっかり伝わってきます。「防災学習グループきんとうん」は孫悟空が操る雲、きんとうんにあやかって「地域を動き回って防災の大切さを訴えたい」ということで名付けた名称だそうです。

このように今、大人から子どもへ、子どもから大人へと防災教育の輪が広がっていくことが強く望まれています。防災教育推進校などの教員同士が、防災学習の進め方について話し合ったり、社団法人日本損害保険協会の「小学生による防災探検隊の事例集」や、東京消防庁の地域の防火防災功労賞に応募した事例集ほか、防災教育に役立つ資料の共有などができる場づくりが今求められているような気がしてなりません。

私たちはなぜボランティア活動をするのでしょうか? それは私たちの住む地球が真に住みやすい社会になるように変えたいからであり、自分以外の何か重要なことに貢献していると感じたいからだと思います。ボランティア活動において質の高い援助を継続して提供していくためには、研修は不可欠です。いざというとき、自分も家族も無事だったら、隣人を助けるという当たり前の行為が素早くできるように、常日頃からトレーニングを積んでおきたいと思っています。

そのためには今までお話しした中で、やらなければならないことがたくさんあることを実感していただいたと思うのですが、防災ボランティアは災害全般への対応が求められています。災害といっても自然災害だけでも地震、津波、竜巻、風水害、台風、大雪、豪雨、洪水、噴火、これに伴う土砂崩れ、強風、地滑りなどが入りますが、どのようなことが自分自身の住んでいる地域で起こり得るのかを知ることが大切です。そして、それに対する災害予防の観点も取り入れた活動が求められています。今まで紹介した中で、連携や協力がとても大事だということを実感していただけたと思いますが、まだ取り組めていない地域は、ぜひ「連携」を視点において、自分の町内会だけではなく他の町内会とも連携して防災訓練をするなど、お互いに助け合える環境をつくっていただけたらと思っています。

防災の次世代を担う人材育成

今、私たちは、自主防災組織の活動の次の時代を担う人材育成も、非常に求められているという気がしています。そのための一例として、2000年には静岡県の富士常葉大学に、環境防災学部という防災に関する学部が初めてできましたし、2002年には兵庫県立舞子高校に環境防災科が新設され、学校でも防災を専門に学ぶところが出てきました。その他、山形県酒田市の幼稚園では毎年、当番園を決めて防災に関する演技をすることを実践していますが、これによって大人を巻き込んでいます。例えば、1人の園児の演技を見るために両親がまず来ます。そして、その両親の両父母、つまり園児にとっては両祖父母が来ることで、6人の大人を巻き込んでいくことになります。このように、子どもが頑張れば大人を巻き込めるわけですし、大人も子どもも一緒になって防災が学べることは、とても良い取り組みですので、ぜひこのような取り組みを地域で進めていっていただきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。