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防災インタビューVol.104

東京ガスの防災活動とBCP(事業継続計画)

放送月:2014年5月
公開月:2014年12月

美濃口 謙二 氏

東京ガス横浜支店副支店長

ガスの供給停止からの復旧作業

二次災害防止のためにガス設備の被害が大きい所はガスの供給を停止しますが、その復旧についても、被害が少ない地域からどんどん再開させて、スピーディーに全面復旧を目指していきます。2013年12月に中央防災会議で発表された首都直下型地震において、当社管内のガス供給停止件数は約199万件と言われています。ガスの供給を停止した地域は、ブロックごとに被害状況を的確に把握して復旧計画を立て、できるだけ早くガスをお客さまにお届けできるよう最大限努力して、約6週間での復旧を目指しています。供給停止後に、まず道路や地面の下に埋まっているガス管を検査し、被害箇所を修理してメーターまでガスを届けていくわけです。次に、お客さま1軒1軒の家の中や家の周りのガスの配管や設備に異常がないか、安全に使用できるかを確認してから供給を再開します。また病院などへは臨時供給をするために、移動式ガス発生設備を準備しています。大規模な災害時には関係会社、協力会社と連携して東京ガスグループが一体となって取り組みます。さらには全国200社の都市ガス事業者は地震災害復旧に対応する要員や機材、これを相互に協力する体制をつくっていて、全国挙げて1日も早い供給再開に向けて復旧作業に当たります。

東日本大震災の時には仙台市を中心に46万件のガスの供給を停止しましたが、全国から、最大の日には4100人が集結して復旧作業に当たりました。1995年の阪神淡路大震災の時には85万件のガスが止まってしまいましたが、こちらについては全国から最大時、1日9700人が作業に当たり、1日も早い復旧を目指しました。ガス会社同士の協力体制もきちんとできていて、2007年に発生した新潟県中越沖地震の時も全国の都市ガス事業者各社から最大、1日2500人を超える体制で復旧作業に当たりました。私もその時、スタッフとして2週間ほど参加しましたが、特に苦労したのは多くの作業員の仮眠場、宿泊場所を探すことと食事の手配でした。1日でも早くお客さまにガスをお届けしたいという思いで、現場では作業員が早朝から夜遅くまで精いっぱい復旧作業に当たっています。長期間にわたって応援に参加している作業員も多く、肉体的、精神的な健康面が非常に心配ですが、食事と睡眠は健康の基本ですから、何とか手配しようと現地を走り回ったことを思い出します。そのような時、新潟県の地元の皆さまに大変お世話になりました。被災地より少し離れた所に宿をとっていましたが、私ども復旧隊を受け入れるために、それ以外の宿の予約を抑えてくれていました。時には私たちは12時を過ぎて帰ることもあるのですが、温かい食事を用意して待っていてくださったり、朝早く出動するために6時前に朝食を用意していただいたりと、本当にお世話になりました。このように地域の皆さまにご支援を頂きながら、私ども復旧隊は1日も早くお客さまに都市ガスをお届けできるように取り組んでいます。

大地震など有事の際は情報が滞りがちになりますが、都市ガスの供給停止情報や復旧情報はテレビ、ラジオの報道機関や東京ガスのホームページを通じてタイムリーにお知らせしています。大きな災害時には停電など発生しますが、もし可能であれば東京ガスのホームページを見ていただければと思います。また各家庭のガスメーターによるガスの停止の場合は、復帰方法を見ていただければ簡単に復帰できるので、ぜひ事前に皆さん自身でご確認いただければと思います。

防災体制の整備

私たち東京ガスグループでは平常時より大規模災害を想定し、お客さまのライフラインを守るために非常事業継続計画BCPを作成し、さまざまな防災体制を整備しています。その中で二次災害を防ぐためのガスの供給停止と、被害の小さい場所で安全にガス供給を維持することを両立させるため、東京ガスでは600を超える全ての業務を棚卸して、災害時業務の優先順位付けを行っています。

万が一、ガス供給を停止する地区が発生した場合には、中断業務担当者を復旧要員に充てるなど、1日も早い供給再開のため全社を挙げて取り組みを行います。地震が起こった場合、私をはじめ全社員に自動出動基準を設けていて、休日夜間を問わず速やかに出動する体制をとっています。また東京ガスでは全社員を対象に毎年、防災訓練を行っており、国や公共団体の実施する数多くの訓練にも参加して、社員各自が万が一の際に的確な行動をとるための体制を日ごろから整えています。また復旧の際に必要となる資機材は、あらかじめ複数の倉庫に分けて備蓄しており、災害時にも迅速に対応できるよう備えています。東日本大震災の時には資機材の運搬や緊急時に使用する車両の燃料の入手が困難になりましたので、その教訓を生かして、横浜市内にも自家用のガソリンスタンドを設置しました。

大震災などが発生したときでも中圧のガス供給停止はまれであるため、災害時の復旧基地となる東京ガスの主なビルでは、都市ガスでエンジンを回して発電する「コージェネレーションシステム」を設置しています。「コージェネレーションシステム」では発電する際の廃熱も利用できますし、節電にも有効で、停電時でも業務継続が可能であるため、病院や行政の重要な施設にもお勧めしているところです。さらには2014年4月に、停電時発電機能が付いた家庭用燃料電池「エネファーム」が発売されました。「エネファーム」は都市ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応することで発電させ、発電時に出てくる熱を利用してお湯を作り、家庭のお風呂やシャワーに使うものです。このように東京ガスでは停電の際にも安心して生活できるように、多方面から取り組んでいます。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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