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防災インタビューVol.106

中高生からの防災教育 ~心のレジリエンス~

放送月:2014年7月
公開月:2015年2月

深谷 純子 氏

深谷レジリエンス研究所 代表

宿泊訓練

今、都立高校では1泊、学校に泊まるという取り組みをしています。実際は安全のために電気をつけて、生徒は一晩中ゲームをしたなどということもあるのですが、こういう経験をもっとリアルに、本当の災害の時に生かせるようにしたいと思っています。例えば、災害時に帰宅をするときに歩いて帰ることも十分あり得ますので、どうやって歩いて帰るか、何が必要かを自分で考えて用意してみたり、あるいは実際に少し歩いてみる訓練が高校生のうちから必要なのではないかと思っています。これは単なる避難訓練ではなく、生徒の発想力を活用したサバイバルゲームのような形で、わくわくしながら自分たちでアイディアを出して、ゲーム感覚の訓練にしていきたいと思っています。

これはまだ構想の段階で、実現しているわけではありませんが、先生方の負担がとても大きいです。大抵の先生方は防災の知識があるわけではなくて、なるべく事故のないように、学校に備蓄してある食事を出して一晩泊めて、そのまま無事に電車で帰らせたいという気持ちが強くあります。学校だけでは、このような訓練は無理があるので、例えば地域の防災士や専門的な知識のある方が先生方を支援して、生徒に発想力を付けるような宿泊訓練をするのが私の夢であり、ぜひ実現したいといつも思っています。

先生方にとっては、日ごろやらなくてはいけないことがたくさんあり、それに加えて防災となると、とても負担が大きくなってしまいますし、実際幾つかの高校では、学校の一番近くに住んでいる先生が防災担当になっていて、特に防災に関する教育を受けているわけではないというケースもあります。学校によってはとても熱心で、物理や体育の先生が熱心に訓練されているところもありますが、学校によって温度差があるので、ここはもう少し強化していけたらいいと思っています。

災害時における中高生の役割

東日本大震災の時に「釜石の奇跡」というのがありました。中学生が津波から逃げる際に小学生を一緒に連れて逃げたり、地域の人もそれを見て逃げていったという話がありました。そのことがずっと頭に残っており、都会でも何かできないかと考えていました。

災害が起こると、都会でもたくさんの負傷者が出ます。その人たちを担架で運んだりするような力仕事もたくさん発生し、専門的な知識がなくても高校生も救護活動の担い手になれると思います。このように救護活動の裾野を広げるといった観点でも、もう少し高校生を巻き込めないかと考えています。これは単に救援活動の人手を確保したいというだけではなくて、自分は役に立つ大切な人材なのだという気持ち、自己効力感を持ってもらうのに役立つと思います。最近では、ボランティアをどんどん推進している学校が増えていますので、ボランティアの範囲を災害や救援という分野にも広げて、そういう意識を中高生の方に持ってほしいと思います。

そのためにも事前に教育の一環として教え、訓練しておくことが、安全なボランティア活動のためには重要なことです。大人たちからも、高校生・中学生の若者たちを必要としているのだということを伝え、巻き込んでいくことで、地域を住みやすく安心、安全に過ごせる場所にしていけるのではないかと思っています。実際に、中高校生たちが課外活動の一つとして積極的に地域の防災訓練にも参加してもらえれば、地域も安心ですし、学校に対する理解も深まります。これはお互いにとても良いことなので、私自身も何かお役に立てないかと考えています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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