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防災インタビューVol.106

中高生からの防災教育 ~心のレジリエンス~

放送月:2014年7月
公開月:2015年2月

深谷 純子 氏

深谷レジリエンス研究所 代表

地域の防災

「地区防災計画」という制度が始まりましたが、これは地域の皆さんで、自分自身が住んでいる地域の防災力を高めようという取り組みです。災害はいつ起こるか分かりませんので、もし平日の昼間に起こったとしたら、その地域には高齢者か若い乳幼児を抱えるお母さんとその子どもたちしかいないということもあり得ます。働き手のお父さん、お母さんは地元にいないことも多いので、災害が昼間起こったらどうするのかということは避けて通れない問題だと思います。地元の中高生をもっと巻き込んでいったらいいのではないかとお話ししましたが、地区防災計画もこの小中学校の校区で取り組んでいくのがいいと思います。小中学生は家から近い小学校や中学校に通っていることが多いので、お互い顔の知れた間柄であったり、親同士もよく分かっていますので、その単位でその地域の防災力を高めていく取り組みをしたらどうかと考えています。

地元の企業が地域に対する貢献、CSRの一環として、その地域の防災力も一緒に高めようという考えもありますが、都会では、その企業が活動している場所と皆さんが住んでいる居住区は離れているケースが多いので、企業の方の力を借りて、その地域の防災力を高めるというのは、現実的にはちょっと難しいのではないかと思います。そう考えると「そこに住んでいる人たちの固まりで、その地域のことを考える」というのが現実的ではないかと考えています。

地域の防災をきちんと考えることは地域の安全を守るだけでなく、地域から離れて働いている家族が災害時に帰宅困難になり、1日帰れないという可能性も十分考えられるので、その時に離れている家族が安全だと思えれば、無理して帰るという行動を避けられると思います。危険を冒して歩いて帰るのではなく、家族が暮らしている地域も安全が守られていると思えることが重要なのではないかと私は思います。

分かりやすい情報伝達と連携

これは私が中国、上海に出張していたときに実際に経験したことですが、非常に大型の台風が接近していました。私は中国語は全く分からないのですが、その時は「コードイエロー」が発令されて、テレビでも出張先の事務所でも「コードイエロー、コードイエロー」としきりに言っているのを聞きました。この「コードイエロー」が発令されると自動的に交通機関は全て止まり、会社も休業が義務付けられています。企業のBCPと、政府が発令する「コードイエロー」や「コードレッド」という災害の情報が連動していて、「イエロー」になったらパソコンは全部ビニールカバーをかけて帰るという取り組みが連動しており、迷うことがありません。ちょっと日本では信じられないことですが、誰も迷うことなく行動しています。ツーリストのような出張者である私の立場でも、「どう行動していいか」が非常に分かりやすくできています。「コードイエロー」が発令された翌日の午前中のミーティングは全部キャンセルされました。結果的には10時ごろに、その「コードイエロー」は解除されたのですが、午前中は休業がもう決まっていましたので、それに対してクレームしたり、仕事が進まないと文句を言う人は誰もいません。中国という国はとても統制がとれているという利点があるとは思いますが、その利点をこういった災害の時に感じました。

一方で日本では災害時にも、きめ細かく親切に対応しようしているために、警報にもいろいろな段階があるので、かえって分かりづらくなっているのではないかと思います。逃げたほうがいいのか、まだ逃げなくていいのか、そういうこともだんだん細かくなっているがゆえに、また地域によって発令が細分化されているがゆえに、逆に危険を招くようなこともあるのではないかと心配しています。「避難して損した」と思うのではなく、「軽く済んでよかった」「ああ、外れてよかった」と思って、もっと大胆に動いてもいいのではないかと思います。

交通機関が止まっているという情報も細かく報道されるので、逆に「まだ大丈夫だ」と思ってしまうこともありますが、こういう判断を自分たちに委ねられていますが、これで本当にいいのかと思うときもあります。また、交通機関が止まってしまったら、迂回してでも行くというのが当たり前になってしまっています。日本の場合は、朝方台風がすごい状況で来ても、無理してでも必ず皆さん会社に行きますし、「そういうのがいいんだ」と思ってしまいがちですが、このような場合にも「行かなきゃいけない」のではなく、「休まなきゃいけないんだ」と思ったほうが、結果的には将来、大きな災害があった際にも安全に過ごせるのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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