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防災インタビューVol.106

中高生からの防災教育 ~心のレジリエンス~

放送月:2014年7月
公開月:2015年2月

深谷 純子 氏

深谷レジリエンス研究所 代表

「家庭の備蓄品」について

災害に備えて「3日分の家族分の食料や水を備蓄しよう」とよく言われますが、実際にはとても大変で、長期間保管できるものは値段が高かったり保管場所がなかったりして、備蓄がなかなかできていないケースもあると思います。しかし、やはり何かあったときに備えて、食べ物、飲み物を確保して、自分の身は自分で守ることは非常に大切です。しかしながら、自分だけで考えているとなかなかできないというのもあると思います。

これは実際に聞いた話ですが、1家族に1万円という感じで年末に防災ボーナスが出される企業があるそうです。この会社では、このお金で「防災用品を買いましょう」ということで、買ったものを写真に撮って、年明けにコンテストをして、一番いい買い物をした人を表彰するという取り組みをしています。他の家族がそろえたものには、とても興味がありますし、防災用品の使い方や目的など、良い情報をどんどん聞くことができます。このように何かきっかけをつくって、皆で備蓄について考える機会を持つことは非常に大切だと思います。

「備蓄の目安としては、どういうものをどれくらい用意したらいいのか」とよく聞かれますが、私が思うには、家族が食べておいしいと思うもの、好きなものをそろえてほしいと思います。いつも食べていない、食べ慣れていないものをそろえても、賞味期限が切れて、食べようと思っても食べられず捨ててしまうこともあるので、実際に味見をして、食べたいと思うものを3日間分そろえることが大切です。水も1日1人当たり3リットル必要で、それを3日分そろえておくようにと言われますが、実際に、これは本当にものすごい量になるので、なかなかイメージがつかめないと思いますが、自分の身は自分で守ろうという意識を持つためにも、備蓄ということを頭の隅のどこかに置いて、少しずつ準備してほしいと思います。

また卓上ガスこんろも買っておけば、冬にお鍋をするときにも使えますし、フリーズドライのご飯なども買っておいて、急に食べたくなったときに食べてしまってもいいと思います。そうやって味見をして「おいしかったのでこれをもっと備蓄しておこう」と思うことが大切です。災害が起こると非常にストレスがたまりますので、甘いものやアルコールなども備蓄しておくといいですし、単に乾パンと白米だけではなくて、本当に食べたいもの、リラックスできておいしいものを備蓄しておいてもらいたいと思います。

心のレジリエンス ~折れない心~

災害が発生したときに精神的なショックを受けたり、落ち込んだりしますし、ストレスも感じると思います。しかし、ここから早く立ち直るためには、自分自身がしっかり準備しているという自信、社会とつながっているという実感、地域のことを守るのだという使命感を持つことが大切です。そういう精神的な土台があって初めて、救援や救助などの災害の後のさまざまな活動にもつながるのではないかと思います。「自己効力感」と呼ばれる「誰かの役に立っている」という気持ちを持つことで、「レジリエンス ~折れない心~」を持つことができます。自分自身の心を強く持つためにも自己効力感は大事で、誰かの役に立っているという気持ちを感じることで、自分自身のショックやストレスからも早く立ち直れ、前向きに向かっていけると思います。

このように「誰かの役に立つ」というポジティブな気持ち、感謝の気持ちを持つことが普段の生活でも、とても重要です。ストレス社会ですし、難しい仕事をしたり、嫌なこともあったりすると思いますが、「自分は役に立たない人間だ」とか「うまくいろいろなことができない、失敗ばかりしている」というようなネガティブな気持ちは持たず、ポジティブな気持ちと感謝の気持ちを持って前に向かって生きることが、心のレジリエンスをつくっていく上では大切だと思います。後悔とか失敗は誰にでもあることですが、それを未完了のままにせず、どこかで自分で完了させて前に進むことが大切です。災害が起こったときはなかなか完了できず、引きずってしまうことも多いと思いますが、どこかで完了させて前に向かうことがレジリエンスに生きて行く上でも必要です。実際に災害に遭った方の立場に立つと難しいのですが、やはり前に向かって生きていっていただきたいですし、そのためにも周りでできることをいろいろ支援して、一緒に未来に向かって進めていけたらいいと思います。

地域を安全にし、お互い助け合って生き延びるためにも、自分の身は自分で守るという自助の気持ちを持つことが、まず大切だと思います。自助があってこそ、その続きに共助があるということで、他の人のことを考えられる流れになると思いますので、そのためにも、まず中高生のような若い世代から防災教育をしっかりやっていきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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