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防災インタビューVol.107

日常生活から防災を考える~内閣府で得た防災意識~

放送月:2014年8月
公開月:2015年3月

渥美 洋行 氏

農水省 バイオマス循環資源課係長

津波の速度

皆さんは津波の速度はどれくらいだとイメージされますか? テレビなどを見ていると、それほど速くないのかと思ってしまいます。これは地形にもよるので一概には言えないのですが、津波は大体時速30キロぐらいで、これはオリンピックの選手が100メートル走で走るぐらいの速度です。それは、遅くともこれくらいということですので、実際に逃げ切れるかというと、100メートル走の選手も100メートルしか走らないからその速度が出るのであって、それを1キロ走れと言われたら当然出ません。そう考えると、津波というのは非常に速度が速いのが分かると思います。基本的には、追い掛けられたら間に合わないと思っていたほうがいいと思います。海で遊んでいたときなどに地震があったら、津波の危険性を感じて、すぐ海の近くから離れて高い所に逃げることが、非常に重要になってくると思います。

日常生活の中での危機管理意識

私は防災に限らず日常生活でも、危険をイメージすることをやっています。例えば、私はスーツで出勤していて革靴を履いているので、雨の日は、できるだけホームでは黄色い線の所には近づかないようにしています。革靴の底はゴムではなく革なので結構滑ります。雨の日は滑って転んでホームに落ちる可能性もゼロではないと考え、少し後ろに立ったりしています。歩道を歩いていて、前や後ろから車がきたり、また車を運転しているときに、物をたくさん積んだダンプなどが近づいてくると、もしかしたら荷物を落とすかもしれないと考えます。実際に避け切れるかどうかは分かりませんが、避ける姿勢をとってみようかと考えたりしています。エスカレーターを上がっているときにも、上から落ちてきたら危ないと考えたりもします。こういうことを話すと随分否定的に物を考えていると思われがちですが、日常的にちょっと考えたりしています。常に危機管理意識を持っていることは大切で、事前にイメージできていると、実際に何かが起きたときに数秒の差かもしれませんが、態勢がとれることにより初動がだいぶ違ってきます。

しかしながら常に危機について考えていると疲れてしまいますので、毎日考える必要はありませんが、ふっと思ってみる癖をつけるのは大事なことです。当然起きないほうがいいけれど、何かが起きたときに対処できるのは非常に重要で、人生においても役に立つと思います。これは仕事にも生かしていけると思います。民間交渉などにおいても、会社とトラブルや契約条件とかでもめることもありますが、そういうときにいろいろシミュレートできるのは非常に仕事に役に立ちますし、相手との交渉を進めていくに当たっても非常に役に立つ力になっていくと思います。こういうことができると人生においても生活が充実すると言うとちょっと言い過ぎかもしれないですが、非常に役に立っていくと思います。そのうちの一つが災害であると思っていただければいいのではないかと思っています。

情報を入手する

防災のために必要なこととして情報の入手というのがあると思います。今インターネットが非常に普及しておりSNSなどもあるので、さまざまな情報を選別していくのは非常に難しいです。一方で非常に良くなってきたものは、スマートフォンを使ったアプリです。防災のためのアプリケーションをいろいろな会社が出していますので、それを入れておけば警報などがスマートフォンに通知されます。そうすると「あっ、これはすごい雨が降るんだな」と分かります。つい最近、東京もすごい雨が降って、川が氾濫しそうになったことがありましたが、こういう情報をできるだけキャッチして、危ないと判断したときはすぐに避難したほうがいいですし、初動態勢を整えていくことは非常に重要になっていくと思います。

災害に対する備え

「災害に対する備え」には二つのパターンがあります。まず一つ目は災害が発生してすぐの非常避難のための対処と、もう一つはその後の生活に必要な態勢です。まずは災害が発生してすぐ、この時にどうするかというのを少し考えていきたいと思います。これもついつい備えようとすると、あれもこれもと考えてしまいますが、まずは「生き残る」、これが非常に大事になります。生き残ってさえいれば、その後、助けが来る可能性が非常にありますし、何とかなる部分もありますので、まずは確実に生き残ることを考えて、そのために最低必要なものは何かを考えていくことが大事です。

例えば首都直下地震が起きた場合に懸念されるのは、関東大震災の時もそうでしたが、火災や周辺の建物の倒壊です。地震が起こっても、火災も起きずに建物も倒れなければ、基本的には部屋の中だけで済む話ですが、そうでない場合は粉じん対策が必要になってきます。建物が倒れたり火災が発生すると粉じんが飛んできますので、ゴーグルやマスクを備えておいたほうがいいと思います。

災害に対する備えは最初に少しお話ししましたが、海外旅行に行くときとかキャンプに行くときと非常に似ていると思います。キャンプや海外旅行に行くときには水の心配をしたり、コンビニで何でも買えるわけではないので、いろいろと持ち物を準備すると思います。実際、東日本大震災の時には東京でも、コンビニにあったものはあっという間になくなりました。私自身もまだ内閣府にはいなくて別の所で仕事をしており、すぐにコンビニに買い物に行ったのですが、結構人がいて物がだいぶなくなっていました。災害が起こったときには基本的なものはなくなることがあると考えておいたほうがいいと思います。

また、住むべき場所を守ることも非常に大事です。戻る所があるのは非常に安心感がありますし、避難生活は精神的にも非常につらいので、まずは自分の住むべき場所を守ることを考えていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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