1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 行政の危機管理
  6. 日常生活から防災を考える~内閣府で得た防災意識~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.107

日常生活から防災を考える~内閣府で得た防災意識~

放送月:2014年8月
公開月:2015年3月

渥美 洋行 氏

農水省 バイオマス循環資源課係長

「防災とボランティアの日」

もう一つ、防災関係の日として「防災とボランティアの日」と、その日の前後の「防災とボランティア週間」もあります。こちらは1月17日、阪神淡路大震災が起きた日に制定されています。なぜこの日が「防災とボランティアの日」になったかというと、阪神大震災の時はボランティアの方が活躍をされました。これは非常に画期的なことで、ボランティアというのが災害時に非常に活躍できるということがよく分かりました。実際ボランティアの方に助けられて生き残った方が非常に多かったという結果を受けて、こういう日ができました。東日本大震災の際にも、かなりの方がボランティアに行かれたと思います。ボランティアに行きたいけれど、どうしたらいいか分からないという方もたくさんいたのではないかと思いますが、必ずしも被災地に行くだけがボランティアではないと私は思っています。実際、社会人ですと仕事もありますし、行くのは難しいこともあるので、そこを無理していく必要はないですし、例えば「寄付をする」、これだけでも十分なボランティアになりますし、支援としても十分です。また後方支援ということで、子どもたちがいる女の方が山形方面の方と救援物資の仕分けなどをされたという話もあり、実際に役立ててよかったと話している方もたくさんいます。ボランティアというと、まず「被災地に行く」というイメージが湧きますが、後方支援というのも立派なボランティアになりますし、こういう所が結構人手が足りないこともありますので、必ずしも被災地に行かなくてもできる支援はいっぱいあります。皆さんも災害が起きたときには、そういう協力もしていただければと思います。災害時のボランティアに関する情報は、各都道府県の社会福祉協議会がボランティアセンターを立ち上げますので、まずは問い合わせをして、どういうものが必要なのかを確認した上で皆さんも協力していただければと思います。

「防災について学ぶために」

私が内閣府にいた頃に、防災を学ぶためのノウハウについてもいろいろ考えてきました。それらの成果は内閣府のホームページで公開をしています。内閣府では「みんなで減災」という災害に関する基本的なことをまとめたパンフレットを出していますし、「1日前プロジェクト」と名前を付けたものもあります。これは、被災者の方に「もし1日前に戻れたら、あなたは何をしますか?」という問い掛けをして、それに対していろいろとエピソードを語っていただき、それぞれ500字ぐらいで非常に短くまとめられたものです。「こういったことをしておけばよかった」とか、逆に「こういったことができていたので実際、災害の時に役に立った」というエピソードが、現在1000近い数が用意されていますので、ぜひお読みいただけると、自分の災害をイメージするためのヒントとして役に立つのではないかと思っています。

それ以外にも東京消防庁では、家具の固定のためのマニュアルも作っていますし、消防博物館では、防災に関するいろいろな知識も学べます。また、阪神大震災をきっかけに神戸にできた「人と防災未来センター」では、いろいろな体験をすることで防災を学ぶことができますし、災害に対する備えということで「減災チェックリスト」を作成しています。これは非常によくできておりまして、去年の内閣府の防災フェアでも配布させていただきました。日本語だけではなくて英語、中国語、韓国語版もありますので、外国人の方にも活用していただけると思います。「人と防災未来センター」からも送ってもらえると思うので、ぜひ一度見ていただければと思います。防災フェアで配布したときも非常に好評でしたし、Facebookにあげたらアクセスが集中していて反応が良かったので、かなりいいものなのではないかと思っています。

まとめ

災害に備えるためには、まずは災害に対する興味を持つことが大切です。そこから災害をイメージすることで、それによって出てきた疑問点を解決するために、どうすればいいかが考えられるようになります。そういうことを少しずつ進めていくことで、災害に対する備えが少しずつ少しずつ進んでいきます。別に毎日毎日考える必要はありませんので、ふと思ったときにちょっとでも考える、これだけでも効果としては全然違います。こうなるだろうという計画ではなく想像して考えていけば、いろいろな選択肢が出てくると思いますので、それをもとにいろいろ考えていくことが大切です。その際にまず重要なのは、生き残ることです。まずは生き残らなければ、生き残った後のことを考えても仕方がありません。もうそこで終わってしまいます。まずは生き残るためにどうすればいいのかを考えてください。その後、「自分は助かりました、じゃあどうすればいいかな。」というふうなことを考えていけばいいと思います。その際には、海外旅行に行くときにどういう備えをするかというのが、非常にヒントとしては近いのではないかと思っています。

実際に避難する際に重要なのは、避難行動が取りやすいということです。例えば水の備えは3日分とか1週間分とかと言われていますが、それを持って逃げられるかというと、ものすごく重いので、まずできないと思います。そういうことを含めて考えて、自分がどれだけできるのかを考えながら避難行動をとりやすいように、リュックやポケットがたくさんあるベストなどを用意していただきたいと思います。また、アルミックシートというアルミの保温効果が高いシートがお勧めです。これはキャンプの際の毛布の代わりにも使えますし、非常に軽いので活用できるのではないかと思っています。

防災のための備蓄品に関しては、専用品である必要はありません。専用品は専用品なりの良さはもちろんありますが、専用品だとしまっておしまいということになりがちですし、普段使っているからこそ使えるというものもあるので、お金をどこまで掛けるかを考えて購入していただければと思います。懐中電灯に関して言うと、先ほどお話しした自転車のライトのほか、今は携帯電話などがあれば懐中電灯になりますし、スマートフォンが普及しているのでモバイルバッテリーを持っている方が多いと思いますが、それにもライトがつくタイプのものもあります。そういうものを選ぶことで特に専用品にこだわらず、普段から使えるもので非常時にも使えるものをうまく取り入れていけば、使う際にも楽しく使えるのではないかと思います。防災フェアなどでも大人でも楽しめるような形のイベントが増えてきていますので、ぜひ参加していただきたいと思っています。2015年3月には仙台で国連防災世界会議が開催されますが、これは10年に1回開催される非常に大きな会議で、日本政府、内閣府、仙台市が非常に力を入れているイベントですので、結構面白いのではないかと期待しています。

これまで日本では非常に多くの災害が発生してきています。3桁の年代の頃から地震の記録が残っていますし、戦国時代にも地震があったという記録があります。それでも今までわれわれが生きているということは、先祖の方々が生き残って、日本は滅亡することなく歴史を続けることができているわけです。その中で先祖の人たちは石碑や書物に残して、いろいろな教訓をわれわれに伝えてきてくれています。こういう教訓を受け継いで、われわれも災害に対する備えを進めていくことによって、悲観せずに未来への道を、またつなげていっていただければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針