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防災インタビューVol.110

消防団の活動・地域の防災力向上

放送月:2014年11月
公開月:2015年6月

原尻 賢司 氏

川崎市消防局警防部 警防担当部長

全国瞬時警報システム「Jアラート」&「Lアラート」

災害が発生した際に市民の方にとって重要なことは、災害に関する正しい情報が収集、集約できることです。その正しい情報をいかに早く市町村や消防局側から、多くの方に正しく提供できるかがポイントとなります。

以前どこかの国からの弾道ミサイル発射の情報があった際に、いち早くそのミサイルの到達地域や周辺の方々に「ミサイルが飛びます、飛びそうだ、飛んだ」というような形で情報を伝達しました。また津波警報や、緊急地震速報のように、対応する時間的余裕がない事態に関する情報を、人工衛星を用いて国から発信し、市町村の防災行政無線などを自動的に起動させて、国から市民の方々に緊急情報を瞬時に提供するためのシステムを「全国瞬時警報システム」、略して「Jアラート」と呼んでいます。

このシステムを導入した当初は、防災行政無線をベースにしていましたが、それだけでは住民の方々に情報が届きづらいという各市町村からの声もありまして、現在ではJアラートと緊急速報メールをうまく連動させて、その地域にいる方に一斉に情報を伝達するようになっています。このような情報を市民の方にいかにいち早く伝えることができるかというのが大きなポイントになっています。

Jアラートだけではなく、新しく「Lアラート」という、テレビやラジオなどを介して緊急情報を伝えるシステムもあります。「Lアラート」はもともと「公共情報コモンズ」と呼ばれていたシステムで、各市区町村が発信する災害情報や安心安全に関わる情報、例えば避難勧告、避難指示や防災情報、気象情報、あとは先ほど「Jアラート」の話にも出てきましたが、武力攻撃情報などを集約共有して、テレビのデータ放送やケーブルテレビ、ラジオ、あとは携帯電話の緊急速報メールやワンセグ、インターネットのトップページや、電光掲示板というデジタルサイネージで伝えるシステムです。最近では、自動販売機でもサイネージがある所には、この情報が表示できるようになっています。このようにさまざまなメディアを通じて市民の方々に情報伝達することを目標として作り上げた緊急情報伝達システムです。

先ほど、Jアラートでは、市町村防災行政無線を通して緊急情報を伝達するということをお話ししましたが、防災行政無線だと聞こえなかったり、聞こえていても何を話しているのか分かりづらいというような声もありましたので、このLアラートを使って、自宅でテレビを見ていた場合にはテレビのデータ放送上で、AMラジオ、FMラジオを聞いているときには、割込放送で災害情報を流したり、携帯電話の緊急速報メールなどを使って、急ぎ知ってほしい情報は市民の方に伝えていこうと考えています。

正しい情報を早く入手するのは、緊急の際に非常に大事なポイントですが、普段から使い慣れていないと、非常の際や災害が起きた際には使えないというデメリットもあります。私が兵庫にいた時には、実証実験として「この場所でこういうイベントをやっています」という情報も公共情報コモンズで流し、非常時だけでなく通常の情報も流していくことを検討しました。普段使っていないと、いざというときには使えないので、「Lアラート」も災害情報だけでなく、市町村の中で地域のイベントなどのお知らせもしたりしながら、使い慣れていただければと思っています。

消防団 ~発祥は江戸時代~

地域には消防署のほかに消防団がありますが、これは非常に長い歴史があるものです。時代劇などでよく八代将軍徳川吉宗や大岡越前守忠相という名奉行の話が出てきますが、この八代将軍吉宗が大岡越前守に命じて町火消、いろは四十八組というのを設置したことが今日の消防団の前身であると言われています。江戸時代の消防というのは、建物に登ったり、破壊消防と言って、周りの建物を壊したりして火を防いでいましたので、鳶職の方たちがそれを担っていました。今でも出初式では、鳶の流れを継いで、はしごの上で格好良く粋な姿を見せてくれています。消防団の方がやる場合もありますが、東京都の場合だと、保存会の方たちが「はしご乗り」の伝統を引き継いで披露してくれています。

消防団は市町村によっても違いますが、原則的にはその土地に住んでいる方が入団できることになっています。ただ、全国的に見ても消防団の入団者はだんだん減ってきて、昭和29、30年頃には全国で200万人ぐらい消防団員がいたのですが、平成26年には86万人ぐらいになっているという状況です。そのため現在では、勤め先でも消防団に入団できるという市町村も増えてきています。

消防団の仕事とは

消防団の方々の活動は、イベント、お祭り、花火大会の際の警戒や、火災が起きたときに、火災現場にほかの人が立ち入ると危ないので入ってこないようにする警戒線を敷いたり、実際の消火活動を行ったり、残火処理や、本当に最後の鎮火までを消防団の方が行うところもあり、非常に活躍をしていただいています。消防団の方というのは、もともと、お給料をもらっている方ではなく、ボランティアとして始まっています。そういう消防団の方々が「よくここまでやってくれるよな」というような活動も行っており、本当に頭が下がる思いでいます。

消防団は男性でも女性でも入ることができますが、女性の方のほうが逆にいいときもあります。消防団の仕事の中には、予防、防火というのもありまして、各家庭を訪問して、火を出さないような防火の啓発をするのですが、いかついおっちゃんが各家庭を回って何か言うよりも、女性の方がソフトな当たりで訪問して、「こうですよ」というような形でやさしい口調で言っていただいたほうが、受ける側としては受け入れやすいのではないかなと思います。

逆に女性が現場で活躍することで全国的に有名なのが、横浜市西消防団です。ここでは、女性の方が筒先を持って実際に消火活動をしています。これはあまり多い例ではないのですが、女性の方でも消火活動している例はあります。また、女性の方ですと、やはり男性に比べるときめ細やかな対応ができますので、応急救護をしたり、小学校、中学校への消防団の紹介や防災教育を行うのにも適していると思います。

また、中学生に対しての防災教育の一環として、地域の消防団の方々と中学生が協力して、ディザスターイメージゲーム「DIG」というのをやっています。これは、火災や地震の発生をイメージしながら「どういう所に避難するのか」「どういう所が危険な場所であるのか」「どういうふうに道を通って行けばいいか」「お年寄りがいる家庭などがどういうところにあるか」という情報を出し合って、「実際に起きたときにはこういうふうにしよう」というイメージトレーニング的なことをゲーム感覚で出来る訓練です。このような教育の場にも女性の消防団の方が参加し、地域の中学校を回っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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