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防災インタビューVol.111

子どもたちの命を守る防災教育

放送月:2014年12月
公開月:2015年7月

矢崎 良明 氏

板橋区教育委員会学校防災・安全教育専門員

自分の家を「避難所」に

皆さんは災害が起こった際には、「避難所に行かなくては」とまず考えると思います。私は避難生活というのはしたことがないので、あまり詳しいことは言えないのですが、いろいろな報道を聞いたり、実際に避難所を視察させていただいたり、いろいろな方とお会いしてお話を聞いても、避難所というのは決して居心地のいいところではありません。仕切りもそんなにしっかりしていませんし、本当に狭い空間にいなければならないので、生活しやすい所ではないわけです。それでも私たちは何か災害が起きると「じゃあ、避難所に行かなければ」という思いが、結構私たちの頭の中に浮かびますが、居心地のあまり良くない避難所にできるだけいかないように準備をしておくことが大切です。

災害が発生して、どんなに狭い空間になってしまったとしても、やはり自宅で寝泊まりできるということは、私たちの生活にとってはやはりいいことです。水や食糧は避難所に貰いに行けばいいわけですので、寝泊まりを何とか自宅でできるようにすることが大事です。そのためにはやはり日ごろからそういう環境をつくっておかなければならないと思います。日ごろから「災害時には避難所に行けばいい」と考えるのではなく、「自宅をまず避難所にするんだ」と考えておくことが大切です。

これは学校の避難訓練でもお話ししましたが、家庭でも、災害時にものが落ちてきたり倒れてきたりするのを、日ごろから防いでおくことが重要です。要するにご自宅の中がめちゃくちゃにならないように事前にきちんと転倒防止、落下防止をして、家の中に座っていられる、寝ていられるという空間をきちんと確保することがまず一番大事です。もし今棚の上にいろいろなものが乗っていたり、棚が倒れそうになっていたら、きちんと転倒防止金具を付けたり、食器戸棚から食器が全部落ちてきそうだとしたら、扉のところに留め金をつけるというような、自宅での災害防止をきちんとしていただくということがまず一番です。それとともに、一軒家の場合は、まず耐震診断、耐震補強をしていただくことが大事です。ぜひお子さんとともに一度ご自宅を点検して、非常の際にも自宅を避難所にできる環境を整えていただきたいと思います。

今、すぐかもしれない大地震

地震が起こったときに、まずは自分の生活をどういうふうに確保するか、また自分の命をどう守るかを常日ごろから日常的に考えるということが大事だと思います。どこにいて自分が地震にあうか分からないので、自分が置かれている場所で「アッ、今地震が起きたらどうしよう」ということを常に考えておくことが必要です。例えば家の中でも、寝る時には枕元にスリッパと着替えを置いておくとか、私もいつもカバンの中には小さな懐中電灯と笛を持ち歩いていますが、そのように常日ごろから、自分がいつ地震にあってもいいという対策をしておくことは、とても大事だと思います。

地震に関する学問もこれだけ進んでいるので、何となくいつごろ起きるか、というのを誰か教えてくれるのではないかという期待感を実は私たち多少持っていると思います。いわゆる地震予知についても、南海トラフ巨大地震が30年以内に、60から80%起こるとか、震度7の首都直下地震が30年以内に70%で起こるというようなことがいろいろと言われていますが、これはあくまでも長期予測です。だから「何年以内に何%起きる」ということは、もしかしたらあと1分後に起きるかもしれないし、30年後に起きるかもしれないということで、本当にいつ起きるか分からない状態です。このような長期予測というのは非常に大事なのですが、「いつごろ、どのくらいの大きさの地震が、どこで起きるか」ということについては、残念ながら今の日本の地震学の現状では、その予知のレベルまで至っていません。専門家が相当その予知の研究をしていますが、例えば、割りばしを二つに割る際に、常に真っすぐに真っ二つに割れるかどうかというのは計算できていませんし、それと同じように、地震の元の断層というのがいつどこで動くか分からない、そういう計算式ができないというのが今のレベルです。

そういう中で、私たちは日本という地震国にいるわけですから、本当にいつ起きるか分からないという状況の中で何をすればいいかというと、まずは自分で自分の命を守ることが必要です。これは「自助」と言いますけれど、まずどうすればいいのかを考えて、最低限の準備をしておくことが重要です。そして、自分だけを守るのではなく、高齢者や障害のある方、子どもたちに気を配れるような余裕が持てるようになればいいと思います。

地震は本当にいつ起きるか分かりません。それこそ南海トラフ巨大地震が起きたら、今度は富士山ももしかしたら噴火するかもしれません。地震というのは、よく起きる地域もありますし、何十年、何百年に1回起きるような地域もあります。何千年に1回、もっというと何万年に1回という周期があるかもしれません。まだ大きな地震が起きていない所も、何万年前に起きた場所で、もうすぐ周期がやってきているかもしれません。そういう意味では地震は本当にいつどこで起きるか分からないので、私たちは備えというものをいかにするかということ、その気持ちだけはぜひ持ち続けていただき、身の安全を守っていただくようにしていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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