1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 子どもたちの命を守る防災教育
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.111

子どもたちの命を守る防災教育

放送月:2014年12月
公開月:2015年7月

矢崎 良明 氏

板橋区教育委員会学校防災・安全教育専門員

プロフィール

私は、小学校の教員を36年間やっており、終わりの10年間は校長をしました。また教員になってから行政にも関わり、行政と学校と両方仕事をさせていただきました。小学校の教員というと、担任の先生を思い浮かべると思いますが、私は理科だけを6年間、音楽の専科を3年間担当した後に、小学校の教員として担任もやったという、ちょっと変わった経歴です。現在は、鎌倉女子大学の講師と、教育委員会のほうでも仕事をさせていただいています。

大学時代は理科教育、その中でも私は地震学を専攻していまして、教員になってから、東京都の教員研究生という制度があり、たまたま日本海中部地震に遭遇した時にその被害状況を調査したことがきっかけで、防災の道にちょっと足を突っ込んでしまったという感じです。教師をしながら防災関連の仕事や文部科学省の防災関係の仕事もさせていただきました。

「防災教育」を教科に

今は学校教育の中には、特に「防災教育」とうたった内容はありません。しかしながら、日本という国は陸地面積が世界の0.25%しかないのに、世界で起きるマグニチュード6以上の大きな地震の約5回に1回ぐらいは日本で起きています。東日本大震災もそうでした。そういう中で、日本の教育の特徴として「防災教育が必要ではないか」ということが、最近国レベルでもだいぶ話が出てきていますので、ぜひ今後「防災教育」を進めていかなければならないと感じています。

現在の学校教育において、理科や社会という科目の中で、防災の視点でいえば、「土地のつくり」や「地震」などの単元はあるのですが、特にそれが「防災教育」というふうにはうたっていません。地震の仕組みは勉強するものの、いざ起こったときの準備や知識については追いついていないのが現実です。外国人は、日本に来るとちょっとした地震でもびっくりしますが、日本人は日ごろから地震に慣れてしまっている部分があるので、そういう意味でももっと真剣に考えていく必要があると思います。「防災教育」を進めることによって、子どもだけでなく大人も一緒に防災についての意識を高めていっていただきたいと願っています。

東日本大震災以後、国レベルで活発な動きがありまして、平成24年7月に中央防災会議でも、「学校教育学習指導要領に防災教育をきちんと位置付けなさい」「防災教育をきちんと指導できる時間を確保しましょう」ということが提唱されました。それから私もメンバーだったのですが、東日本大震災を受けて作られた有識者会議の中でも、「防災をきちんと教科として位置付ける」「防災に関する指導時間を確保しなさい」といわれていましたし、国レベルでも中央教育審議会の安全部会でも、同じような方針を出しています。ですから今後、学習指導要領改訂の時には、そういう方向に動き出しているのが現状だと思います。

今まではっきりと「防災教育」という銘を打っていなかったのですが、恐らく平成29年、30年あたりに学習指導要領が改訂になる頃には、「防災教育」または「安全教育」という形でしっかりとした名前が付いた教育内容が、学習指導要領の中に出てくるのではないかと期待しています。

先ほどもお話ししたように、世界で起こるマグニチュード6以上の地震の5回に1回は日本で起きているわけですから、非常に地震の多い国です。そういう意味では、自分の身を守ることももちろんですが、やはり「日本が世界の防災リーダーになっていくんだ」というくらいの気持ちで国を挙げて防災教育をしっかりとやっていくことがとても大事だと思います。子どもたちにしっかり教育をするということは、子どもたちから親にも伝わっていきます。今後、学校の授業参観などで「防災教育」の授業を見る時間も出てくると思うので、大人も一緒に勉強していただき、どんどんこの「防災教育」が広がっていくことを願っています。

命を守るために ~防災学習と防災管理~

防災教育というのは、「防災学習」の面と「防災管理」の面があります。学習の面では子どもたちが、家や学校の教室の中にいたときにどんな災害があるかを知り、それに対処する方法を学びます。例えば地震で物が落ちてきたり、何かが倒れてきたりしたときに、「じゃあ、みんなはどうする?」というようなことを勉強したり、中学レベルでは地震のメカニズムをしっかり学習すれば、自分の身を守るのに役立つものになります。防災管理の面では、今までの避難訓練をもう少し見直します。自分で自分の命を守るような訓練に見直したり、学校の施設設備を地震に強い施設や設備にすること、また上から物が落ちてこない、横から物が倒れてこないような安全な環境をつくることが防災管理につながっていきます。このように、学習と管理の両面からの教育を進めていくことが大事かと思います。

特に避難訓練の改善に関しては、私自身も長い教員生活の中で、10年ぐらい前までは何の疑問も持たずに避難訓練をやってきましたが、ここ10年ぐらいで、今までやっていた避難訓練で本当にいいのかなと思うことがいくつも出てきました。阪神淡路大地震や、新潟中越地震、東日本大震災を経験すると、やはり避難訓練の方法を変えていかなければいけないと思いまして、今その改善に努めているところです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針