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防災インタビューVol.111

子どもたちの命を守る防災教育

放送月:2014年12月
公開月:2015年7月

矢崎 良明 氏

板橋区教育委員会学校防災・安全教育専門員

平日の日中に大地震はあまり起こらない

防災教育の重要性を話してきましたが、実際に子どもが学校にいる間に地震が起こった例はそんなにありません。これはとても矛盾した話なのですが、もし日中に地震が起きたときは、被害がものすごく大きくなるので要注意です。

例えば1995年に起きた阪神淡路大震災、兵庫県南部地震以降、東日本大震災までに起きた震度6弱以上の大地震は、全部で20回起きているのですが、学校に子どもがいるときに起きているのはその20回のうち、2000年に起きた鳥取県西部地震と、2011年に東北地方太平洋沖で起きた東日本大震災の2回だけです。

また、子どもはほとんど学校にいるような気がしますが、1年間トータルすると昼間起きている時間の約2割しか学校にいません。それを考えてみると、やはり学校にいるときに地震にあう確率はそんなに高くないというのが分かると思います。

阪神淡路大震災が発生したのも子どもたちが学校にいる時ではなかったのですが、それより前の1983年5月26日の日中に日本海中部地震が起こり、大きな被害を受けました。秋田県では、遠足に行っていた児童がたまたま海岸にいて、津波で13人亡くなってしまったり、給食を配膳しているときに地震でこれらが全部こぼれてしまったということが起こりました。この地震は教育活動中の地震としてはかなり被害が大きかったのですが、それ以降、子どもたちが学校にいるときに起こったのが東日本大震災になります。確率としては学校で大きな地震に合う可能性は低いのですが、子どもたちが学校にいるときに起こると人数も多いので、大きな被害が出る可能性があります。そのためにも、やはり学校の中できちんと防災教育、または避難訓練をやっておくことはすごく大事だと思います。もうひとつ、学校というのは、大地震の際には避難所として使われる可能性があります。その際に子どもの管理をどうするのか、一方避難してくる方々の受け入れをどうするのかという問題を事前にしっかりと考えておく必要があります。そのためには、統計的には教育活動中に起きる地震は少ないけれど、地震の際に必要な体制を学校側がとっておくことは、非常に重要になっています。それとともに、避難所を設営する際に、私がお願いしているのは、学校の先生だけでは絶対に手が足りないので、近所の方たちに避難所開設、設営にぜひ力を貸していただきたいということです。学校の先生はやはり子どもの命、子どもの管理を優先させなければいけませんので、避難所の運営にはなかなか手がまわらないため、ぜひ皆さんに協力いただきたいと思っています。

誰もいない学校

大地震が起こった際には、学校というのは避難所として使われる可能性が高く、公立の小中学校はほとんど避難所になるというお話をしましたが、皆さんは避難所についてどんなイメージを持たれていますでしょうか。

大災害の際には、学校が避難所になっていて、学校に行けば先生たちが学校にいて、食糧や毛布などを準備して渡してくれるのではないか、何となくそういうイメージがあるのではないかと思います。しかしながら、実は学校に先生方がいる時間を計算してみると非常に少ないのです。年間を通すと2割強の時間しか職員はいません。1日を考えていただくと分かると思いますが、例えば先生方が夕方5時に帰られます。そうすると時計の針が1周して明け方の5時になってもまだ学校には誰もいないわけです。実際に1日の時間を考えても半分以上は学校というのは誰もいないところなのです。これを年間トータルすると、勤務は240数日、1日約8時間と計算すると、約1900ちょっとの時間になります。そうすると365日×24時間で年間8760時間のうち、先生が勤務しているのが約1900何時間とすると、先生が学校にいるのはわずか22%しかないということになります。残りの78%は実は学校というところは、建物はあるけれど誰もいない場所になるわけです。

このように、学校は誰かがいつもいそうな感じを持たれている割には、実際には誰もいない時間帯が多いので、そういう時間にもし地震が起きたときには先生方はすぐに学校に来ることができません。その際には、やはり地域の方に積極的に関わっていっていただかないと、避難所開設というのはすぐにはなかなかできません。ぜひ皆さんには、その時がきたら避難所開設にご協力をいただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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